HOME > ソフテックだより > 第370号(2021年1月20日発行) 現場の声編「在宅勤務、再び」

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ソフテックだより 第370号(2021年1月20日発行)
現場の声編

「在宅勤務、再び」

1. はじめに

私は入社15年超になる本社事業所勤務の40代前半中堅社員です。新年早々、新型コロナウィルス感染拡大により、東京を含む1都3県では緊急事態宣言が発令されました。ソフテックでは、1月7日の緊急事態宣言発令を受け、翌週から本社事業所を対象に原則週3日の在宅勤務を行うことになりました。昨年4月から9月まで(途中、通常出社に戻した期間あり)も、都内の感染者状況に合わせて、週2〜4日の範囲で在宅勤務を行っていましたので、4か月ぶりの在宅勤務再開になります。
昨年、在宅勤務を行った際の様子については、
    ソフテックだより第360号「在宅勤務体験談」
    ソフテックだより第362号「在宅勤務開始と在宅勤務実施で感じたこと」
    ソフテックだより第364号「コロナ下の新入社員〜入社から現在までを振り返って〜」
でご紹介させていただきました。初めての在宅勤務ということもあり、社員からは様々な意見を聞くことができました。今回のソフテックだよりでは、昨年の在宅勤務を通しての社員の感想をご紹介しつつ、ソフテックにおける在宅勤務の特徴などをお伝えできればと思います。今まさに在宅勤務をされている方、実施を検討されている方も多いと思いますが、そのような方に在宅勤務を推進する際のヒントとなるものをお伝えできれば、幸いです。

2. 在宅勤務で作業効率は上がった?それとも下がった?

在宅勤務でよく議論の的になるのは、作業効率、生産性に関する点です。インターネット検索で「在宅勤務 作業効率」、「在宅勤務 生産性」などで調べると、様々な意見が出てきます。ビジネスパーソンを対象としたアンケート調査では、”生産性が下がった”という意見もあれば、”変わらない、むしろ上がった”という意見もあります。業種や作業内容が異なる人々を対象とした調査結果ですので、理由は様々あるのだと思います。ソフテック社員からも同様に効率が”上がった”という声と、”下がった”という声の両方が聞かれました。その理由について、いくつかご紹介していきます。

2.1 開発環境、機材の問題と開発フェーズの問題

ソフテックは、ソフトウェアの受託開発を専門に行っていますが、その分野は組み込みソフト開発、PLCソフト開発、Windowsソフト開発など多岐に渡っています。ソフトウェア開発を行う際に必要な開発環境、機材もそれぞれ異なるため、在宅勤務でも滞りなく作業ができる場合と、そうでない場合があります。例えば、組み込みソフト開発のように、基板などの実機を使用して開発を行う場合、どうしても実機がないと作業できない場面があります。具体的には、タッチパネル、スイッチなど物理的な操作を行ってソフトの確認を行う場合や、問題調査のために計測機器を使用する場合は、実機がないとデバッグ、テスト作業が進められません。ソフテックでは、このような作業を行う場合は出社しての作業が認められていましたが、在宅勤務でもできることと、出社時にやることを予め選別して、予定しておくことが必要になります。これがきちんとできていないと、必然的に作業効率も落ちてしまいますので、作業予定を立ててその通りに進める能力が必要になります。ソフテックでは、Lotus Notes(現在はHCL Notes。以下、Notesとします)を使用した日報報告で普段から作業状況と予定を報告し、トレーニングしている部分になりますが、苦手意識を感じる社員も、少なからずいたようです。

