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ソフテックだより 第290号(2017年9月20日発行)
現場の声編

「Notesとの歩み」

1. はじめに

弊社では1995年10月にグループウェアLotus Notes(以下、Notes)を導入して、今年で22年目となります。
今でこそ多数のデータベースを運用し、色々なデータベースを自社開発していますが、導入当初は分かる社員がまったくいない状況で運用を開始し、試行錯誤を繰り返しながら現状にいたっています。
当時はNotes R3.3Jでの導入でしたが、そこからNotes R4.0J、Notes R4.1J、Notes R4.5J、Notes R4.6J、Notes R5.0、Notes 6.0、Notes 6.5、Notes 7.0、Notes 8.0、Notes 8.5と進み、現在ではNotes 9.0がリリースされています。(※1)
新しいバージョンが発売されるにしたがって、機能が次第に拡張されていき、Webサーバー機能の搭載、Lotus Script(※2)のサポート、JavaScriptのサポート等が追加され、開発手段が豊かになっていきました。
Notesを使って優れていると思うことはその下位互換性が高いことです。システムを新しいバージョンにバージョンアップしても100%とはいきませんが、ほとんどの場合、そのままに近い形で運用できる高度な互換性を保っています。
22年前に開発して情報が蓄積されているデータベースが今でもほとんどそのままで稼働させることができているため、うまく運用していけば有用な情報管理ツールとなると感じます。
私はNotesを導入後のNotesシステムの運用およびNotesデータベースの開発を担当しています。今回、Notesのユーザーとしての立場やNotesの管理者の立場を交え、導入当時のことや導入してからのこと、また導入してどう変わったかのことを振り返ってみたいと思います。

2. Notesシステムの導入

Notesシステムを導入する前は社内ネットワーク(Ethernet)環境も全く敷設していない状況でした。
そのため、グループウェアの導入と同時に社内ネットワーク環境導入も含めて検討を行っています。
今ではグループウェアは色々と選択肢はありますが、当時は多くはなく、最終的にはLotus NotesとMicrosoft Exchange Serverの2つの製品で検討し、Notesを導入しています。
実際の導入の際にも、当時は誰も知識がない状態でしたので、グループウェア構築業者3社に声をかけてそれぞれの提案書を入手し、その中の1社にシステム構築をお願いして導入しています。その中には実績があってノウハウがあるところ、実績はないが一緒に頑張っていきたいと言ってくれたところ等とさまざまでしたが、実績があってノウハウがあるところに依頼しました。
導入したときのNotesシステムは、Notes R3.3Jでした。それをIBM製のOS/2が搭載されたサーバーで運用を開始したことを憶えています。
当時はクライアントOSもWindows 3.1がほとんどで、ようやくWindows 95搭載のパソコンが出てきた状況でした。
それらのパソコンで運用していましたが、今から見るとシステムも不安定で頻繁にエラーが発生したり、停止したりしていたように思います。
しかし、グループウェアによって色々と情報の共有ができるようになり、効率が良くなっていきました。

3. 導入してから

しばらくはNotes R3.3Jのまま運用を続けましたが、誰が作成したか分からないデータベースがいつの間にか乱立しているような状態できちんと管理されておらず、運用についても模索していた状況でした。
運用開始からしばらくは色々と試行錯誤しているような状態であり、様々な書籍を買い込んだりセミナーに参加したりして勉強していった覚えがあります。
始めのころはNotesに標準添付していたデータベースだけで運用していましたが、次第にこういうことができないか?等と少しずつ要望が出てきて、既存のデータベースを少しずつ改造して運用を続けていきました。次第に改造ではなく新しくデータベースを開発するようになっていきました。

導入当時から本社事業所、八戸事業所にNotesサーバーを設置していましたが、このNotesサーバーへの出張先からのアクセスはモデムを使った電話回線で行っていました。
当時は企業のネットワークといえばIPX/SPXプロトコルを使ったNetwareが一般的であり、NotesシステムもIPX/SPXプロトコルで運用を開始しています。
次第にWindows 95が普及していき、現在最も普及しているインターネットに代表されるTCP/IPプロトコルを使ったネットワークに移行していきましたが、導入後、しばらくはIPX/SPXプロトコルで運用しています。
その後、サーバーOSをWindows Server NT4.0、Windows 2000 Server、Windows Server 2003、Windows Server 2008・・と更新していくに合わせて、NotesのシステムもNotes R4.1J、Notes R4.6J、Notes R5.0・・と更新していっています。
Notesシステムのバージョンを更新していくにつれて、実現できることが増えて、Notesデータベースも次第に複雑になっていきました。
例えば、Notes R4JからLotus Scriptがサポートされましたが、それを使ったデータベースを作成できるようになり、出張精算申請データベース、 一斉配信データベース、財務処理システム等の複雑な動作を行うデータベースを開発しています。

