HOME > ソフテックだより > 第300号(2018年2月21日発行)第300回記念特別号「『ソフテックだより』第300号発行に思う」

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さまざまなテーマを取り上げていますので、他のソフテックだよりも、ぜひご覧下さい。

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ソフテックだより 第300号(2018年2月21日発行)
第300回記念特別号

「『ソフテックだより』第300号発行に思う」

第300号!

この「ソフテックだより」が創刊以来の第300号です。2005年9月7日に「ソフテックだより」の第1号を発行しましたから、以来12年あまりが過ぎたことになります。創刊以来、「現場の声」編と「技術レポート」編をそれぞれ毎月1回以上発行してまいりましたが、それが通算で300回になったわけです。これもひとえに読者のおかげだと思い、感謝申し上げる次第です。
この12年あまりを振り返ってみると、思い起こすことが沢山あります。本号ではその内のいくつかを書いてみます。

ホームページ開設以来の原則

「ソフテックだより」は弊社が開設し運営している、株式会社ソフテックのホームページの一部です。弊社がホームページを開いたのは1997年4月1日ですが、掲載内容については当初から「透明性の原則」を重視してきました。つまり、飾ることなく、誇張することなく、すべてを「ありのまま」に掲載する、ということです。
企業のホームページではどうしても、自社の姿を実際以上に良く見せる傾向があります。しかし、ホームページは誰もが見ることができます。新規顧客開拓を目標にすれば、自社の欠点を隠し、得意なことだけを強調してみたくなります。ときには偽りをも書いてみたくなります。しかし、それを既存顧客がご覧になればどう思われるでしょうか?「ソフテックって、そんな良い会社じゃないよ。いくら宣伝だからといっても、嘘ばかりじゃないか」と不信感を買うのは目に見えています。ホームページは弊社員も見ます。社員はきっと思うでしょう。「ウチの会社は誠実さをモットーにしているなどと言いながら、実際には嘘ばかりついている」などと。
そのように考えると、ホームページに掲載すべき内容は「ありのまま」とすべきだとなります。いつ、どこから、また誰が見ても、「ソフテックとは嘘偽りなく、こういう会社だ」と納得していただけるようにすべきでしょう。弊社はこの原則を20年以上にわたって貫き通してきました。もとより、プライバシー保護とか法令常識遵守などは必要ですから、何もかもをありのままに書くことは許されません。また、弊社はお客さまとの間で秘密保持契約を結んでいます。お客さまに関する秘密情報を開示することも許されません。そういう制限はありながらも、とにかく弊社は「透明性の原則」を守ってきました。
「ソフテックだより」もホームページの一部であるからには、嘘や誇張があってはいけません。ありのままを守りながら、毎月2通以上の「ソフテックだより」を出し続けるのは難しいことでした。本号ではついにそれが300回になったわけです。このことに私は深い感慨を覚えます。

「技術レポート」編

弊社はお客様からの依頼を受けて、それに個別に対応するソフトをつくるのが仕事です。いわゆる、「個別受注の請負型ソフト開発企業」です。したがって、弊社がつくるソフトの一つひとつはすべてお客様と深い関係があります。多くの場合、私たちが獲得した最新技術とは、お客様にとっても最新技術であり、最新設備や最新商品の中核にもなります。ということは、弊社の一存でその技術を広く開示するわけにはいきません。
「技術レポート」を掲載する際、このことが常に最大の課題となりました。つまり、大事なこと、書きたいこと、最新技術情報をありのまま書くことが許されません。万一でもお客様にご迷惑をおかけすることがないようにと、「周回遅れの新技術発表」を繰り返さざるを得ません。透明性を原則としながら、周回遅れの技術情報を発表するのは残念であり、心苦しいことです。しかし、やむを得ないことだと割り切り、今日に至っています。

「現場の声」編

「ソフテックだより」を始める前の検討段階では、このコラムは「技術レポート」だけにするつもりでした。しかし、検討を始めて間もなく、それでは弊社の全貌をありのままに示すことが不可能だと分かりました。つまり、技術レポートを書くのは、弊社の中でも技術的に優れた人に限定されてしまいます。不適確で間違いのある技術情報を公開するのでは世の中に弊害をまき散らすのと同じです。そう考えると、誰にでも書かせるわけにはいかず、結局は技術的にすぐれた人だけが書くことになってしまいます。
しかしこれでは、新入社員や未熟練技術者の出番がありません。現実には弊社には少なからずの未熟練技術者がいます。それは弊社にとっての「不都合な真実」です。しかし、それを隠しながら、格好良いことばかりを書くのでは透明性の原則に反します。ありのままにはなりません。
そういう社員にも、本音を出しながら活躍できる場を作ることができないだろうか?そう考えている内に浮かび上がったのが「現場の声」編です。弊社員の一人ひとりが仕事を通じて悩んだり、苦労したり、喜んだり、ホッとしたことをありのままに伝える場です。これだったら全社員が書くことができます。もちろん、優秀な技術者も書くことができます。どんな人にも仕事上の悩みや苦労があり、それを切り抜ける喜びがありますから。

