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ソフテックだより 第275号(2017年2月1日発行)
技術レポート

「小電力無線の長距離通信」

1. はじめに

スマートフォンの普及や無線LANの発展により、どこでも通信ができる時代になってきました。
IoTという言葉が一般的に使われてきて、スマートメータ(電力量計など)や家電などもインターネット通信をするようになってきています。

※IoTとは、Internet of Thingsの略で『モノのインターネット』となります。各機器(センサ)が通信をして、様々なものをデータ化して、インターネットとつながるコンセプトです。

そのような時代背景もあり、ソフテックの仕事内容にも様々なものと通信できることが求められてきています。
建物内など限定した空間では、一般的な無線LANで通信することができますが、屋外の広い場所(250m以上)では一筋縄ではいきません。

スマートフォンで使われているLTEなどでも屋外の通信をすることは可能ですが、通信料金がかさむこと、SIMを挿すことが必要になるという面で小型化に制限があります。

そこで注目されているのが、小電力無線(サブギガ帯)と呼ばれる規格での通信方法です。

2. 小電力無線の通信規格

会社や家庭など一般的な無線LANでは、2.4GHzや5GHzでの通信を行っています。
一方、今回ご紹介する小電力無線では、920MHzなどサブギガ帯と呼ばれる1GHz未満の周波数を使用しています。サブギガ帯は、ライセンス不要で使える周波数帯です。

※小電力無線以外で、屋外通信をする際には防災無線などもありますが、高出力であるために周囲への影響も大きく、ライセンス許可が必要です。

<<小電力無線:LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの特徴>>

小電力無線のメリットとして挙げられるのは、以下となります。

  • 長距離通信
  • 障害物に強い
  • 省電力

デメリットとして挙げられるのは、以下となります。

  • 通信速度が遅い
  • 大量データには向かない(通信間隔・時間に制限がある)
  • 世界共通での周波数にできない(各国で使える帯域にずれがある)

小電力無線の規格として以下が注目されています。

<Wi-SUN>

日本発の通信規格 スマートメータ(電力・ガスなど)の用途で使われる
Wireless Smart Utility Networkの略
IEEE 802.15.4gの物理層規格、IEEE 802.15.4eのMAC層規格となる

<LoRaWAN>

アメリカ発の通信規格
“LoRa”という物理層規格を使うためのデータリンク層規格となる
大手通信キャリアも注目しており、ソフトバンクでサービスを提供
SORACOM・KDDIも検証キットの販売を開始など、活気があふれてきております

<SigFox>

フランス発の通信規格
1国1社で取り扱えることが特徴で、日本では京セラコミュニケーションシステムが2017年2月からサービス開始となる
日本では、データ収集用として提供されており、上り回線のみ使用可能となります
コストが安く済む(通信回数が少ないシステムだと年額100円からの価格を実現)
多デバイス・小データのシステム向けとなる

<HaLow>

Wi-Fi Allianceの通信規格(IEEE 802.11ah)
現行のWi-Fiと同様で2.4GHz・5GHz・900MHzを選択できるデバイスでの運用を想定
Wi-Fiで少量のデータを扱っているシステムへの汎用性がよい

    
  Wi-SUN LoRaWAN SigFox HaLow
伝送速度 〜200kbps 〜50kbps 上り:〜100bps
下り:〜600bps
〜150kbps
通信距離 〜1km 5〜15km 〜50km 〜1km
データ サイズ 127byte 11byte 12byte 12byte

表1. 小電力無線比較
※通信距離は、障害物がないなど好条件の場合の距離となります。

紹介しきれませんが、他にもIoT向けの通信規格が数多く存在しております。

省電力を実現することにより、バッテリーの小型化もでき、様々な機器に取り付けることが可能になりました。

4. 水田への適用

弊社では農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)殿と協力させていただき、小電力無線の通信ユニット(WS-Z6000A)を利用したシステムに関わらせていただいています。
※WS-Z6000A(住友精密工業製)は、独自の920MHz規格で伝送速度:〜115.2kbps、通信距離:〜100m、データサイズ:1024byteとなります。

現状は、段階を踏んでシステムの立ち上げを進めている状態です。
第一ステップとして、試験環境でのシステムの立ち上げを行いました。
以下の図がシステムの構成となります。

システム構成イメージ
図1. システム構成

内容としては、水田の水の量を適切に保つことを目的としております。

PLCを用いて、水位・流量の監視、バルブ・ポンプの制御を行います。
収集したデータは、SCADAを使うことでデータの確認、及び遠隔制御を可能とします。

その次のステップとして、現地(水田)に設置するハードの検証、水冷の確認などを行い、屋外である実際の現地への反映を行っている最中です。

5. おわりに

現状、弊社で扱っている仕事では、小電力無線を活かせている内容は多くありません。
これからの予定としては、Wi-SUNとLoRaWANを検証していくことにしています。
詳細は、検証後に別の機会にご紹介できればと思います。
今後もノウハウを蓄積していき、システムの新たな扉(一般的には、組み合わせられないような仕事内容にも活用)を提案できていければと考えます。
分野を問わず、様々な種類の仕事を扱っているソフテックだからこそできることです。

(T.N.)


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