HOME > ソフテックだより > 第332号(2019年6月19日発行) 現場の声編「コミュニケーションのプロを目指して」

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ソフテックだより 第332号(2019年6月19日発行)
現場の声編

「コミュニケーションのプロを目指して」

1. はじめに

私は入社15年超になる30代後半の中堅社員です。ソフテックでは、ここ数か月、新卒採用の会社説明会を定期的に開催させていただいています。私は社内を案内する際の説明員として、少しお手伝いをさせていただいているのですが、先日学生さんから「御社で仕事をしていくうえで、一番大事なスキルはなんでしょうか?」という質問を受けました。その場では、純技術的に必要なスキルと考えて、「こういう言語を習得しておいたほうがよいですよ」という回答をしました。しかし、説明会が終わっても何かひっかかるものがあり、「学生さんが求めていたのは純技術的なスキルの話だったのだろうか?純技術的ではなかったら、どんなスキルが大事なのだろうか?」ということを考えるようになりました。
今回のソフテックだよりでは、その考察結果についてお伝えしたいと思います。なお、あくまでも個人的な見解になりますので、予めご了承願います。

2. コミュニケーション能力の重要性

ソフテックの業務で必要となるスキルについて、結論から先に申し上げますと、月並みな答えで申し訳ないですが、コミュニケーション能力が一番大事なのかなと考えています。
ソフトウェア開発のエンジニアにもいろいろな種類があります。会社によっては、例えば、「プログラミングに徹するエンジニアには、コミュニケーション能力は必要ない」という考え方もあります。職人さんの世界のイメージです。完全に分業体制になっている会社の場合であれば、問題ないでしょう。
ソフテックの場合はどうかというと、まず営業員がいないため、見積もりから納品、保守まですべての工程をエンジニアが担当しています。(ソフテックだより第226号 現場の声編「ソフテック社員が行っている業務プロセスについて」参照)ソフテックの場合、「ソフト開発の能力だけがあればよい」ということはなく、社内で進捗管理や報告を行ったり、お客様から仕様を聞き出したり、時には、想定外のトラブルに対応したり、とコミュニケーション能力を発揮する場面が盛りだくさんとなっています。
ただし、ソフトウェア業界に限った話ではないですが、エンジニアはそういったことが総じて苦手であることは事実だと思います。学生の頃までは、そういったスキルをあまり必要としていなかったのですから、それは仕方のないことだと思います。ソフテックでは、純技術的なスキルは入社してからOJT(On-the-Job Training)で習得してもらいますが、同じように「コミュニケーション能力も仕事を通じて向上して行こう!」という前向きな気持ちさえあれば、問題はないと思います。また、コミュニケーション能力は練習してすぐ身につくようなものでもありませんし、与えられた仕事の役割によっても、必要なスキルは変わってきます。計画と実践、フィードバックを繰り返しながら、ともに成長していくことができれば、全く問題はないと思います。

コミュニケーションの重要性(イメージ)
コミュニケーションの重要性(イメージ)

3. コミュニケーション能力が必要になる具体例

ここまでソフテックのおけるコミュニケーション能力の重要性についてお話ししてきましたが、一言で“コミュニケーション能力”と言っても漠然としすぎていて、正直よくわからないのではないかと思います。以下に、ソフテックの仕事でどのようなコミュニケーション能力が必要になるか、いくつか具体的な例を挙げて、説明していきます。

3.1 日報報告、eメールなどの文章で伝える力

ソフテックではグループウェアNotesを使用して、社内に情報を発信する『日報報告』の仕組みがあります。日報報告の重要性については、過去のソフテックだより(ソフテックだより第30号 現場の声編「報告の重要性」)でも取り上げていますが、情報を伝えるという点で、日報報告もコミュニケーションの一つと言えます。報告内容は開発の進捗状況であったり、ソフトウェアの品質についてであったり、お客様に関する情報であったり、・・・と多岐にわたりますが、これらを分かりやすく、かつタイミングよく報告することはそれほど簡単ではありません。ソフトウェアは『目に見えない』とよく言われますが、その『目に見えない』部分を文章にするのが日報報告の役目でもあります。また、社内報告の場合、事実だけを書けばよいわけではありません。自分の考えや意思、不安や不満に感じていることなど、感情や感覚に関する内容も上司にとっては大事な情報ですので、それらも織り交ぜて報告することも大切です。一方通行の自分勝手な報告にならないよう、「読み手にとって必要な情報は何か?」を考えて報告するという点は、コミュニケーションにとって共通の重要ポイントだと思います。
また、書いて伝えるという点では、お客様に送るeメールも大事なコミュニケーション手段の一つです。eメールの場合は、要点を簡潔に伝える必要がありますので、文書構成のスキルが問われます。また、よく言われることですが、話し言葉より書き言葉は、感情が伝わり難いため、冷たい印象を相手に与えがちです。事務的な内容連絡に終始するだけでは、こちらの意図がきちんと相手に伝わらなかったり、間違った認識を持たれたりすることがあります。ケースバイケースですが、eメールを送ったあとにフォローの電話を入れる、その逆で、電話で認識を合わせたあとに周知・記録の意味でeメールを送る、などもコミュニケーションスキルの一つです。

