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サーバー機には多くの場合、ハードウェアを監視するための機能が搭載されています。
そのハードウェアを監視するための機能は一般的にIPMI (Intelligent Platform Management Interface) と呼ばれる機能で、サーバーの電源操作、温度管理、冷却ファン管理などのサーバーのハードウェアに関するリモート管理を行うことができます。
IPMIは、各メーカーによって拡張されて搭載されることが多く、例えば、DELLのサーバーでは「iDRAC」(Integrated Dell Remote Access Controller)、HP(Hewlett-Packard)のサーバーでは「iLO」(HP Integrated Lights-Out)、富士通のサーバーでは「iRMC」(Remote Management Controller)と呼ばれる機能を搭載しています。
ここではDELLのサーバーに搭載されているiDRACについて取り上げたいと思います。
※iDRACはバージョンによって機能が一部異なります。今回、取り上げるのはiDRAC 8です。
iDRACでは、各種ハードウェア情報、BIOS設定情報、以下の機能が使用できます。
TelnetやSSH、Webインターフェースを使って各種情報を取得し、遠隔から管理することができるようになります。
Windowsの情報やリモートデスクトップ等でも同じように情報取得することやリモート操作が可能になりますが、iDRACの場合はハードウェアの電源ON自体から操作ができるようになります。
例えば、リモートデスクトップではOSが起動してない場合は操作することはできませんが、iDRACではOSが起動できない状態でも管理が可能になるため、遠隔からの迅速なサーバー管理が可能となります。
なお、iDRACにはiDRAC Basic、iDRAC Express、iDRAC Enterpriseと主に3つの種類があります。
iDRAC Basic→iDRAC Express→iDRAC Enterpriseの順番で高機能になり、iDRAC Enterpriseでは仮想コンソールを使ったリモート操作等、iDRACのフル機能を使用できるようになっています。
CPU情報、メモリ情報、バッテリ情報、冷却ファン情報、温度情報、電圧情報などが取得できます。
それぞれのハードウェアが異常になっていないか確認したり、電源や温度の状況をグラフとして確認したり、サーバーの稼働情報をリモートから確認して、円滑なサーバー運用を行うことができます。
ハードウェアの動作ログ等を取得して、サーバーの状態を確認できます。
Windows等のOS上の動作ログではそのOSが起動している間の動作ログしか取得できませんが、こちらはハードウェアの情報となるため、サーバーの電源ONから電源OFFまでの状態を確認できます。
iDRAC ExpressやiDRAC Enterpriseでは異常時に電子メールを送信でき、迅速に異常時の対応が可能です。
BIOSの設定情報を取得することができます。
搭載しているHDDやSSDの物理ディスク情報や仮想ディスク情報の取得や操作を行うことができます。 iDRAC上からRAID化やRAID化した仮想ストレージを操作するできるため、遠隔地からのセットアップ作業を最初から行うことが可能です。
WindowsサーバーやLinuxサーバー等のOSをiDRACからウィザード形式で導入ができ、セットアップを簡略化できます。 iDRAC ExpressやiDRAC EnterpriseではリモートでのOS導入も可能となっており、遠隔地からのサーバーの立ち上げやメンテナンスも可能となります。
遠隔からのサーバーの電源ONや電源OFFなどの操作を行うことができます。 iDRAC Enterpriseでは、仮想コンソールを使ったリモート操作を行うことができ、Windowsのリモートデスクトップ等のリモート機能を使用しなくても遠隔地からリモート操作できるようになります。
※iDRAC機能は色々な機能を使用することができるため、かなりの情報となります。そのため、ここでは簡単にですが数個の機能だけを取り上げて説明いたします。
iDRACを使用する場合、iDRACの基本設定(IPアドレスなどの設定)を行います。
基本設定方法はBIOS/UEFI画面から設定する方法と、Webブラウザ画面から設定する方法があります。
サーバーを起動すると以下のようなBIOS画面が起動しますので、[F2]キーを押して「System Setup」画面を開きます。
図1.[初期設定.方法1] BIOS起動画面
以下のようなSystem Setup画面に切り替わりますので「iDRAC Setup」を選択します。
図2.[初期設定.方法1] System Setup画面
次にiDRAC Setting Network設定画面からIPアドレス等の情報を設定します。
図3.[初期設定.方法1] iDRAC Setting Network設定
もう1つの方法はWebブラウザから設定する方法です。 iDRACにはデフォルト値として以下のように設定されています。この設定情報を使えばWebブラウザから設定できます。
IPアドレス | 192.168.0.120 / 255.255.255.0 |
ユーザー名 | root |
パスワード | calvin |
表1.[初期設定.方法2] iDRACデフォルト設定
まず、サーバーの背面にあるiDRAC専用ポートにパソコンのLANケーブルを接続して、「http://192.168.0.120」でWeb管理画面にログインします。
図4.[初期設定.方法2] iDRAC Webログイン
ネットワークのIPv4設定の設定を変更します。
図5.[初期設定.方法2] IPアドレス設定変更
設定が完了すれば、色々な情報の確認やそれぞれの操作を行うことができるようになります。
iDRAC Web管理画面のトップページのサーバーの正常性や各種情報等のそれぞれの情報をまとめて表示されています。(※図6はiDRAC Basicの画面です。iDRAC Enterpriseであればここから仮想コンソールを使用することができます)
図6.[各種情報] サーバーシステム概要
温度の履歴情報は以下のように確認することができます。
図7.[各種情報] 温度履歴情報
サーバーの状態を管理して運用していくには色々な方法があると思います。
今回はDELLサーバーにおけるiDRACを取り上げましたが、このiDRACを活用することで、いざという時に遠隔地からも情報の収集や操作対応できるようになります。より正確な判断を行うことができるようになるため、復旧時間の短縮を行うことができ、そもそも復旧が必要な状態になる前に対策を打つことができます。 その結果、サーバーを安定して運用でき、いざという時は迅速に対応できるようになるため、安定した生産性の向上につなげることができるようになると考えます。
遠隔地にある場所でもサーバーでも詳細なハードウェア情報を取得して運用できるため、社内でも本社事業所から八戸事業所や八戸事業所から本社事業所等、相互にサーバーの運用管理を行っています。
なお、ここではDELLサーバーの管理機能について取り上げましたが、他のメーカーのサーバーでも同様の管理機能を活用できるため、同じように安定した運用を行うことができます。
サーバー管理を本業とされている方ならば、これらの機能は周知の機能ではあると思いますが、そうではない方もいらっしゃると思います。もし、触ったことがない方がいらっしゃいましたら、これを機会に考えてみてはいかがでしょうか。
(K.O.)
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