私はソフテックへ入社して11年目になる社員で、本社事業所に勤務しています。
コロナウイルスが流行し始めた頃、ソフテックではTeamsの導入を進めました。
最近ではソフテックへの来客やお客様の元への出張する機会が以前のように増えてきましたが、Teamsなどのリモートでの打ち合わせも引き続き頻繁に実施しています。
Teams会議に関連して、コロナ禍で工場に導入したデータベースシステム(以下、DBシステム)があります。案件開始初期の頃は対面で毎週定例の打ち合わせを実施していたのですが、
コロナウイルスが流行してきた頃からTeamsでの会議に移行していきました。
工場へのDBシステムのセットアップやテストなども、工場に伺うのは最小限で、ほとんどがリモートでの作業になりました。
こういった経緯で導入したシステムですので、導入後の問い合わせ対応や追加要望対応なども、ほとんどがリモートでの対応となっています。
今回は上記のDBシステムのリモートでのメンテナンスについて、実際に行っているやり方などを紹介したいと思います。
今回の事例では、大きく分けて2つの手段でリモートメンテナンスを行っています。
2-1. Teams会議
お客様が工場での日々の作業をする中で、「少しオペレーションを間違えてしまったのですが、リカバリーはどうすればいいですか?」、
「ここの数量が合わないのですが、何か操作を間違えたでしょうか?」などの問い合わせが来ることがあります。
電話やメールで問い合わせが来る場合もありますが、Teams会議を開催し、画面共有でお客様の操作画面を見せていただくことも多いです。
会議と聞くと、事前に参加者に予定を確認し、「それでは何日の何時からお願いします。」などの調整が必要のように思われるかもしれません。
ただ、今回の事例ですと、担当の方からお電話があり、「画面を見てもらいながら説明したいのですが。」と説明があり、
その場で1対1のTeams会議を開催し、画面を共有するというやり方になります。
簡単な内容であれば、電話やメールだけで回答することも可能なのですが、どういう操作をしたか、
どういう表示になっているか、などを直接見せてもらった方が、何で困っているか分かりやすいです。
図1. Teams会議でのリモートメンテナンス
2-2. VPNソフト
お客様から問い合わせがあった時に、すぐに判断がつかず、詳細なデータや過去のバックアップなどを見る必要がある場合もあり、そういった場合はVPNソフトを使用する場合があります。
VPNとは「Virtual Private Network」の略称で、仮想的に用意した専用回線で安全に情報をやり取りする仕組みになります。
VPNソフトでお客様のネットワークに接続し、リモートデスクトップ接続アプリで工場のサーバーPCに接続しています。
サーバーPCのDB内には、お客様が直接は見ることができないようにしているデータも残っていますので、そちらの確認を行うことが可能です。
また、自動で毎日DBのバックアップを保存するようにしていますので、バックアップを社内のローカル環境に復元し、当時のデータの確認を行う場合などもあります。
お客様からの要望で機能の追加などがあった場合も、修正版ソフトのリリースにはVPNソフトを使用しています。
社内環境でDBシステムの改造やテストを行い、VPNソフトで工場のサーバーPCに接続し、最新のソフトをサーバーPCに展開というような手順になります。
ただ、工場ではシステムが運用中の状態ですので、変更が不要な部分のデータに手を付けることがないか、細心の注意を払って作業を行う必要があります。
図2. VPNソフトでのリモートメンテナンス
今回の事例での出張で作業を行う場合とリモートメンテナンスの比較を行います。
表1. 出張作業とリモートメンテナンスの比較
項目 |
出張作業 |
リモートメンテナンス |
データ操作 |
可能 |
可能※Teamsでは不可能 |
日程 |
要日程調整 |
即時対応可能 |
コスト |
対応費用+交通費 |
対応費用 |
周辺機器 |
確認可能 |
部分的に確認可能 |
表に記載したデータ操作には、DBのバックアップや復元、メンテナンス用の詳細データの確認、編集などを含みますが、出張作業でもリモートメンテナンスでも操作可能となります。
ただし、Teams会議の画面共有は、お客様が普段操作可能な範囲しか見ることができないため、詳細データの操作まではできません。
Teams会議で困っている内容を共有してもらい、会議終了後にVPNソフトで接続して、詳細データの確認を行うような使い分けになります。
日程面やコスト面で比較すると、リモートメンテナンスでの対応は即時性が高く、移動がないためコスト面でも勝っています。
なお、今回の事例のシステムは、複数の工場に納めており、ソフテックからは遠方の工場にも納めています。近場の工場でも遠方の工場でも、
同様に即時対応可能という点もリモートメンテナンスのメリットと感じます。
今回の事例のシステムでは、DBサーバーに接続する周辺機器(プリンタやハンディターミナルなど)が存在しています。
それらはソフテックの社内でセットアップを行い、工場に出荷しているものもあるのですが、工場への出荷後は、リモートで状態を確認することが難しくなります。
機器の設定がWebブラウザからできる機種やリモート操作ツールが存在する機種であれば、リモートでも確認可能ではあります。
ただ、IPアドレスを間違ったまま出荷してしまうと、リモートでは全く確認することができなくなり、工場に伺って状態を確認するか、
工場の担当の方に設定などを見ていただくしかなくなります。
上記のように、データ操作を伴うような問い合わせ対応などはリモートメンテナンスでも十分に行うことができますし、問い合わせがあってもすぐに対応することができます。
ただし、周辺機器も含めた問い合わせ等に対しては、出張での作業が必要になる場合もありますので、できることに応じた使い分けが必要になってきます。
今回紹介した事例は、初回の導入後も色々と機能の追加が継続しており、問い合わせの方も継続しています。
電話やメールだけで対応可能な問い合わせもありますが、実際の画面を見たい内容もありますし、
改造したソフトのリリースなども考えると、リモートメンテナンス環境が整っていてよかったと感じます。
なお、VPNはお客様に用意してもらった環境を使用しており、あらゆる案件でVPNソフトでのリモートメンテナンスが可能というわけではありません。
それに対してTeamsは、今回の事例ではお客様も契約していたため、お客様からのTeams会議の招待に参加することが多かったですが、
ソフテックも契約しているため、ソフテックからTeamsを契約していないお客様を会議に招待することも可能です。
このため、Teams会議の利用は、インターネットが使える環境であれば、比較的多くの案件に応用ができます。
Teamsは社内外問わず使用する機会が増えていますので、使い方により磨きをかけていきたいと思います。