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ソフテックだより 第390号(2021年11月17日発行)
現場の声編

「社会人になって28年」

1. はじめに

私がソフテックに新入社員として入社したのは1994年4月です。
私が担当している仕事の分野ですが、PCアプリや食品・飲料・医薬工場などの制御や監視を行う仕事をメインにしており、気がつけばすでに28年が経過しました。

そう考えると人生のすでに半分以上を社会人として過ごしています。人生100年と考えてみても、そろそろ折り返し地点が見えてくるころです。今までも色々ありましたが、入社してから、今までの事を振り返ってみたいと思います。

2. 入社してから自分のモチベーションと不安の推移

入社してからの仕事状況、私生活などなど思い出しながら主に仕事についての、自分のモチベーションと不安がどのように変化していったか、グラフにしてみました。入社後から適応期→衰退期→転換期→成熟期→第2転換期と5つに分けて考えてみます。

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適応期
社会人1年目という期待と不安が入り混じった状況でしたが、不安よりもモチベーションが高い状態で仕事をしておりましたが、入社後からモチベーションが少しずつ下がりはじめ、不安感が上回ってきます。
衰退期
このころは自分が担当する仕事がうまく行かず、この頃は孤独感を大いに味わっていた頃です。自分はあまり人に助けを求めるのがうまくなく、なんでも一人で抱えて仕事をするタイプでしたので、それが裏目に出て、この当時は仕事そのものが面白くありませんでした。ちょっとしたことも気になり、何かにつけて文句を言っていたように思います。

かつ親には毎日のように仕事辞めたいと言っていた時期でもあります・・・・が今思えば懐かしいです。

転換期
そして、13年目(2006年)に大きな転機が来ます。食品製造業のプラントで液体を扱う食品工場の案件でした。数千万円の案件で当時のソフテックでは大規模案件で、自分にとっては初めての大型案件でした。

この仕事は仕様を決める段階から、要件が決まらず、スケジュールも遅れ、製作も遅れ・・・とどうやっても壁にぶつかり、どうにもならない・・・と不安は増大し、メンタル的にもどん底に落ちて行きました。

この時は会社総出で、この仕事のテコ入れをして頂きました。上司の力を借り、チームの力を借り、ありとあらゆる手を打って頂き、おかげ様で何とかその仕事を全うすることが出来ました。

仕事の成果としての利益は最悪で一千万以上の赤字となりました。これまで自分が担当してきた仕事の中で一番の大赤字、かつトップレベルに苦しい仕事でした。
ですが、「この仕事は面白い、楽しい」と思えたのもこの仕事が初めてでした。

この時までは仕事は全部自分でなんとかするもんだ、という驕りというか、勝手な思い込みもあったのですが、それがひっくり返され、かつ自分の価値観が一変した仕事でした。

苦しい事があるから、楽しいことがあるのか。苦しくないと、この感覚が味わえないのか。仕事に関連するスキルを身に着けて、自分自身が強くならないと、この面白い、楽しいという瞬間が得られないのか。苦しい思いをしなくても仕事を楽しいと思えるといいのに、などと考えますが答えは出ていません。

3. なぜ面白いと思えたのか?

大赤字の大変な仕事でなぜ楽しいと思えたのでしょうか?

自分一人ではどうにもならず、上司の力を借り、チームの力を借りてどうにかなったこの仕事ですが、その過程で仕様決め、仕事の分担と製作、スケジュールがどんどん好転していきました。

自分一人で悩んでいた事が、みんなの助けを借りることで、あれよあれよという間に、形になり実現されていくその様は忘れる事ができません。

体力的には苦しい場面はありましたが、それよりも仲間の力をかりて、一緒に仕事をしているという高揚感、頼もしさの方が数段上で全ての場面が楽しく思えました。もちろん、その前提には仕事をきちんと成果としてやることが出来る力、強さが求められますが自分1人で出来なかった事がチームの助けを得ることでやっと、そのステージに立てたという実感がありました。

その当時は試運転を終えたあと、生産も行いながら、制御プログラム(PLCプログラム)の改造もオンラインでバリバリ書き換えてやっていましたが、今考えるとけっこう無茶な事をやっていたなと思います。

この時のモチベーションは最高潮、適度な緊張感、感覚も研ぎ澄まされ、数多くある工場内の全設備の動き、生産状況が、手にとるように分かるという不思議な感覚でした。ゲームに例えると無敵モードの様な感覚でした。後にも先にもこのような感覚は、この現場のみでした。

仕事としての金銭的な結果は大失敗に終わりましたが、自分の中で色んな事が一変した仕事でした。

この仕事を担当している最中には、苦しい状況が好転したことがただ嬉しく、まずは目の前の仕事に集中していただけでしたが、後から振り返ったときに、
•   何でも1人でやらなくても仕事って成立するんだ。
•   こういうやり方もあるんだ。会社組織ってすげーな。
•   チームって最高だな。
と思えた仕事でした。この時助けてもらった上司、チームメンバーには今でも感謝しています。

この後にも別な案件(粉を成形・焼成する工場)で似たような経験をすることになります。その時も苦しい場面はありましたが、お客様含め様々な人から助けられ、楽しいという瞬間を経て今に繋がっています。

