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ソフテックだより 第106号(2010年1月20日発行)
現場の声編

「作業効率向上により品質向上を目指す」

1. はじめに(きっかけ)

現在、私は個人的な都合により会社と相談して残業勤務をしないようにしています。
当初会社から言われたことは、

  • 効率よく作業する
  • 無理な予定を立てない

ということでした。

このように残業をしないようになって、約1年が経ちます。
「無理な予定を立てない」ということはかなり意識していましたが、「効率よく作業する」ということは普段意識しているようで実際には出来ていないと改めて感じました。
そこで「効率よく作業する」ことについて意識したこと、気づいたこと、実施したこと(したいこと)を紹介します。

2. 効率よく作業する−その1.無駄に気づく

実は「効率よく作業する」ことはすぐに意識して取り組めたわけではありません。
始めの頃は、特に工夫することもなく残業していたときと同じ感覚で作業していました。
しかし、納期を延ばしてもらわないと対応できない、担当者を増やさないと対応できない、などの状況が起こってきました。

そんなことがあり、自分はまず「無駄なことをしない」を意識するようにしました。
意識するだけでしたが、ずいぶんと無駄なことをしていることに気がつきました。

2-1. 気づいた無駄(一部)

  1. 顧客への報告書を作成。自分では細かく丁寧に書けたものの、顧客の視点からは細かすぎて逆にわかりづらい報告書だと上司に指摘された。

    上司の指示とアドバイスにより要点がわかる構成で書き直しました。

  2. コーディングのやり直しをした(コーディングとはプログラムを作る作業)

    仕様を詳しく知っている担当者へ確認したいことがあったのですが、担当者が忙しい状況であったため自分で仮定して作業を進めた。
    あとで確認したところ自分の仮定が合っていなかったためコーディングをやり直すことになってしまった。

  3. 書類を中途半端に作成して放置。結局あとで最後まで作成することになったが、忘れていることが多く過去の資料の調査が必要になった。

    忘れていたころに「文書が中途半端な状態なので最後まで作成せよ!」という督促メールが届き書類作成することになる。が、既に細かいことを忘れているため作成に必要以上に時間がかかる。

挙げていくとまだまだありますがこの辺にします。

2-2. 対策

ここで無駄を無くして効率を上げるためにどうすれば良いのか考えたことを書きます。

  1. 顧客への報告書を作成。自分では細かく丁寧に書けたものの、顧客の視点からは細かすぎて逆にわかりづらい報告書だと上司に指摘された。

    報告書はそもそも誰のために出すのか、何のために出すのか、という相手の立場や目的を意識せずに作成したことが問題でした。
    基本的なことですが、作業する前にどういう検討が必要なのか(この場合、誰に文書を出すのか、どういう文書構成にすべきかなど)を検討し、わからないことは上司へ相談や確認をしてから着手するべきでした。大きい作業ではありませんが顧客の把握・ニーズの把握を含めた先行検討をしてから着手することで効率を上げることが出来ると思います。作業前に先行検討することを意識するようにしています。

  2. コーディングのやり直しをした(コーディングとはプログラムを作る作業)

    コーディング中に仕様に不明点が見つかりましたが不明な仕様を仮定してコーディングを進めました。
    しかし後で仕様を確認したところ仮定した仕様が違っていたため、コーディングをやり直すことになりました。
    このときは聞く相手が忙しそうだったため聞くのを後回しにしてしまったのですが、結果的に無駄な作業をすることになりました。
    自分の立場で必要なときに必要なこと(確認)をすることは優先しないといけません。
    これは普段からコミュニケーションをうまく取っておくとスムーズに行くと思います。
    なお、確認ができない場合は作業を止め、別の作業をするほうがマシだと思います。

  3. 書類を中途半端に作成して放置。結局あとで最後まで作成することになったが、忘れていることが多く過去の資料の調査が必要になった。

    必要な作業を後回しにしてしまうのを最小限にし、後回しにしてもなるべく早く(細かいことを覚えているうちに)対応することで改善できると思います。そのようにするよう意識しています。

3. 効率よく作業する−その2.仕組みを作る

自分が携わっているソフト開発において困っていることがありました。これらも効率を悪くする要因です。一部を以下に挙げます。

3-1. 困っていたこと

  1. システム全体を詳細に把握しているのが自分だけである

    作業が自分に集中するときがある。他に空いている社員が居ても作業をしてもらうのが容易ではない。

  2. 仕様書などの資料はあるのだが、仕様変更が発生するたびにシステム全体の仕様書へ変更内容を反映していないため最終仕様がわからない。

    結局は各担当者に直接聞くことになる。逆に自分が他の担当者から聞かれることが多い。何度も同じ事を聞いたり聞かれたりするのが多い。

  3. 過去にあった質問とそれに対する回答がまとまっていない

    異なる時期に異なる人から同じ質問をされているときがある。前にも聞かれたなあと思いつつ過去のメールや資料の調査が必要になる。

これらは今さっき気づいたことではなく、かなり前からわかっていたことでした。しかしきちんと対策していませんでした。
なお、自分が携わっているシステムは規模が大きく歴史もあるシステムです。自分が携わってから13年目になりますが、この問題は前の担当者も抱えていたと思われます。

3-2. 対策

現在も検討していますが、上記a. b. c.にはいずれも同じ対策が必要だと考えています。
それは仕様および過去の質問・回答を一元管理し、さらに常時メンテできるようにする仕組みをつくることです。

そのために、Lotus Notesを用いて、仕様管理DBの作成をしています。
これにより多人数が同じ内容を閲覧でき、仕様変更などで常時メンテナンスが可能となります。
またキーワードによる検索も簡単にできるようになります。

このように仕組みを検討して具体化することは、検討や構築に時間が掛かります。
そのため、いっぺんに作り上げるのではなく、可能な範囲でコツコツと作業を継続することが大事だと思っています。

4. おわりに(品質向上を目指す)

タイトルの『作業効率向上により品質向上を目指す』のうち『品質向上を目指す』が出ていませんが、上記2.と3.の「効率よく作業する」で挙げたこと全てが書類やソフトウェアの品質にもかかわることだと思います。

例えば2-1のa.で挙げた顧客への報告書、3-1のb.で挙げた仕様書を、仮に1000ページ2000ページと大量に文書を作成したとしても、顧客や担当者のニーズ・目的に沿っていなければ使い物にならず、利用時の品質が悪いことになります。

ゆえに作業の効率化を求めることは品質向上を目指すことの1つの手段とも言えると思います。

自分はまだまだ十分に効率化出来ているわけではないと思います。しかしながら意識し続け、少しずつでも実行し、自分だけではなく会社全体としても効率を上げ、品質をさらに上げられるようにしていきたいと思います。

(N.K.)


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