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ソフテックだより 第3号(2005年10月5日発行)
技術レポート

「PLC・タッチパネルによる簡易データロギング」

すでに稼動中のシステム、もしくは新規納入をご予定ご検討されているシステムにおきまして、データモニタだけではなく、データロギング(※1)を行いたいという場合があるかと思います。

※1:データロギングとは
工場やプラント・オフィスビルなどの現場において環境や設備などの維持管理が行われているが、それらが適正に運用されているかを監視するため、現場に設置した計測器・各種センサーからの信号を定期的に測定・記録しておき、そのデータを後でパソコンなどに取り込んで処理・解析する事です。

そういった場合にお役に立てていただきたいと考えまして、今回はPLCもしくはタッチパネルを使用したコスト的に安価で構築できる簡易データロギングについてご紹介いたします。

今回ご紹介する簡易データロギングについては、次の内容をご覧ください。

  1. データロギングを行うのは、PLC単体もしくは接続先のタッチパネルとします。
  2. データ保存の対象メディアは、コンパクトフラッシュ(CF)とします。
  3. ファイル形式は、CSV形式(カンマ区切り)の数値データの羅列とします。
    (PCにてEXCELでデータを参照する事ができます)
  4. ロギングデータの運用(表の作成、グラフ化など)は、EXCELの機能を使うなど、御客様にてご対応いただく事とします。

«PLCによる簡易データロギング»

ここでは、下記PLCを使用した場合のロギング手法について説明いたします。

横河電機製PLCFA−M3シリーズ
FA−M3シリーズを使用する場合は、メモリカードモジュールを別途用意します。
特殊モジュール読み書き命令を使用し、ラダーを作成する事によって、ディレクトリ作成及びデータファイル作成を行います。
データロギングは、ラダープログラムにより、任意のタイミングで行う事が可能です。
オムロン製PLCCJ1シリーズ(CJ1G/H/M)
CJ1シリーズを使用する場合は、ファイルメモリ機能を使用します。
FINSコマンド及びデータファイル読み書き命令を使用し、ラダーを作成する事によって、ディレクトリ作成及びデータファイル作成を行います。
データロギングは、ラダープログラムにより、任意のタイミングで行う事が可能です。

«タッチパネルによる簡易データロギング»

ここでは、下記タッチパネルを使用した場合のロギング手法について説明いたします。

デジタル製タッチパネルGP2000シリーズ(以下GP)
GPを使用する場合は、ロギング機能を使用します。
PLCからのデータ収集トリガ(ビットアドレス…0.15秒間隔以上)にてGP内のSRAM領域にデータを取り込みます。
その後、PLCからのCFカード操作指示(レジスタへ数値書込)によって、GP内のSRAM領域からCFカードへロギングデータを転送し、ファイル化します。
三菱電機製タッチパネルGOT1000シリーズ(以下GOT)
GOTを使用する場合は、ロギング機能を使用します。
PLCからのデータ収集トリガ(ビットアドレス…0.1秒間隔以上)もしくは定周期(0.1秒〜3600秒)にてGOT内のバッファリングエリアにデータを取り込みます。
その後、PLCからのファイル保存指示トリガ(ビットアドレス)によって、GOT内のバッファリングエリアからCFカードへロギングデータを転送し、ファイル化します。

※下記システム構成図をご覧ください。

CJシリーズ・システム構成図

«各データロギング機能比較表»

  メーカ型式
横河電機PLC
FA−M3シリーズ
オムロンPLC
CJシリーズ
デジタルタッチパネル
GPシリーズ
三菱電機タッチパネル
GOTシリーズ
ロギング機能 メディア コンパクトフラッシュカード(CF)
カードスロット メモリカードモジュール CPU本体 タッチパネル本体
ロギング元 CPU内蔵デバイスより 接続先PLC内蔵デバイスより
ロギング経路 CPU → メモリカードモジュール → CF CPU → CF CPU → 通信 → タッチパネル内蔵SRAM → CF
ロギング周期 ユーザプログラムにより任意にタイミングを決定 PLCからのトリガによる PLCからのトリガによる
定周期(0.1秒〜3600秒)
ロギングデータ点数
(1レコード内)
32767点(以上可) 32点
255点
250点
ロギングレコード数
(同一ファイル内)
メディア容量による
(EXCELで参照する場合は、Max65536レコード以内に収めましょう)
65500レコード
(メディア容量による)
ロギングファイル数 メディア容量による 99999ファイル
(メディア容量による)
9999ファイル
(メディア容量による)
ディレクトリ規約 ファイル保存先
ディレクトリ名
半角英数字99文字
(ファイル名まで含めて)
半角英数字12文字 “¥LOG”固定 半角英数字78文字
(ファイル名まで含めて)
ディレクトリ階層 4階層 5階層 19階層
ファイル規約 ファイル名 半角英数字99文字
(ディレクトリ名まで含めて)
半角英数字8文字+“,”+“CSV” “ZL”+”*****+”.”+”CSV”
”*****”は00000〜32767
半角英数字78文字
(ディレクトリ名まで含めて)

«各データロギング機能比較結果»

前項の機能比較表を見ますと、下記の事がわかります。

PLCによるデータロギング
ユーザープログラムにより、収集周期を自由に決めることができ、ディレクトリ/ファイルも任意に作成することができます。
ユーザープログラムを作成しなければならない分、多少の手間はかかりますが、比較的自由にデータロギングを行う事ができます。
タッチパネルによるデータロギング
あらかじめプロジェクトで、格納先ディレクトリ/ファイル名などを決めておく必要があります。定周期取り込みを行う場合は、ラダープログラムもファイル保存のタイミング通知のみ作成するだけで済みますので、ほぼプログラムレスでデータロギングを行う事ができます。

それぞれメリット/デメリットはありますが、本機能の目的は『簡単にデータロギングを行いたい』という点ですので、最終的にはお客様のご検討されているシステム構成に合った機能を選択する事が一番良いと考えます。

新規導入の場合、もしくは既存設備へ組み込みたい場合、ソフテックではシステムの用途や構成などをもとにして、最適な提案を行っております。
是非一度お問い合わせくださいますようお願いいたします。

(T.T.)


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