HOME > ソフテックだより > 第192号(2013年8月21発行) 現場の声編「現地調整での難しさ・経験・感じたこと」

「ソフテックだより」では、ソフトウェア開発に関する情報や開発現場における社員の取り組みなどを定期的にお知らせしています。
さまざまなテーマを取り上げていますので、他のソフテックだよりも、ぜひご覧下さい。

ソフテックだより(発行日順)のページへ
ソフテックだより 技術レポート(技術分野別)のページへ
ソフテックだより 現場の声(シーン別)のページへ


ソフテックだより 第192号(2013年8月21発行)
現場の声編

「現地調整での難しさ・経験・感じたこと」

1. はじめに

私は入社4年目の社員です。ソフテックの仕事は大きく分けてWindowsアプリケーション、マイコン、PLC(※1)の3つに分けられます。私は現在、PLCの案件を主に行っているグループに所属しています。PLCの案件は他のWindowsアプリケーション、マイコンの案件に比べると現地調整(※2)が多くあります。工場などの設備を制御するソフト製作をする上では、現地調整は必ずといっていい程必要になります。
現地調整では、基本的に工場内での作業になるので、作業着を着て、ヘルメットを被ります。(現地調整の様子については第138号のソフテックだより「現地試運転調整時の心がまえ」をご覧下さい。)慣れない環境や場所、慣れない格好での作業になり、決して楽な作業ではありません。しかし、現地調整では普段見ることが出来ない工場の設備が見られたり、実際に自分の作成したプログラムで設備が動いているところを見ることが出来るので、やりがいがあります。

今回は私が、今年6月に行った現地調整で失敗したことや失敗から学んだこと、感じたことを書きたいと思います。

2. 現地調整での失敗

私は今年6月、あるプラント工場の現地調整に行きました。その時の現地調整は比較的大掛かりな仕事で、私の所属するグループ4名全員で現地調整に臨みました。今までも何度か現地調整には行きましたが、グループ全員で臨むのはソフテックでは珍しく、私自身は初めてでした。そんな大掛かりな仕事の一部を私が任されていました。
私が任されたのは制御の一部で、基本は液体を流すだけになります。これだけを聞くと非常に簡単に聞こえるかもしれませんが、実際に液体を流す際には、「たくさんのタンクや配管のどこからどう流すのか?」、「流す液体の特性は製品になる実液?それとも洗浄するための洗浄液?」その他にも設備の状態など考慮することはたくさん有ります。
この制御の製作を行う際に先輩社員から色々とアドバイスを頂き製作しました。アドバイスして頂いていたにもかかわらず失敗してしまったことがありましたので、その時の失敗談について触れたいと思います。

2-1. 装置の異常・警報状態の監視を徹底して行う

現地調整中は社内では確認できず、現地でしか確認できない項目は多く有ります。その上で装置の状態を確認し、問題がないかを常に確認しなくてはなりません。
現地での動作確認中、圧力が高い状態であることに気が付かずに圧抜きをしたため、大きな音と共に水滴が広範囲に飛び散ってしまうことがありました。制御は想定通りに動いたのですが、制御の方ばかり気にしており、異常監視に考慮不足があり、決して安全とは言えない制御になっていました。その時、私はすぐに自分が制御している設備の異常であることに気が付きませんでした。先輩社員が近くにいて、私が制御中の設備であることを教えて下さいました。工場内では安全第一で作業を進めていましたが、私の視野が狭くなってしまっていました。設備の状態監視については想像以上に気をつけておくべき項目は多くあり、安全面に関する部分は気をつけて見るようになりました。

2-2. 修正後の影響範囲の考慮不足

現地で一部制御を変更し、その変更した際の影響範囲の考慮が足らず、送液ラインを締切させてしまいました。送液ラインを締切させてしまうと、装置としては送りたいが実際は送る先が閉まっているので圧力がかかってしまい、装置に負荷がかかるというものです。その時は制御を変更してすぐだったので動かしてすぐに気付くことが出来、問題にはなりませんでしたが、そのまま続けていたら装置の負荷が高まり、壊してしまう状況でした。原因はすぐに分かり、制御も変更しました。現地調整時の変更は社内で変更するとき以上に気を使わなくてはいけないと感じ、それ以降は注意するようにしました。

3. 感じたこと、学んだこと

私がこの時の現地調整を通して感じたことは社内のテスト環境で動かすのと、実際に設備を使って動かすのでは、着目すべき点が増えるということです。現地での作業は社内確認の時以上に見ておくべき項目が増え、見ているだけではなく、パラメータの変化次第で制御も対応させなくてはいけないこと、私の想像以上に大変で色々あるのだなという印象でした。
また、現地調整中は自分の他、お客様もいます。自分の作成したソフトが設備で、どのように動いているか?また、設備の状態やパラメータ等確認した上で今何をしているのか?問題があった際には、どうしてこうなったか?どう修正、調整していくのか?なども説明しなくてはいけません。状況を説明するのは簡単なことではなく、問題が起こってしまったことへの焦りなどもあり、難しいものです。社内のテスト時に問題が発生した時は下の図のような形で対応していきますが、現地調整時には状況が変わるごと(矢印のタイミング)にお客様への報告、連絡、相談を行わなくてはいけません。うまくいっている時はきちんと報告、連絡、相談が出来るかもしれませんが、うまくいっていない時は非常に言いにくいものです。しかし、そんな状況の時ほど報告、連絡、相談が必要です。

問題発生時の流れ
図1. 問題発生時の流れ

今回の現地調整では多くのことを学びました。現地だから分かることもありましたが、社内作業時でも頑張って考えれば避けることが出来たかもしれなかったこともあり、”先行検討”をもっと行うことも課題です。”先行検討”とは作業に着手する前にあらゆることを想定して、徹底した検討を重ねることで無理・ムダを排除していく考え方です。”先行検討”はソフテックでは重要視されています。日頃からソフテック社内でも良く使われる言葉で、質の高い仕事・作業をする上では先行検討は必須です。仕事を円滑に効率良く進めていくためには、常に先を見通しながら対応することが求められます。先行検討をすることで作業をスムーズに行うことが出来、問題が発生した時でも臨機応変に対応することが出来ます。
また、図1の動作確認をする際に”先行検討”をしっかり行うことで「問題が発生する際はどのような問題が発生するのか?その問題に対する対応策は?」まである程度検討することで問題に対しての対応がスムーズに行きます。

この時の現地調整ではうまく動くまでに多少時間はかかったものの、うまく動いた時の達成感、感動、面白さを感じました。ソフトウェアの開発は目には見えないもので、社内で作業をしていてもなかなか実感がありません。しかし、現地にいくことでよりリアルにソフトの動作を感じることが出来、社内作業以上に面白いものです。また、現地調整ではお客様から「ありがとう」と言って頂けることが多く、やりがいを感じます。
今までもソフトの製作や現地調整は経験しましたが、この時ほどソフト製作から現地調整を行ってはいなかったので今まで以上に強く感じました。
また、もっと現地調整を経験していく中で現地でなくても分かることが出てくるかもしれませんし、何より現地での作業に慣れることという意味でもまだまだ経験が必要だと感じました。今回のことを今後に活かしていけるように努力したいと思います。

(S.S.)

[注釈]
※1
PLCとは、「プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)」の略です。
※2
現地調整とは、社内で作成したソフトをお客様のところに出張して納入前の検証をすることです。社内ではできない確認作業も含め、細かいところまで制御できているか確認します。

関連ページへのリンク

関連するソフテックだより

ページTOPへ