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ソフテックだより 第384号(2021年8月18日発行)
現場の声編

「お客様との立会い検査」

1. はじめに

私は、八戸事業所に勤務する入社10年超の社員です。
私が担当する案件では、現場にソフトを納入した数年後に仕様追加が入ることがあります。
このような案件では、変更後のソフトの確認方法として、ソフテックでテスト環境を構築して、お客様と立会い検査を実施することがあります。
立会い検査で問題が見つかった場合、現場でのソフト入れ替えまでに再確認が必要になり、検査延長や再立会いとなることがあるため、問題なく終えるための入念な準備が必要です。
さらに、問題なく終えるだけでなく、お客様に立会い検査をすることで安心していただくことが重要と考えています。
今回は、私が担当した案件の立会い検査でお客様に安心していただけるように取り組んだ内容をご紹介させていただきます。

2. 立会い検査準備

2.1 アジェンダ作成

アジェンダとは、会議の『議題』『予定表』のことを指します。
以下にアジェンダの例を示します。

アジェンダの例
図1.  アジェンダの例

立会い検査の準備として、以下の目的でアジェンダを作成しています。

2.1.1 立会い検査内容の認識合わせ

立会い検査では、変更点をすべて確認してシステムとして、漏れや間違いが無いことをチェックします。
1点あたりの動作確認の手順と時間をまとめて、必要な時間を計算して、立会い検査の予定を計画します。

アジェンダを作成するときには、以下の点に注意しています。

  • 検査内容は、項目のピックアップだけで終わらせずに、操作方法や確認方法を明確にして、お客様に内容をイメージしていただきやすいように配慮します。
  • お客様には、八戸事業所までお越しいただいており、「残りはまた明日」とは簡単にできませんので、細かく時間を計算して精度を上げています。

作成したアジェンダは、事前にお客様へ配布して、立会い内容の認識を合わせつつ、内容の調整をします。
立会い検査は、アジェンダに沿って進めることになりますが、事前に検査内容や時間配分の認識を合わせられるので、立会い検査をスムーズに進めることができます。
予定どおりに進まないことがありますが、残りあとどれくらいの時間がかかるかなど、進捗管理の目安としてアジェンダを活用することもできます。

2.1.2 先行検討

立会い検査では、お客様と一緒に検査を実施する前に仕様、変更内容、立会環境の説明を実施します。
立会い検査の説明に向けて、準備段階でアジェンダを繰り返しチェックして、説明の順番、必要な資料や情報を整理していきます。
そうすることで変更内容の背景や変更の過程を丁寧に説明できるようになり、立会い検査を進めやすくなります。
また、アジェンダをもとに、お客様の立場で立会い検査をシミュレーションすることで、立会い検査当日に自信を持って対応できるようになり、お客様に安心していただけると考えています。

2.2 検査環境構築

私が担当した案件は、ソフトが入った制御盤が複数あり、それぞれの制御盤で機器の監視・制御や他の設備と信号の受け渡しをするシステムです。
用意できない機器や設備は、試験治具や通信シミュレータに置き換えました。
制御盤1面ごとにFAパソコンが格納される構成で、通信シミュレータ用のパソコンを含めて、全部で必要なパソコンは、9台になりました。
これだけの環境を準備するだけでも大変でしたが、検査の品質と効率を上げるためには、さらに工夫が必要です。
具体的には、以下のような工夫を実施しています。

  • モニタアームを使って、ディスプレイを並べて表示します。
  • 高解像度のモニタを使用して、画面を見やすくします。
  • PC切替器を使用して、マウス、キーボードの操作ミスを減らします。

お客様に不自由なく検査していただくことも、重要なことだと考えています。

立会い検査環境のモニタ配置例
図2.  立会い検査環境のモニタ配置例

3. 立会い検査

3.1 仕様の説明

検査する仕様をお客様と共有するため、動作確認の前に変更仕様の説明を実施します。
要求仕様は、お客様も把握していますので、もう一歩踏み込んだ説明が必要です。
説明する際に注意している点は、以下の通りです。

  • 仕様変更による影響範囲の調査方法、解析方法を説明に含めて、お客様が変更仕様の妥当性を判断できるようにします。
  • 仕様変更となった背景や経緯を必ず調べておきます。

私が担当した案件では、現場でのソフト入れ替えをお客様が担当します。
現場で説明を求められても困らないようにという意識で情報を収集して、お客様と情報を共有しています。
お客様と認識を合わせた後に動作確認することで、安心して検査を進められます。

3.2 動作確認

変更仕様や環境の説明を行ったあとに動作確認を実施します。
お客様にご来社いただいていますので、限られた時間を有効に使うことを意識しています。
動作確認では、お客様から既存機能に関する質問をいただくことがあり、その場で即答できない場合があります。
事前に既存機能を確認していますが、私が担当したシステムは、ベースとなるシステムを複数人で開発している大規模システムのため、細かい部分まで頭に入れておくことが難しいです。
このようなときは、無理に一人だけで対応せずに、社内にいる上司や先輩社員に協力を仰いで、素早い対応を心がけています。

3.3 現場でのソフト入れ替えを想定した確認

現場のシステムは、常時稼働中のため、ソフト入れ替えの際は限られた時間で必要な確認しかできません。
そのため、検査環境を使い、お客様と意見を出し合いながら、ソフト入れ替え手順の確認やソフト入れ替え中のシミュレーションをおこないます。
百聞は一見にしかずと言うように、現場に近い環境で手を動かし、確認することで、ソフト入れ替えを担当するお客様の不安を取り除くことができます。

3.4 お客様との交流

休憩中にお客様とお話をすることがあり、お客様から立会いとは直接関係のないお話をお聞きできる貴重な時間です。
雑談を通じて、お客様と距離を縮めることができ、お客様への次の提案につなげることができます。
また、お客様と距離が縮まることで、お互いの意見交換が円滑に進められると考えています。

4. 最後に

立会い検査が無事に終わっても、現場作業が終わるまでお客様は、安心できないと思います。
そのため、お客様から現場作業の予定を聞いておき、問い合わせがあったときにすぐにサポートできるように準備しています。
『立会い検査』の他には、『合同デバッグ』『中間立会い』等がありますが、どのような場合でも、お客様の立場で考えるという心構えが必要です。
今後もお客様に満足いただけるように、考えていきたいと思います。
また、コロナ禍で対面式の立会い検査がしづらい状況のため、リモート立会いの必要性が高まっています。
リモート立会いでは、オンライン会議システムなどを活用して、遠方のお客様に八戸事業所内の映像をリアルタイムに見ていただきながら、検査を実施します。
私もリモート立会いを担当したことがありますが、独特の難しさがあり、対面式の立会い検査とは違った工夫が必要になります。
長引くコロナ禍で、リモート立会いの改善も今後の課題と考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(T.M.)


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