2.2 自発的に作業を進められるかどうか

具体的な人数を数えたわけではないですが、在宅勤務を実施した社員の半数以上から、”在宅勤務のほうが集中して作業できた”という声があがりました。指示がなくても、自分で動ける社員からは、そのような声が多いように感じました。ソフテックではSAMS(ソフテックだより第188号「アメーバシステムによる業務改善」参照)など様々な仕組みをつくることで、自立した社員の育成に力を注いでいますので、自発的に作業を進められる社員のほうが多いのだと思います。一方で、入社年数が浅い若手社員は、いざ一人で開発を進めようとしても躓くことも多く、気軽に先輩社員に質問できないと、作業効率が大幅ダウンしてしまいます。
この対策として、ソフテックでは社内コミュニケーションのツールとしてMicrosoft TeamsやSkype、Slackなどを試験的に導入しました。一部の社員からは、”チャットのほうが出社しているときよりも先輩に気軽に質問しやすい”という声も聞かれたくらいです。その理由が”出社しているときは先輩社員が忙しそうにしている様子が見えるので、逆に聞きづらい”ということだったので、それはそれで問題ありですが・・・
コミュニケーションツールについては、各社からいろいろな機能をもったツールが提供されていますので、自社の要求や、利用シーンにあったものを選択するのがよいと思います。ソフテックでも今後これらツールをどう活用していくかは議論を継続中です。

2.3 作業環境の問題

一人暮らしの社員からは、”そもそも作業机がない”という声も聞かれました。ソフト開発作業は、長時間同じ姿勢で作業をすることになりますので、疲れにくい机と椅子が、あるとないとでは、作業効率にも大きな影響が出ます。
作業を行う部屋の環境も作業効率に少なからず影響を及ぼしたようです。”日中、家の近くで工事を行っていたため、騒音で仕事に集中できなかった”という声もありました。また、”家族がいるので、仕事に集中しづらい”という声がある一方で、”家族に仕事をしている姿を見せられてよかった”という声もありました。
自宅の作業環境については、人それぞれに何かしら課題があったようですが、できる範囲で仕事をしやすいように工夫したという声を多く聞きました。

2.4 在宅勤務のほうが集中できることもある

ソフテックの在宅勤務では、4つのグループでローテーションを組み、1つのグループが出社して事務作業などを担当していました。事務作業の中には、電話の取り次ぎ、宅配便や来客の対応、郵便受けの確認、などなどの作業が含まれます。
出社する場合は、これらの突発的な割り込みや、口頭での相談などで、作業が中断されることが少なからずあります。一方、在宅勤務の場合は、これらがないため、”在宅勤務のほうが集中して作業ができる”という声がありました。
在宅勤務とは関係のない他社の働き方の事例になりますが、1日のうち2時間は電話や相談など割り込み作業を一切行わず、自分の作業だけに集中する時間を設けて、効果を上げている企業もあると聞きます。在宅勤務では、自然と、この取り組みと同じような、割り込みが少ない、集中できる環境を作ることができるようです。実際、在宅勤務実施中は、遅い時間まで作業をする社員が減り、残業時間が減る傾向がみられました。”集中して作業できたから残業時間が減った”という単純な話ではないと思いますが、理由の一つではあると思います。

2.5 長期化すると辛くなる?

ソフテックの在宅勤務は都合5ヵ月近く実施しましたが、”在宅勤務を始めたころは緊張感をもって作業をできていたが、徐々に集中力が続かなくなった”という声がありました。集中力を維持するためには、適宜オン/オフを切り替える休憩を挟むことが効果的なようです。洗濯物を取り込んだ、洗い物をした、という社員もいましたが、休憩がてら家事もできるのは、在宅勤務ならではのメリットではないでしょうか。
一方で、”丸1日誰とも会わずに仕事をしていると不安になる”という声もありました。慣れない在宅勤務のストレスが原因で起こる「テレワークうつ」も実際あるそうです。この問題に対しては、在宅勤務に固執するのではなく、週1日は出社する日を設けるなどして、仕事に変化をつけることが効果的だと思います。
また、”在宅勤務には誘惑が多く、周りの目がないとだらけてしまう”という声もありました。出社して仕事をする場合は、通勤が仕事モードに移行するためのスイッチとして働き、社員全員がオフィス環境に身を置くことで集中力を維持できるという側面もあります。休日にカフェでパソコンを開いて作業をしている人をよく見かけますが、自宅で一人作業するよりも、周りに誰かいる静かな環境の方が作業に集中できるという点で同じ原理なのだと思います。この問題については、社内コミュニケーションツールやWebミーティングの活用が有効ではないでしょうか。リモートでも誰かと繋がっていることで、孤独感を感じることなく、一定の緊張感を保って作業できるのではないかと思います。

