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弊社が手掛けるソフトウェア開発では、お客様の実現されたい製品・システムに関する機能・要求仕様などをうかがいながら仕様把握・設計を行う場合がほとんどです。
私は本社事業所に在籍する入社14年目のいわゆるベテラン社員ですが、ソフトウェア開発の難しい点として、「目に見えない」、「お客様の製品・システムの暗黙知や潜在要求をヒアリングして明確化する」があると感じるようになりました。
弊社では「先行検討」という考え方を推奨しており、ソフトウェア開発における無理・ムダを少しでも減らしていけるように意識して業務に励んでおります。
本号ソフテックだよりでは、私がこれまでに経験してきたことをふまえ、ソフトウェア開発の仕様検討・設計において「先行検討」として意識している事をご紹介させていただきます。
弊社で推奨しております「先行検討」とは、本格的に着手する前にあらゆることを想定して、徹底した検討を重ねることで無理・ムダを排除していく考えかたです。仕事を円滑に効率良く進めていくためには、常に先を見通しながら対応することが求められます。
私は作業が立て込んでくると視野がせまくなり、目先の対応に注力しすぎるきらいがあるので、現状でも「先行検討」を意識した対応を実践している最中です。
冒頭に挙げさせていただきましたように、ソフトウェア開発には「目に見えない」、「お客様の製品・システムの暗黙知や潜在要求をヒアリングして明確化する」難しさがあると思います。ソフトウェア開発における「先行検討」という考え方は、無形物のソフトウェアというモノを扱うからこそ、効果は絶大なものになっていくはずです。
「先行検討」を効果的に活用できる、ソフトウェア仕様検討・設計作業に着目してお話します。
私は以前、サーバー上で常時稼働するアプリケーション開発における設計を担当する機会がありました。主機能としては、Ethernetで構築されたネットワーク上の下位システムからデータを収集してデータを集中管理するアプリケーションで、技術的な対応ポイントは、FTP経由で取得したファイル情報を解析してデータ管理する点でした。機能実装も問題なく完了し、お客様が運用を開始してしばらくしたところで、データ収集が止まる現象が発生しました。
この問題自体は、詳細な処理ログを解析し、原因特定することで対策を講じることができたのですが、この時に収集処理が停止したことをお客様がすぐに気づける仕組みがシステム機能上に存在しないことが副次的な問題点として浮上しました。
実際にお客様の運用現場では、データ収集が停止したことに気づかずに4日間近く運用を続けられた結果、データ収集内容に欠落を生じさせる問題でご迷惑をおかけすることになりました。申し訳ない気持ちとともに、設計段階でお客様の運用を意識した対応を取れなかった点を後悔したことを強く覚えております。
私はこれまで携わってきたソフトウェア開発からの経験上、「ソフトウェアの品質は、ソフトウェア開発における上流工程の仕様検討・設計フェーズで決まってくる。」という実感を持っております。ソフトウェアの最終的な品質は、プログラムコードの良し悪しにいきつくとは思いますが、開発担当者の技術面での属人性を除くと特にこの実感が強いです。
お客様からご提示いただく要求仕様は、ソフトウェア開発の必要事項が揃っている訳ではありません。仕様検討・設計に失敗すると、お客様が求める製品・サービスに沿わない、実運用に耐えられないようなソフトウェアを製作することになりかねません。そのような意味でお客様が真に求められている製品・サービスを提供するためには、ソフトウェア開発工程における仕様検討・設計の上流フェーズの重要性をご理解いただけると思います。
仕様検討・設計では、お客様の求める仕様を適切に把握して、設計内容に反映させるところに難しさを感じます。
私は「先行検討」の一環として、仕様検討・設計フェーズでは下記のような点を意識して対応をしております。お客様からソフトウェア開発の対応協力をご依頼いただいてから、仕様検討・設計フェーズで対応している順番に項目を挙げさせていただきました。
仕様把握・設計を効率良く、的確に進めなかったことで、後ろの製作・試験フェーズで大きな後戻りが発生して、納期、コスト、品質全てに悪影響を及ぼした結果、失敗する苦い経験もございました。
それでも、実際に開発に携わった製品・システムのソフトウェアをお客様にご確認いただいて、「使い易い」、「良いシステムですね」、「これで業務がはかどります」といった喜びの声をお聞きできることが励みになります。
これからも、常にお客様にご満足いただけるソフトウェアを提供させていただくことを目標に、「先行検討」を意識していきます。
(M.S.)
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