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三菱PLC同士を接続するとき、PLC台数やデータ量が多い場合はMELSECNET/HやCC-LinkIE Controlを採用しますが、台数が2〜3台程度で、やり取りするデータも数点〜十数点の場合はPLC同士をCC-Linkで接続する場合もあります。
しかし、CC-Linkが主に使われる場面は「デジタル入出力の延長・拡張」であるためか、PLC同士の接続、いわゆる「マスタ−ローカル接続」では、いざ現場で接続しようとするとなかなかうまくいかないことがあります。
そのような場合、自身が作成したPLCソフトだけでなく、相手方のPLCのパラメータ設定やソフトを確認し、問題点を指摘して修正していただくこともしばしばあります。
そのような経験を踏まえて、CC-Linkでローカル局の接続を行う際の具体例や注意点をご紹介します。
マスタ局、ローカル局ともQシリーズCC-Linkマスタ・ローカルユニット(QJ61BT11N)を使用した、色々なシステム構成やデバイスデータの流れについて説明します。
なお、デバイスデータの流れの説明は、CC-Linkパラメータを使用した(リモート入出力(RX/RY)・リモートレジスタ(RWr/RWw)の設定欄にデバイスアドレスを入れている)場合の例となります。
マスタ局に、ローカル局1台を接続した形です。
図1-1. システム構成
図1-2. マスタ局のパラメータ設定例
図1-3. ローカル局のパラメータ設定例
マスタ局とローカル局で、それぞれのRYへ出力した状態が相手のRXへ、RWwへ書き込んだ内容が相手のRWrへと伝わります。
図1-4. データの流れ
図1-4の※印で示していますが、マスタ−ローカル局の接続の場合、最後の2ビットが使用できない点については見落としがちですので注意が必要です。 通信確認の際に、まずは先頭と最終のビットをONして確認してみよう…というケースがありますが、最終ビットとして“RY1F”に相当するビットをONしても相手の“RX1F”には伝わりません。
ネットワーク上に、ローカル局が2台以上存在する形です。
図2-1. システム構成
図2-2. マスタ局のパラメータ設定例
図2-3. ローカル局1/ローカル局2のパラメータ設定例
データの流れは以下の通りとなります。
図2-4. データの流れ
基本的には、「2.1 1対1の接続」と同じですが、ローカル局2のアドレスに注意が必要です。
ローカル局のパラメータは、ローカル局1・ローカル局2とも以下のとおり設定しました。
しかし、ローカル局2のアドレスは、X/Y1020〜およびD1004/D2004〜となっています。
これは、パラメータで指定するアドレスには他局の範囲も含んだ、CC-Linkネットワーク全体のアドレスも含めて指定するためです。
ローカル局で読み書きするアドレスは、ローカル局よりも若い局番の他局で使用するアドレスの分、ずれたアドレスになります。
なお、図では省いていますが、ローカル局1で発信したデータは、実際にはマスタ局だけでなくローカル局2でも受け取ることができ、ローカル局同士のやり取りもできます。
CC-Linkネットワーク上に、ローカル局だけでなく他の局も存在する形です。
他の局として「リモートI/O局」(デジタル入力またはデジタル出力のみでアナログ入出力を持たない)が存在する形を例とします。
図3-1. システム構成
図3-2. マスタ局のパラメータ設定例
図3-3. ローカル局のパラメータ設定例
データの流れは以下の通りとなります。
図3-4. データの流れ
ここで注目したいのは以下の2点です。
(1) ローカル局のRX/RYの開始アドレス
「2.2.ローカル局が複数」のローカル局2と同様に、自局よりも若い局番の他局(リモートI/O局)があるため、アドレスがずれています。
(2) ローカル局のRWr/RWwの開始アドレス
RX/RYのアドレスはずれていますが、リモートレジスタ(RWr/RWw)はパラメータで指定したアドレスと一致しています。
これは、「リモートネット-Ver.2モード」の仕様により、アナログ入出力を持たないリモートI/O局ではリモートレジスタの割り当てがされずに前詰めされるためです。
「リモートネット-Ver.1モード」を選択した場合は、リモートI/O局にもリモートレジスタの割り当てがされ、ローカル局のリモートレジスタはRWr:D1004〜1006、RWw:D2004〜2006となります。
その時、実際にはリモートI/O局に対してリモートレジスタを使用しないため、マスタ局のD1000〜1003およびD2000〜2003を使用することはなく、無駄になります。
CC-Linkの子局1局あたりの基本I/O点数は、RX/RY:32点、RWr/RWw:4点ですが、ローカル局に割り当てる局数を増やすことでI/O点数を増やすことができます。
また、「リモートネット-Ver.2」の場合、倍率設定も加えることでさらに点数を拡張することができます。
図4-1. システム構成
図4-2. マスタ局のパラメータ設定例
図4-3. ローカル局1のパラメータ設定例
図4-4. ローカル局2のパラメータ設定例
データの流れは以下の通りとなります。
図4-5. データの流れ
点数の拡張方法は、「占有局数」と「倍率設定」があり、どちらか一方を使うことも、両方を併用することもできます。
それぞれの設定の組合せによる点数は以下のとおりとなります。
表1. 占有局数と倍率設定による割り当て点数
CC-LinkとMELSECNET/Hの機能の違いは以下のとおりです。
MELSECNET/H | CC-Link | |
---|---|---|
接続台数 | 64台(管理局含む) | 64台(マスタ局含まず) ただし、ローカル局は26台まで。 また、すべて4局占有の場合は16台まで。 |
1局あたりの点数 | <通常モード> ビット/ワード合計:2000バイト以内 (例) ワードのみで1000点(W0〜3E7) ビットのみで16000点(B0〜3E7F) <拡張モード> ビット/ワード合計:35840バイト以内 (例) ワードのみで16384点(W0〜3FFF) ビットのみで16384点(B0〜3FFF) ※拡張モードの場合、ワード/ビットともネットワークシステム上の点数制限が先にかかる。 |
ワード:128点 ビット:896点 (4局占有/8倍設定時) |
通信速度 | 最大25Mbps | 最大10Mbps |
総延長距離 | 30km | 通信速度設定により異なる。 156kbps:1200m 625kbps:900m 2.5Mbps:400m 5Mbps :160m 10Mbps:100m |
局間距離 | 200m 〜 1km (光ケーブルの種類による) |
局間の制限は無いので1対1であれば総延長距離と同じ1.2km |
耐障害性 (管理局/マスタ局ダウン) |
ネットワーク上のどの通常局も管理局となってネットワークを維持できる。 | 待機マスタ局に設定している局だけがマスタ局となれる。 待機マスタ局はネットワーク中に1台のみ設置可能。また、待機マスタ局は通常時にネットワークに参加していない。 |
耐障害性 (断線) |
光ループ構成の場合、1箇所が断線しても全ての局が通信可能。 | 断線が発生した箇所より下流の局は全て通信不能。 |
PLC間を接続することに特化したMELSECNET/Hのほうが多く利点があります。
しかし、以下の点においてはCC-Linkのメリットが生きてきます。
CC-Linkネットワークに接続する局がリモートI/O局やアナログ入出力ユニットなど完全にマスタ局の手足となる局であれば、マスタ局側だけに注目していれば済みますが、ローカル局を接続する場合には、CC-Linkネットワークの仕組みや、マスタ局・ローカル局それぞれの動作をしっかり理解しなければいけません。
今回ご紹介した内容を基に、CC-Linkの理解をより深めていただければと思います。
(S.T.)
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