4. 今現在の仕事の状況・転勤について

私が今取り組んでいる医薬関連の仕事で「zenon」というSCADAを使う場面が増えてきました。

zenonはCOPA-DATA社の製品で、日本国内では株式会社リンクスが代理店をしております。このzenonは自動車、製薬、食品・飲料、電力など様々な分野での実績があるSCADAになります。

ちなみに自社製品のFAVIEWというSCADAもあるのですが、時代の流れと共に機能面での不足が目立ってきており、次世代のSCADAへの移行を迫られておりました。その移行先がzenonになります。

医薬関係には様々な必要要件がありますが、この要件を高いレベルでクリアしているSCADAがzenonになります。たとえば医薬業界では標準要件となっている「データ・インテグリティや監査証跡」などzenonでは対応しています。これらの機能は今後、医薬だけではなく、他の生産設備や食品工場などにも広がっていくと考えています。

ここでは「データ・インテグリティと監査証跡」については詳しく触れませんが、この機能を組み合わせると、zenonシステムで収集したデータは正しく保存され、変更などの記録も全て残り、改ざんや削除の心配も無い、といったようにシステムの健全性を保ち、後からどのような操作が行われたか調べる事ができます。

ただし「zenonを使えば自動的に問題はクリアされ、医薬対応となり全てがハッピー」になるわけではありません。これらのzenonがもっている機能や仕組みを使って、システムとして正しく、運用できるように設計する必要があります。そしてそれは設計書類に記載し、社内試験や現場での機器設置・試運転記録なども、すべて書類に記録していく必要があります。

今担当している仕事はSCADAだけでの知識だけにおさまらず、新しい取り組みも多く、かつ広い知識を必要とする難しい仕事でもあります。さらに対応できる担当者も増やす必要があり、まわりからの協力も得ながらなんとかしようと考えている真っ最中です。

さらに上記にも関連して2021年9月から、私は八戸事業所から本社(四ツ谷)に転勤となりました。コロナ禍という状況での転勤でしたが、新居もスムーズに決まり引っ越しも無事に済み、生活面でも今の所不便はありません。

これまでも緊急事態宣言が発動されるたびに、本社では在宅勤務が何回か行われていたので、そういった事態にそなえ、年末に向けて寒くなったらまた感染爆発するかもしれない・・・。そうなると部屋でも仕事できる環境が無いと困るなぁ、と考えて新居には机と椅子、ヘッドセットなど買い揃えましたが、ありがたい事に9月、10月と急激なコロナ患者の減少により、それら買い揃えたものの活躍の場はいまのところありません。

感染爆発していた8月の東京近辺の様子は分からないのですが、転勤後の四ツ谷近辺はだいぶ落ち着いているように感じました。緊急事態宣言下でも会社周辺の人通りも多く、スーパーなどに買い物に出かけても、生活に直結している場所ということもあり、あまり八戸との違いは感じませんでした。

八戸に居た頃は休日には海や山に出かけていましたが、こちらに来てからは車が無く、海や山に人出を避けて出かけるのは難しいので別な趣味を作ることにしました。最近はパワースポット巡りのために、主に歩きやレンタル自転車で神社仏閣巡りをして、御朱印集めをしています。

食事面は弁当など出来合いのものを買って食べる事が多くなりそうだな、と考えていましたが思った以上に自炊がはかどり、外食は一度もせずに済んでいます。おかげで、簡単手抜き料理のレベルが上がりそうです。

5. 第2転換期を迎えて(モチベーション・不安感のコントロール)

大きな転換期を迎えてから熟成期に入り緩やかにモチベーションが落ちてきて、不安感は徐々に上がってきています。それは今までの知識である程度、仕事が回るようになったという慣れから来るものと、今のままではいずれ通用しなくなるという不安、そして今現在の第2転換期とも言えるこれから新しい事に取り組むというモチベーションの高まりと不安、それらがグラフにあらわれています。

モチベーションと不安は1日の中でも常にゆらゆらと、不安定に揺れ動いているもので、なかなか思い通りにコントロールは難しいものです。ただコントロールはできなくとも、自分なりに客観視することは思ったよりも簡単です。

なんかこの仕事、不安感が高いな。なぜだろう?こういう事かな。これがハッキリしないから不安なのか?と客観視していくと、なぜ不安なのかとか、調子が良い・悪いというのが具体的に実感できるようになります。

仕事面でこれらをうまくコントロールする秘訣は、仕事を進める中で必ず行う社内レビューです。上司にレビューを受けるのは気が重い、とか嫌だな、という感情を持つ人もいるかもしれませんが、そのような損得勘定は抜きにして不安な事は、「社内レビューで全て吐き出せば良し」です。

その場でその不安を解消する答えが出ることもあれば、答えは出なくても、その後必ず良い方向に軌道修正がかかります。

そうすれば、不安感は減った分、モチベーションは相対的に上がります。具体的に何か結果がでれば、さらにモチベーションはあがります。社内レビューは自分にとってはメリットしかありません。良いことだらけです。

そうやって適切に自分をコントロールするための、術を身に着けるのがコツだと思います。

6. まとめ

今年は、転勤やグループに新メンバーも加わるなどの大きな変化があり、今の私は2006年の時にあった大転換のときに感じた高揚感と不安と似たような感覚があります。

この先の仕事で「この仕事楽しい、このメンバーと仕事できて良かった」と思えるような体験、感覚をメンバーと共有できたら最高と思います。

(S.N.)


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