3.2 打ち合わせでお客様から必要な情報を引き出す力

ソフテックではホームページが営業員の代わり(ソフテックだより第38号現場の声編「ソフテックの営業マンについて」参照)ですが、ホームページ経由でお問い合わせをいただいた後は、エンジニアが直接、窓口となり対応させていただきます。電話やメールで簡単なやりとりをさせていただいたあと、スケジュールを調整し、問題なければ打ち合わせをさせていただくケースが多いのですが、新しいお客様との打ち合わせの場は、コミュニケーション能力を最も試される場面と言っても過言ではないと思います。(ソフテックだより第92号現場の声編「顧客対応」参照)
お客様からは「こういうものを開発したい」、「こういう仕事を頼みたい」ということでお問い合わせをいただきますが、いただいた情報だけではお見積もりできないケースも少なくありません。例えば、以下のような場合です。

  • ”これと同じような機能を持ったものを作りたい”など、要求仕様が漠然としか定義されていないケース
  • 機能仕様は明確だが、その実現方法が決まっていないケース
  • 要求仕様について、当然と考えられていて明文化されていない、暗黙的な仕様が隠れているケース
  • 要求仕様よりも優先すべき事項(価格、スケジュールなど)があり、仕様を妥協してでも優先事項を守らなければならないケース

こういった内容はお客様のほうから事前にお話しいただく場合もありますが、打ち合わせを通してはじめて引き出される場合もあります。特に新規のお客様の場合、初期段階でいかに重要な情報を伺えるかが、後々の信頼関係構築にも影響することが多いと感じています。なお、お客様から一方的に情報を引き出すだけでは対等ではありませんので、ソフテックでの開発事例や実績についてご説明し、「ソフテックに任せても大丈夫」と安心していただくことも大切です。その際に、的確な情報をお伝えし、ご質問があれば真摯にお答えすることも、大事なコミュニケーション能力の一つと考えています。

3.3 緊急時にもお客様に適切なタイミングで、正しい情報を伝える力

ソフテックでは、工場などの現場で出張作業させていただく機会も多くあります。そういった現場では、現場を管理する方に作業状況を逐一お伝えしながら作業したり、時にはトラブル状況で調査結果を早急に報告したりしなければならない場合もあります。予定通りの進捗であれば問題ないでしょうし、トラブルの場合も原因がすぐに突き止められれば問題ありません。しかし、進捗通りではない場合、トラブル原因がすぐにわからない場合には、その説明を求められます。お客様が不安、不満を募らせるようなことは避けなければなりません。時間がないときだからこそ、作業に集中したい気持ちをぐっとこらえて、お客様にとって必要な情報を適切なタイミングで伝えることが大切です。
また、報告内容もお客様が理解でき、納得していただける内容でなければなりません。専門用語を並べた結果、理解いただけないのでは、伝えたことになりませんので、お客様にわかりやすい言葉で正しい内容を伝えることが必要になります。言葉だけではうまく説明できないのであれば、紙や白板を使って絵を書いて伝えるというのも有効な手段です。

4. コミュニケーションのプロを目指して

ソフテックの業務で、コミュニケーション能力がいきる場面についていくつか例を挙げましたのが、これはごく一部になります。他にも例を挙げるときりがありません。
少し話は変わりますが、ソフテックの業務は、プログラミング言語を使用してソフトウェアを開発することです。その中の多くは、通信を使用してコンピュータなど機器同士のコミュニケーションを実現しています。ソフテックの仕事は、プログラミング言語を使用してコミュニケーションを実現する仕事、と言い換えてもよいと思います。
ソフテック社員はコンピュータ同士のコミュニケーションにおいてはプロですが、人と人とのコミュニケーションについては、まだまだ道半ばと言ったところでしょうか。最近では、業務でWeb会議、ビデオ会議を使用した打ち合わせも増えてくるなど、新しいコミュニケーションツールを使用する機会も多くなりました。これらの特徴を把握し、うまく使いこなす方法について、現在社内で検討を行っています。こういった新しい技術も取り入れながら、ソフテック社員がコンピュータ同士、人間同士、そしてコンピュータと人間を繋ぐコミュニケーションのプロを目指していければよいなと(個人的には)思っています。

5. おわりに

今回のソフテックだよりでは、ソフテックで重要なコミュニケーション能力についてご紹介させていただきました。なお、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、毎年、経団連所属企業に対して実施している新卒採用に関するアンケート調査(*1)によると、学生の選考にあたって特に重視する要素の第一位は、16年連続(!?)で『コミュニケーション能力』なのだそうです。業種に関係なく、どんなお仕事でも人との関わりなくしては成り立ちませんので、納得の結果ではあります。私自身もよりスキルアップすべく、日々精進して参りたいと思います。

(T.S.)

[注釈]
*1
一般社団法人 日本経済団体連合会「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/110.pdf

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