技術レポート「[Notes DB 実装例] 出張精算申請データベース」 技術レポート「[Notes DB 実装例] 一斉配信データベース」 技術レポート「[Notes DB 実装例] 財務処理システム」

その後、2008年に社内でSAMSと呼んでいる業務支援データベースも構築し、色々なデータベースを有機的に連携できるようにしました。

現場の声編「アメーバシステムによる業務改善」

以下にNotes R3.3Jから8.5まで表にしてみました。
バージョンが新しくなっていくにしたがってサポートされる機能が増え、実現できることが増えています。

製品名 Notes R3.3J Notes R4.1J Lotus Notes/Domino R5.0 IBM Lotus Notes/Domino 7.0 IBM Lotus Notes/Domino 8.5
発売開始時期 1995年10月導入
参考:R3.0Jは1993年5月発売
1996年7月発売 1999年3月発売 2005年10月発売 2009年1月発売
当時のパソコン性能例
(Windows機)
CPU : Pentium/100MHz
Memory : 4MB
HDD : 540MB
OS : Windows 3.1
CPU : Pentium/100MHz
Memory : 8MB
HDD : 1GB
OS : Windows 95
CPU : Pentium II/400MHz
Memory :64MB
HDD : 10GB
OS : Windows 98
CPU : Pentium 4/1.6GHz
Memory : 512MB
HDD : 40GB
OS : Windows XP
CPU : Core 2 Duo/1.6GHz
Memory : 2GB
HDD : 500GB
OS : Windows 7
Notes DBサイズの最大値 1GB 1GB 64GB 64GB 64GB
Webサーバー機能 △(オプション機能)
インターネットメール
ユニコード対応
マクロ式(式言語)
Lotus Script
Java
IPv6対応 なし
モデム通信機能   ×
テレビ会議機能 Sametime連動 Sametime連動 Sametime連動

表1. Notesバージョン機能比較表

※比較表の注釈
・比較表内の記号については以下の通りです。
○:対応、△:対応はしているが機能は低い、─:対応しない、×:廃止
・それぞれのバージョンでは各機能が拡張されていますが、それらの機能拡張内容については省略しています。

4. 変わったこと

Notesを導入して一番に変わったことは報連相が実行しやすくなったことです。
それまでは日常の報告は口頭での連絡や紙資料の回覧がほとんどでした。
同じ開発を行っているメンバー同士では状況を共有していましたが、社内全体の報告としてはA4サイズ1枚に開発中の様々な物件における複数の情報を詰めた報告を週1回くらい作成する等、報連相の頻度は少なかったと思います。
Notesを導入してから報連相の機会が増え、今では複数のデータベースとの連携を取るように改善してより有用な報連相のツールとなっています。
また、お客様との開発情報のやりとりや過去に発生していた開発情報の参照といった情報の蓄積や共有が楽になっています。
Notesの場合は自社でデータベース開発を行うことによって必要に応じて仕組みを自分達でカスタマイズできます。業務支援データベースであるSAMSも自分達でカスタマイズした結果であり、現在では便利に使える状況になりました。

5. おわりに

弊社ではNotesを導入して弊社なりに苦労しましたが、Notesによる情報管理の恩恵を受けることができました。
実際、Notesを十分に使いこなせていない時期でもそれなりに情報を管理できるメリットは大きかったと感じます。
Notesのことが分かってくるにしたがって、さらに効率よく情報の管理を行えるように改善しており、それに応じて社内の情報共有が良くなっていったと思います。
また、Notesの導入は冒頭で述べた通り1995年ですが、その当時でもNotesはオーバースペックと思われる機能が色々ありました。それらは今ではオーバースペックとは言えないものですが、約20年前の当時はここまで対応する必要があるものか?と思われる機能もありました。
当時は、そのような時代を見据えた機能によってNotesというグループウェアは普及していきましたが、現在ではそれほど普及しておりません。それは他のグループウェアが出てきたり、世の中の情報管理の流行が変わっていったり、と色々な要因によって当時の隆盛はなくなりました。
弊社では自社でデータベースを開発していたため、随時メンテナンスができ、また使用するユーザーも過去の情報の蓄積も活用することができました。しかし、そうでないならばあまり活用できないままになっていたかもしれません。実際に、会議室、メール、スケジュール管理等といった一般的なデータベースだけであれば、敢えてNotesを選択する必要もなくなっていると感じます。
これからも新しい情報管理の方法が出てくると思われますが、それらの情報も取り入れて、さらにより良いNotesの活用ができるようにしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

(K.O.)

[注釈]
※1
正式にはLotus Notes R3.3JやIBM Notes/Domino 9.0等が正しい製品名ですが、ここではNotes R3.3やNotes 9.0等と表記します。
※2
Notes R3.3Jの頃はNotes Micro(表計算ソフトのLotus 1-2-3等に搭載されていたLotus マクロ系)での開発でしたが、Notes R4からVisual BasicベースのLotus Scriptが搭載されました。
[参考]
IBM社サイト Lotus Notes/Dominoの歴史

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