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近年、スマートフォンの普及によりタッチパネルがより身近なものとなりましたが、FA/PAの分野でも多くの機器を監視・制御するための操作表示盤として、タッチパネルが使用されています。
タッチパネルは工場内の設備付近などに設置されることが多く、現場にいなければ画面を見ることができません。今回は、離れた場所から現場のタッチパネルを監視・制御する方法として、三菱電機社製タッチパネルの「GOT Mobile機能」をご紹介したいと思います。
GOT Mobile機能は、三菱電機社製タッチパネル「GOT2000シリーズ」の機能として、2015年の末頃に追加された比較的新しい機能です。現場から離れた場所にいても、タブレットやスマートフォンなどのブラウザ上にタッチパネルの画面を表示し、監視および操作をすることができます。
図1. システム構成イメージ
遠隔地からの現場監視を可能とするGOT Mobile機能ですが、その他にも特長がありますのでご紹介します。
GOT Mobile機能はクライアント端末のブラウザ上に表示します。OSやブラウザのバージョンに依存はしますが、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなどの端末でも利用することができます。また、モバイル機器のOSとしてAndroidとiOSの両方が使用できるため、ほとんどのモバイル機器上で動作を実現することが可能となります。
GOT Mobile機能により同時にアクセスできるクライアント数は最大5台です。GOT内部にはクライアント毎に専用デバイスを持つため、クライアント毎に個別の画面を閲覧することができます。そのため、複数人で手分けして作業することや、ブラウザを複数起動し同時に複数の画面を監視することが可能となります。
GOT本体に表示する画面とは別に、GOT Mobile機能用の画面を作成することができます。画面サイズは縦横それぞれ480〜2048[dot]の間で1dot単位の設定ができるため、使用する端末の画面解像度に合わせた画面を作成することができます。GOT2000シリーズの画面サイズは最大15型(1024×768)ですが、Mobile機能ではFull HD(1920×1080)で表示することも可能となります。
各クライアント機器に対して、操作権の設定をすることが可能です。操作権を設定することで、タブレットなどの複数の情報機器およびGOTからの同時操作を防止することができます。操作権の取得/開放方法は自動または手動のどちらかを選択することが可能です。
なお、操作権制御の有効/無効は画面毎に設定することが可能です。
一番気になる点として、画面の切り替えや、操作に対する反応速度、オブジェクト(ランプや数値表示)の表示更新速度などのレスポンスに関することが挙げられると思います。
弊社環境ではありますが、今回VPN経由で接続して使用した際の個人的な感覚を述べたいと思います。 動作確認環境は以下の通りです。
(1) ネットワーク環境上記環境でランプのON/OFF、アラームの発生、数値表示など一通り確認しましたが、遅延を感じることは一切ありませんでした。強いて挙げると、画面の展開がワンテンポ遅いかなと感じるくらいで、それでも、ボタンを押してから1秒以内には表示されます。
ただし、ネットワーク環境やGOT・クライアント機器の性能、また、プロジェクトのサイズなどにより速度は異なりますので、ご了承願います。
ここまでGOT Mobile機能で「出来ること」をご紹介しましたが、「出来ないこと」もあります。
いくつかご紹介しますが、導入を検討する際はマニュアル『GT Designer3(GOT2000)画面設計マニュアル(SH-081219-R)』をご参照願います。
一番不便と感じる点として、自動的に画面サイズが最適化されないということがあります。
接続可能なモバイル機器の種類は豊富にありますが、機器毎に画面サイズや解像度はバラバラです。「3-3 画面サイズ」で、画面サイズを細かく設定できるとご紹介しましたが、逆に画面サイズが合っていない場合は、画面からはみ出たり、余白ができたりしてしまいます。
ブラウザの拡大/縮小機能を使用することで、ある程度合わせることはできますが、画面の縦横比は変わりませんので、クライアント側の機器を限定し、それに合わせて画面を設計する必要があります。
GOTには多彩な機能が備えられていますが、GOT Mobile機能では使用や配置ができないものがあります。 大きな点では、確認ダイアログのような表示を実装する際に使用する、オーバーラップウィンドウ表示や日付・時刻を表示するオブジェクトが使用できません。各機能の使用可否はマニュアル『GT Designer3(GOT2000)画面設計マニュアル(SH-081219-R)』をご参照願います。
GOTには、画面やランプなどの部品に特殊な処理を実装するスクリプト機能があります。複雑な処理を実装する際は、スクリプトを使用することが多くありますが、GOT Mobile機能の画面ではスクリプトを設定することができません。ただし、GOT本体のスクリプト処理結果を使用することは可能です。
GOT本体では色々な文字フォントを設定することができますが、GOT Mobile機能ではフォントの設定はできず、クライアント側の標準フォントで表示されます。
クライアント端末は以下の動作環境で動作します。
項目 | 内容 | |
---|---|---|
OS | タブレット スマートフォン |
Android 4.0以降 iOS 8以降 |
パソコン | ・Microsoft Windows 8.1 ・Microsoft Windows 8 ・Microsoft Windows 7 Service Pack 1以降 ブラウザ |
|
ブラウザ | タブレット スマートフォン |
HTML5,CSS3,JavaScript,およびWebSocket Protocol(RFC 6455)に対応するブラウザ 以下のブラウザを推奨します。(※3) ・Google Chrome(Android版)(バージョン43以降) ・Safari 8.0以降 |
パソコン | HTML5,CSS3,JavaScript,およびWebSocket Protocol(RFC 6455)に対応するブラウザ 以下のブラウザを推奨します。(※3) (※4) ・Google Chrome(Windows版)(バージョン43以降) |
|
その他 |
ネットワーク環境が必要です。 |
表1. GOT Mobile機能の動作環境
昨今FA/PAの分野ではPLCの脆弱性を標的としたアクセスが観測されたことが話題となっています。今回ご紹介したGOT Mobile機能を利用すれば、離れた場所から装置を操作することも可能ですが、制御をする場合は、ネットワークのセキュリティをしっかりと対策する必要があると考えられます。
今回、初めてGOT Mobile機能を使用した感想としまして、本文でもご紹介したように思っていたよりスムーズに動作するという印象を受けました。ネットワーク環境や構成機器にもよるため一概には言えませんが、ほぼGOT本体を操作しているのと変わらないと思います。
使用できない機能もご紹介しましたが、基本的な機能は具備されているため、導入できるシステムは多いと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
(Y.T.)
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