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ソフテックだより 第442号(2024年1月17日発行)
現場の声編

「お客様とのリモート立会い検査」

1. はじめに

私は、八戸事業所に勤務する入社10年超の社員です。
第384号のソフテックだより「お客様との立会い検査」で対面での立会い検査を紹介しました。
コロナウイルスが流行する前は、対面での立会い検査が主流でしたが、コロナ禍で対面式の立会い検査がしづらい状況になり、リモート立会いの必要性が高まりました。
実際に私自身、リモート立会いを実施する機会がありました。
リモート立会いでは、web会議システムなどを活用して、遠方のお客様に八戸事業所内の映像をリアルタイムに見ていただきながら、検査を実施します。
本ソフテックだよりでは、対面式とリモート式の違い、リモート式で苦労した点や工夫した点について、紹介したいと思います。

2. 立会い検査

まず、立会い検査について、簡単に説明します。
開発したシステムやソフトウェアを確認する目的でお客様と合同で動作確認をすることがあり、「立会い検査」と呼んでいます。
立会い検査の対象は、私が担当したシステムの場合、パソコンソフトウェアとマイコンソフトウェアでした。
検査内容は、パソコンの表示・操作や試験治具を使ったマイコン基板の入出力信号の確認です。
具体的には、パソコンの操作に対応する表示や試験治具への出力、試験治具の入力に対応するパソコンの表示や試験治具への出力を確認します。

3. 立会い検査準備

3-1. リモート立会いの確認方法検討

web会議システムを使って、お客様と打ち合わせをする経験はありましたが、リモートでの立会いは、コロナ禍により、はじめて実施することになりました。
まずは、リモート立会いをどのようにして、対面での立会いに近づけるかということの検討からはじめました。
立会い検査では、複数台のパソコンを操作して、表示を確認する必要があります。
リモート立会いでは、パソコンの操作を減らさなければ、操作や確認に時間がかかり、対面での立会いのように進められないだろうと考えました。

そこで、下図のとおり、複数パソコンの操作と表示は、PCリモート操作ソフトを活用して、web会議システム用のパソコン1台で操作と表示をできるようにしました。
複数パソコンの表示を1台のモニタで同時に表示するため、解像度が4Kのモニタを用意しました。

PC4台をリモート操作
図1.  PC4台をリモート操作

試験治具の確認は、webカメラで試験治具を映すことにしました。
下図のとおり、パソコンの表示と試験治具の確認は、web会議システムの会議を分けて、常に両方の確認ができるように工夫しました。

web会議システムによるリモート立会いの例
図2.  web会議システムによるリモート立会いの例

リモートでの立会いは、はじめての実施でしたが、お客様には、大画面モニタの用意など、協力いただきました。
コロナ禍により、お客様が積極的に協力くださりましたので、問題なく立会いの準備を進めることができました。
とても感謝しております。

3-2. アジェンダ作成

アジェンダとは、会議の『議題』『予定表』のことを指します。
対面式の立会いと同様にアジェンダを作成しますが、特にスケジュールに注意して作成しました。
対面式の場合は、お客様と一緒に検査を進めていくうちに、認識が深まり、予定よりも効率的に進められる場合があります。
リモート立会いの場合は、操作内容と動作結果を説明しながら、お客様に映像を見ていただくという進め方となり、なかなか効率をあげることが難しいです。
検討不足などにより、その場で考えながら進めることがあれば、大幅なペースダウンとなる可能性があります。

4. リモート立合い検査

リモート立会いの経験談やお客様の反応について、紹介させていただきます。

4-1. 誰でも参加できる

対面式での立会いと異なり、お互いの社内で立会いを実施します。
そのため、担当者以外の方も参加しやすくなります。
例えば、冒頭やまとめの時間だけ、スポットでお互いの上司に参加いただくということが容易になります。
私が担当した立会いでは、担当者の上司に参加いただき、担当者のフォローをいただくことがありました。
対面式の場合は、担当者だけが立会いに参加する場合が多いので、誰でも参加しやすいリモート立会いならではのメリットだと思いました。

4-2. 音が聞こえない

音に関する問題では、テスターのブザーがマイクのノイズキャンセル機能により、お客様に全く聞こえないという問題がありました。
このときは、抵抗値の表示を見ていただき、問題ありませんでしたが、想定外の問題でヒヤリとしました。
音声は聞き取れていたので、全く注意できておりませんでした。
対面の立会いでは、意識する部分ではありませんが、リモート立会い特有の注意点だと実感しました。

4-3. 自由な操作や確認ができない

お客様は、パソコンの表示とカメラの映像しか見ることができません。
お客様の立場で考えると、検査対象全体を見ながら検査できないため、頭の中でイメージする必要があり、対面式の立会いよりもエネルギーを使っていると思います。
視覚からの情報が少なくなるので、検査内容をイメージしやすいように信号の流れなどを丁寧に説明するように注意しています。
また、機材に触れて自由に操作することもできません。
リモート立会いの大きなデメリットだと思いますが、少しずつでも課題を解消していくことでリモート立会いの品質向上につながると思います。

4-4. 対面とリモートを使い分ける

はじめてリモート立会いをするお客様から、 「今回は対面の立会いと変わらなかったが、すべての立会いをリモートにすることは難しいかもしれない。内容に応じて、使い分けられそう。」という感想をいただきました。
私も同意見で、内容に応じて使い分けるという方針が良いと思いました。
対面に比べて、リモートのほうが立会いを実施するための難易度が高くなりますが、移動等の拘束時間を削減できる大きなメリットがあります。
対面、リモートの特徴を考えて、提案するように注意しています。
例えば、現場でのソフト入れ替え手順を確認していただくような場合は、お客様に立会い環境を使って、練習していただいたほうが良いと考えて、対面式の立会いにしています。
その他、お客様がまとまった時間を確保できない場合は、複数回に分けて、リモート立会いの実施を提案しています。

5. 最後に

リモート立会いは、カメラの映像やパソコンの画面共有を使うため、どうしても対面式よりも見てもらえる範囲が限られてしまいます。
そのため、現在は、すべての立会いをリモートで実施することができず、立会い内容に応じて、対面式の立会いとリモート立会いを使い分けています。
リモートで立会いできる範囲を広げる余地はありますが、そのためには、立会い環境の改善が必要です。
例えば、目線カメラの活用など、カメラの改善を考えております。
最終的には、対面式の立会いのように検査できればと考えております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(T.M.)


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