3. 社内、お客様とのコミュニケーションについて

在宅勤務を実施したことによって、社内、お客様とのコミュニケーション方法も必然的に変わりました。その変化についていくつかご紹介したいと思います。

3.1 Webミーティングの活用

緊急事態宣言下では直接お会いすることができなかった反面、環境が整っていればWebミーティングを気軽に開催できますので、その機会は増えました。私自身は在宅勤務中にお客様とWebミーティングを行うことはありませんでしたが、行った社員もいます。Webミーティングに関しては、通信環境の問題などなければ、基本的に在宅でも出社でも、同じ成果を得られると感じます。
私自身Webミーティングで難しいなと感じたのは、一度も実際にお会いしたことのないお客様とWebミーティングで初めて打ち合わせをした場合です。Webミーティングではお互いの表情やしぐさを読み取り難いので、十分な意思疎通がとりづらいなと感じています。また、こういうことも聞きたいけど、Webミーティングなので聞くことを躊躇するということもあります。何度かお会いして仕事をご一緒したお客様との打ち合わせであれば、Webミーティングでもお互いに言いたいことは伝わりますし、躊躇なく質問もぶつけられます。緊急事態宣言下でお客様と直接お会いできないことは仕方がないですが、今後、直接お会いできる状況になったときには、Webミーティングと対面の打ち合わせの使い分けが必要になってくると感じています。

3.2 事業所間のコミュニケーションも変化

在宅勤務前の事業所間コミュニケーションは、基本的にNotesメールによるやりとりか、内線電話が中心でした。今回、全社で試験的にTeamsを導入したところ、”在宅勤務中に事業所間でTeamsを使用したが、電話で話をするよりも、PC画面共有などできて認識合わせがしやすかった”という声がありました。このような点からも、Teamsの社内活用については、在宅勤務に関係なく、今後も推進していくことになりました。

3.3 外線電話の対応について

在宅勤務においては、お客様からの電話を在宅勤務中の社員にどう取り次ぐか?という問題があります。ソフテックではごく一部の社員以外は、会社携帯を持っていません。そのため、ご不便をおかけしたことも少なからずあったと思いますが、緊急事態宣言下の在宅勤務では、お客様も在宅勤務中である場合がほとんどだったため、メールでの連絡などに切り替えていただくなど、ご配慮いただきました。緊急事態宣言解除後も、在宅勤務を継続して行うようなことがあれば、会社携帯の支給などは検討の必要がありそうです。

4. その他

4.1 ペーパーレス化について

現状ソフテック社内の文書に関しては、ペーパーレス化されていますが、社外の文書については、まだ対応できていないものが若干あります。例えば、郵便物について、請求書が紙のみで届く場合など、出社している社員が内容を確認してスキャンし、担当者にメールで送る必要があります。なお、FAXについては、複合機に、受信データを自動でPDF化してサーバーに保存する機能があれば、在宅でも確認することができます。
ソフテックから納品物、請求書を送付する場合も、ソフトを書き込んだメディア(DVD)と社印を押した請求書の原本を郵送するケースがほとんどですので、この点も在宅勤務ではできない作業になります。
完全ペーパーレス化については、法律的な課題もありますので、今後の行政の取り組みを注視したいと思います。

5. おわりに

今回のソフテックだよりでは、ソフテックでの在宅勤務の実態についてご紹介させていただきました。
在宅勤務は社員にとっては、感染リスクを減らせること、通勤時間がかからず、通勤ストレスから解放されることは、大きなメリットです。コロナ禍においては、感染リスクを減らすことで社員の健康を守り、医療現場のひっ迫を抑止する一助となるのであれば、社会に対してもプラスになります。これらの利点と、在宅勤務のデメリットとを天秤にかけながら、もうしばらくは在宅勤務と出社勤務の両方を使い分けていくことになりそうです。 新型コロナウィルス感染者数の収束見通しが立たない現状においては、1日も早くコロナ関連の問題が解決することを願うばかりです。今まさに在宅勤務をされている方も多いと思いますが、今できることを積み重ねて、共にこの難局を乗り越えましょう。

(T.S.)


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