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HOME > ソフテックだより > 第45号(2007年7月4日発行) 技術レポート「PLCを使用した通信プロトコル変換」

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ソフテックだより 第45号(2007年7月4日発行)

技術レポート

「PLCを使用した通信プロトコル変換」

1.はじめに

PLC(※1)を使用した通信プロトコル変換の事例をご紹介したいと思います。
今回はRS232C(※2)通信を行う機器とパソコンなどをEthernetで接続する場合にPLCを使用してどのように通信プロトコル変換を実現するかを取り上げます。

2.通信プロトコル変換とは

まず、プロトコルとは通信を行うための手順、規約のことで、通信手順や通信規約とも呼ばれています。
通信プロトコル変換とは、あるプロトコルを別のプロトコルに変換することです。

3.通信プロトコル変換の需要

最近では設備のネットワーク化の動きが広がってきており、RS232C、RS422/485(※3)インターフェース等しか持たない古い機器との接続をしなければならないこともあります。
FA(※4)などの現場で使用される機器はEthernetインターフェースを持つものが増えてきましたが、まだまだRS232Cなどシリアルインターフェースしか持たない機器が多い状況です。

RS232Cインターフェースを持つ機器は多く、それらをすべてEthernetインターフェースの機器に入れ替えようとすると多くのコストがかかってしまいます。
そのようなときに通信プロトコル変換を行う機器を追加するだけで容易に異なるプロトコルを持つ機器を接続することが出来ます。
その通信プロトコル変換を実現する方法はいろいろと考えられます。

例えば、市販の通信プロトコル変換器の場合、ソフトウェアの変更ができないため特殊プロトコルに対応できません。
また、パソコンを使用した場合、ハードディスクの故障などがあるため動作の安定性に問題があります。万一パソコンが故障してしまうと復旧するまで機器の制御が出来なくなります。
動作の安定性以外にさまざまなインターフェースを組み合わせる場合などシステム構成の拡張性を考慮するとPLCを使用する方が有効と考えます。

4.通信プロトコル変換の実現方法

実際に以下の構成を例にして、どのように通信プロトコル変換を実現するか説明します。
端末を制御するコントローラと、それらの設定及び監視を行うタッチパネルで構成されているシステムがありました。

タッチパネルとコントローラはRS232Cで接続されている
図1. 現在のシステム構成

図1の構成からタッチパネルを別機種に交換することになり、さらにタッチパネルを既存のネットワークに参加させるシステムに更新します。
このとき更新対象はタッチパネルのみで、コントローラや既存のネットワーク機器は変更しないものとします。

そうした場合に以下の問題が発生します。

  • 通信媒体がRS232CとEthernetで違うため接続できない
  • プロトコルが違うため通信をすることができない

タッチパネルをネットワークに参加させるとコントローラと直接接続できない
図2. システム更新後に通信媒体、プロトコルの問題

そこでコントローラとEthernet対応機器の間にPLCを入れ通信媒体の違いを吸収し、PLCのソフトウェアで通信データの加工を行い、通信プロトコル変換を行います。

PLCで通信プロトコル変換を行うことでRS232C機器とEthernet機器が接続できる
図3. PLCを使用した通信プロトコル変換

図3のように、シリアルユニットとコントローラを接続し、EthernetユニットとEthernet対応機器を接続することでコントローラとパソコンなどが通信できる環境ができあがります。

5.PLCのソフトウェア作成

PLCでは通信プロトコル変換をするためのソフトウェアが必要になります。ソフトウェアはラダーで作成します。
ソフトウェアは、RS232C通信をするためのプログラムとEthernet通信をするためのプログラムが必要になります。

RS232Cプログラムでは、シリアルユニットの初期化、データの送受信処理を行います。データの送受信においてプログラムではシリアルユニットとのハンドシェークが必要で、送信データをセット、受信データを取り出した後などはシリアルユニットに対してその作業が終わったことを通知しています。

Ethernet通信プログラムではソケット通信を行っており、Ethernetユニットの初期化やポートのオープン/クローズ処理、データの送受信処理を行います。データの送受信ではシリアルユニットと同様にEthernettユニットとのハンドシェークがあります。

各メーカーのPLCによってユニットの仕様が違うため全く同じソフトウェアを使用することは出来ません。プログラムを作成する際には各メーカーのユニットに応じたソフトウェアを作成する必要があります。

6.まとめ

最後にPLCを使用した通信プロトコル変換のメリット・デメリットを記述したいと思います。

【メリット】
  • PLCを使用することで両側の機器に手を加えることなくプロトコルを吸収できます。
  • 複数のRS232C機器をEthernet接続したい場合、PLCにシリアルユニットを増設することで可能となります。(図4)

接続する機器に応じたPLCのユニット構成にすることで様々なインターフェースの通信プロトコル変換が可能になる
図4. PLCのユニット構成によってシステム拡張が可能

  • PLCを接続する機器に応じたユニット構成にすることで様々なインターフェースの通信プロトコル変換を行うことが出来ます。
  • RS232C通信をする機器とEthernet上に接続されている複数の機器を1対nで通信させることができます。(図5)

RS232C機器と複数のEthernet機器で通信することが可能になる
図5. RS232C機器とEthernet機器で1対nの通信

【デメリット】
  • 通信速度面

    通信プロトコル変換のためにPLCが入ることでPLCの処理時間だけ通信の応答速度が低下します。
    通信速度を極力低下させないようにPLCでは処理速度を優先したプログラムを作成するように考慮します。
    ただし、場合によっては機器間のタイムアウト時間の見直しが必要になります。

  • コスト面

    例えば通信データの加工が必要なく、RS232CとEthernetの変換のみの用途であれば、プロトコル変換器を使用することでコストを低く抑えることが出来ます。
    ただし、両側の機器に手を加えるコストを考慮しますと、PLCでプロトコルを吸収する方がより安価になると思われます。

今回はPLCを使った通信プロトコル変換をご紹介しました。他にも通信プロトコル変換方法がありますので、メリット、デメリットを検討してお客様のご要求に見合った方法を選定していかなければなりません。

(S.K.)

[注釈]
※1
PLC:
プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)のこと。生産設備の自動化に最も多く利用されている機械制御用途に特化したコンピュータ。
※2
RS232C:
Recommended Standard 232 version Cのこと。もともとは米国EIA(The Electronic Industries Alliance)でEIA-232-D/Eとして規格化されたシリアル通信の規格の1つ。シリアル通信方式として最も普及している。
※3
RS422/485:
作動信号による伝送方式。送信と受信の信号線を+と−の作動信号にすることにより、ノイズを打ち消し長距離の延長(最大1.2km)が可能になる。RS485はマルチドロップ接続が可能である。
※4
FA:Factory Automationのこと。工場においてコンピュータによる生産工程の自動化を図ること。

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