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現在多くのPLCで高速化および高機能化が進んでおり、お客様へのよりよい提案や作業効率改善など幅広く検討ができるようになってきました。
今回は、各社PLCに搭載されている機能からロギング/トレース機能について取り上げて紹介します。
ロギングとはその意味の通り、『時間の経過に沿って定期的に記録すること』です。
一昔前は、PLCにパソコンを接続したり、別機器を接続してのロギングが主流でしたが、最近はPLCの一機能としてロギング機能が盛り込まれています。
ロギングしたデータはファイル保存するだけでなく、ツールを使用することにより、ロギングしたデータのトレンドグラフを表示したり、グラフを重ね合わせて表示したりと容易にデータ確認・分析、トラブル時の調査に利用することが可能です。
本格的なロギングは外部機器に任せるとしても、外部装置等を設置せず簡易的なロギングを行いたい場合には、とても有効な機能となります。
例えば、弊社では以下のような状況で利用することが多いです。
次に各社PLCのロギング機能とデータ確認に使用するツールについて比較します。
各社PLCとロギング機能の特徴は以下になります。
横河電機 | 三菱電機 | キーエンス | オムロン | |
---|---|---|---|---|
対応機種 | F3SP71-4N F3SP76-7N F3SP71-4S F3SP76-7S |
QnUDVCPU LCPU RCPU |
KV-5500 KV-5000 KV-3000 |
CS/CJシリーズ Cシリーズ CVM1/CVシリーズ |
機能名 | サンプリングトレース | データロギング | ロギング・トレース | データトレース |
データ 収集方法 |
定周期ロギング スキャンごとのロギング トリガロギング |
連続ロギング スキャンごとのロギング トリガロギング |
定周期ロギング スキャンごとのロギング トリガロギング |
定周期ロギング スキャンごとのロギング トリガロギング |
サンプリング 点数 |
リレー最大64点 レジスタ最大128ワード |
最大128点×10設定 | 最大128点×10設定 (点数はサンプリングするデバイスサイズにより変化) |
接点最大31 点 チャネル(ワード)最大6点 |
ファイル 保存場所 |
RAMDISK SDメモリカード |
SDメモリカード | 内部メモリ SDメモリカード |
内部メモリ |
ファイル 保存形式 |
独自形式、CSV形式 | CSV形式 | CSV形式 | 独自形式、CSV形式 |
その他 |
|
|
|
− |
各社ともロギング方法は、指定時間による定周期ロギング、1スキャンごとのロギング、ビットデバイスまたは命令によるトリガロギングと同様の機能を持っています。
ロギングデータの保存もCSV形式で保存ができ、SDメモリカードに保存することができます。
CSV形式であることで、Excelなど表計算ソフトを使用してデータ分析が行いやすくなっています。
CPUに装着するSDメモリカードに保存することにより、特別なツールを必要とせずにロギングデータを取り出すことができます。
注意点としては、SDメモリカードに保存できるため多くのデータをロギングできますが、1度にロギングするデータ数が多いとCPUへの負荷が増え、スキャンタイムが延びて制御に影響が出る可能性がありますので注意が必要です。
100ワードのロギングでおよそ65〜180μsほどスキャンタイムに影響が出ます(実際にはCPUの型式、プログラムの動作状況などにより変化します)。
プログラミングツールとは別にロギングデータを表示するツールを使用することで、PCからロギングの設定、開始、データの読出し、データ解析などが行えます。
ツールはプログラミングツールに付属している場合が多く、ラダープロジェクトからデバイスコメントを取り込んで表示できるツールもあります。
また、ロギングしたデータのグラフ表示、2点間の時間計測、グラフの重ね合わせ表示などができ、データ分析に活用できます。
各社ともほぼ同様の機能を備えており、データ分析など行う上で十分な機能を持っていると感じました。
各社のデータ確認ツールの特徴を以下の表にまとめました。
横河電機 | 三菱電機 | キーエンス | オムロン | ||
---|---|---|---|---|---|
ツール名 | LiveLogicAnalyzer | GX LogViewer | リアルチャートモニタ | データトレース/タイムチャートモニタ | |
機能 | ロギングデータの グラフ表示 デバイスを選択して リアルタイムモニタ |
ロギングデータの グラフ表示 デバイスを選択して リアルタイムモニタ |
ロギングデータの グラフ表示 デバイスを選択して リアルタイムモニタ |
ロギングデータの グラフ表示 デバイスを選択して リアルタイムモニタ |
|
グ ラ フ 表 示 |
グラフの整列・重ね合わせ | ○ | ○ | ○ | ○ |
グラフの自動調整 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
表示スケールの変更 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
グラフの表示位置の変更 | ○ | ○ | − | ○ | |
グラフの拡大 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
デ │ タ 検 索 |
マルチカーソルによる 区間データ確認 |
○ | ○ | ○ | ○ |
カーソルジャンプ機能 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
データの検索 | ○ | ○ | ○ | − | |
デ │ タ 保 存 |
ロギングデータの保存形式 | 独自形式ファイル CSVファイル |
CSVファイル | CSVファイル | 独自形式ファイル CSVファイル |
トレンドグラフを 画像ファイル保存 |
○ | ○ | ○ | ○ | |
そ の 他 |
グラフ印刷 | − | ○ | ○ | ○ |
デバイスコメント表示 | ○ | − | ○ | ○ |
○:対応している
−:対応していない
弊社でロギング機能を使用した例を2点紹介します。
PLCと通信している上位装置やバーコードリーダーなどとの通信データを確認するためにロギング機能を使用しています。
送信、受信のタイミングをトリガとして送受信データをロギングすることで、トラブルが発生した際にロギングデータを確認して問題がないか確認することが可能となり、トラブルの早期解決を行うことができます。
今のところはトラブルなく稼働しているためロギングデータを確認することはありませんが、トラブルが発生した時の備えとしてロギング機能を使用しています。
納品後数ヵ月たった際に、『稀に動作がおかしくなる』という連絡が客先より入りました。
プログラムを解析すると、予期せぬタイミングで何らかの入力が入っているというところまではたどり着いたのですが、何の入力なのかの判別ができませんでした。
そのため、原因収集の為にロギング機能を用いることにしました。
関係する入力を一通りロギングし、『稀に動作がおかしくなる』というタイミングを待つことにし、数日経過したある日に発生しました。
すぐに、お客様にログデータを送っていただき、解析した結果センサ機器の故障であることが判明しました。
CPU機能の比較としてロギング機能を取り上げて比較してみました。
今回比較した各社PLCでは、ロギング機能を持っているのでトラブル発生時の原因調査などに使用することができます。
また、信号のON/OFFやデータの変化を見ることができるのでタイミングが絡む調査にも活用できます。
一部の機種ではSDメモリカードにロギング設定を書き込んでおくことでSDメモリカード挿入時に自動でロギングを開始する機能があります。
この機能を使用すれば稼働中の設備を停止させることなくロギングの実行、データの回収・確認ができる手軽さがあります。
PLCが高機能化してロギング機能を使いやすくなっています。ロギング機能を使用して設備の改善、メンテナンスに活用したいなどロギング機能に興味をお持ちの方へ参考になれば幸いと思います。
(S.K.)
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