20年前の創刊から500号
2005年9月7日に「ソフテックだより」の第1号を発行してから20年以上経ち、今回が第500号となりました。
創刊以来、奇数号は「技術レポート」編、偶数号は「現場の声」編を原則にして毎月2回発行してきましたが、通算500号まで継続できているのはひとえにご愛読いただく皆さまのおかげであり深く感謝申し上げます。
AIはマイコン応用の最高傑作か?
節目の500号を担当する私は、今年社会人生活50年目の節目を迎えております。
弊社は、株式会社田原電機製作所(以下、「TEC」)の電子事業部のソフトウェア開発部隊が分離独立して設立しており今年39年目です。
私は最初TECに入社してソフテック設立時に異動しました。
弊社社員の名刺の右上には、「マイコン誕生から今日までの半世紀 産業用ソフトウェア開発ひと筋に」と書いています。私がTECに入社した時にはマイコンが登場して間もないころで、マイコンを色んな用途に使おうとする応用システム開発の黎明期でした。今と比較するととても貧弱な開発装置を使い、TECでソフテック創業者の田原道夫と一緒に夜中までソフトウェア開発していたことを懐かしく思い出します。
そのようなマイコン応用開発の黎明期から半世紀経った今、マイコン応用の最高傑作ともいえる「AI(Artificial Intelligence)」の驚異的な実力を目の当たりにして、マイコン性能向上の凄さを改めて強く感じます。
「AIの登場による影響度は約200年前に起きた産業革命をはるかに超え、人類史上最大級のできごと」と説く学者がいるように、広範囲な影響度とその影響スピードは凄まじく、驚異を感じるくらいです。
AIとの共創の道は?
昨年10月、社内研修会用に「社員の自己成長にAIをどう活かせるか?」とAIに質問したところ、「AIの位置づけ」を、現状(思考の拡張)、5年後(学習の伴奏者)、10年後(共創のパートナー)と提案してくれました。
10年後については「AIが仕様書やプログラムコードを自動作成できるようになっているので、エンジニアの価値は、『AI+人間』で何を創造できるかの探求であり、感性・倫理・哲学的思考といった“人間の核”が、最大の差別化要因になる」という解説付きでした。
2022年11月に生成AIが一般公開されてからまだ3年半しか経っていませんが、その実力向上トレンドを見れば、「AIとの共存、共創の道」をどう切り拓いて行くかが極めて重要な課題であることは間違いありません。
「ソフテックだより」の「技術レポート」も、具体的にどのように変わっていくのかと考えてしまいます。
「仕様を提示すればAIが具体的なプログラムコードを自動生成してくれる。それどころか要求仕様を提示すれば、AIが細かな仕様を書いてくれる」状況は、「プロジェクトリーダーの下に、色んな得意分野を持った多くのAI部下が付いている。プロジェクトリーダーの管理能力に応じて、いくらでも多くのAI部下に得意な役割を依頼できる」という開発イメージを想起させます。
産業用システム開発で技術者が果たすべき役割
弊社が手掛けている産業用システム開発は、正常動作時のプログラム量と、さまざま異常が発生した時に動作するプログラム量は「2対8」とも言われ、圧倒的に異常処理系が多いのが特徴です。
また、「フェールセーフ」の考え方も業種によって大きく異なるのが現実です。
「フェールセーフ」やシステムの異常処理系をどのようなコンセプトでつくりあげていくかなどは、お客様との打合せや基本設計段階でしっかり決めておかないと完成しても使いものにならない品質の低いシステムになってしまいます。
当然ながら、製作担当がAI部下中心になっても、システム全体の責任はそのプロジェクトリーダーが担う必要があります。
弊社は受託開発会社であり、お客様に喜んでいただける高品質なシステムをご提供し続けるためには、お客様との信頼関係に基づく「人対人」の緊密なコミュニケーションが今まで以上に重要になると思います。
弊社には営業部門がなく、技術者全員が営業担当者で「提案営業(お客様の気づかないところを提案でフォローする)」を推進してきていますが、今後さらに磨きを掛けていく必要があります。
今までは、プロジェクトリーダー以外の実開発担当者も「提案営業」意識を持ってやってきており、ソフトウェア製造やテスト過程で担当者が気づく提案も盛り込めましたが、それをAI部下に求めるのは無理があります。
下流工程をAIが担当するようになると、「品質は上流でつくりこむ」という「モノづくり」の原則を、今まで以上に徹底していく必要があります。
これらは、その対応を可能にする技術力やコミュニケーション力を身に付けていく必要があり、容易ではありません。
ただ、AIが提案してくれた「人間の核」形成の、具体的で現実的な道ではないかと感じます。
最後に
今後、ソフトウェア開発業務でAIとの共創の道を模索していく必要がありますが、引き続き弊社では「等身大」の「ソフテックだより」発信に務めて参ります。
読者の皆さまに引き続きご愛読いただけるよう弊社員一同努力して参りますのでよろしくお願い申し上げます。
株式会社ソフテック
相談役 田辺 勉