アーカイブ

発行して200号を迎える頃になって、私は当初は予想しなかった「ソフテックだより」の価値に気がつきました。つまり、これが弊社のアーカイブになることが分かってきたのです。アーカイブとは書庫とか保存記録という意味ですが、その意味で「ソフテックだより」はとても重要だと分かり始めたのです。
弊社の社員数はわずか40人ほどです。しかし、それぞれがみな専門化し、お互いの事情にうといのが現実です。ソフト開発の世界は常に激しく変化しており、専門化の流れは激しくなる一方です。そのため、毎日隣りの机に座ってはいても、お互いが何をし、何を考えているかが分からないのです。それどころか、自分のこともすぐに記憶が薄れます。つまり、つい数年前に自分自身が関わった仕事のことさえも忘れてしまいます。
しかし、「ソフテックだより」を見れば、かなりのことが分かります。また、思い出すことができます。社員の価値観や意識を共有することの手助けになるのは間違いありません。こんなわけで、「ソフテックだより」があと10年も続けば、弊社にとって、その価値は絶大になるかも知れません。

思いがけない読者の反応

発行当初、私たちは「技術レポート」に対する読者の反応は、内容が最新かつ高度であればあるほど、鋭いと思っていました。ソフト開発の技術変化は激しく、ちょっと現場から離れていると、あっという間にその知識は陳腐化します。そのため、読者は最新で高度な技術情報を求めていると思い込んでいたのです。ところが、数年もしないうちに「全く真逆である」ということが分かりました。弊社のホームページにアクセスする方々の分析をしてみると、技術的には初歩の入門的なキーワードを使っている方々の方が圧倒的に多いのです。
すなわち、「○○とは」というようなキーワードです。たとえば、その号を発行して以来10年も経ったというのに、「ステッピングモータとサーボモータの違い」、「マイコンとは」、「SCADAとは」などをキーワードにして弊社のホームページに飛んでくる方が後を絶ちません。こういうものが、今でも最も人気のある「ソフテックだより」になっています。 これは、弊社のホームページが弊社の思いを越えたところで価値を持っている、ということに他なりません。そのことが分かるたびに、私たちは自分勝手な思い込みを反省してきました。私たちはこうした読者の思いがけない反応から、多くのことを学んでまいりました。

継続は力なり

総勢40人足らずの弊社にとって、毎月2通以上の「ソフテックだより」を12年間も発行し続けるのは困難なことでした。弊社は全員が技術者であり、全員がお客様と約束した納期のある仕事に従事しています。工程が遅れ、納期が守れそうもなくなることは頻繁にあります。しかし、お客様優先は当然です。そうなると、執筆予定者が悲鳴を上げます。といって、そう簡単に代わりを書く人はいません。「ソフテックだより」を書くのが仕事だ、という人は一人もいないのです。何が何でも、執筆予定者に書いてもらわなければなりません。そんな状況を何度も何度も乗り越えてようやく300号を迎えることになりました。
昔から「継続は力なり」と言います。つまり、継続することによって力がつく、と教えられています。同時に、力なくして継続はできず、とも言えます。文章を書くのが苦手な弊社員一人ひとりが12年あまり継続してきたことによって、社員の力量は上がりました。また、上がったからこそ続けることができました。「継続は力なり」の意味を改めて考えさせられます。
私はこれまで、思わぬところで、思わぬ方から声をかけられました。初対面で名刺交換をすると、「あっ、あの『ソフテックだより』を出している会社ですか。あのおかげで、私はずいぶん助かりました」などと言われるのです。そんな経験を何度かしたものですが、そんなとき、つくづくと「継続は力なり」と思いました。

次の目標は第500号

現行のペースでいけば、2027年頃には「ソフテックだより」第500号発行の運びとなりそうです。そうなると、創刊以来20年以上が経過したことになります。それができるかどうかは、すべて読者次第です。そのご期待に応えるべく弊社員一同はますます頑張る所存でおります。どうか、今後もご愛読下さい。

株式会社ソフテック         
代表取締役会長  田原 道夫


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