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私は入社5年目の中堅社員です。主として国内企業をお客様として相手取る弊社であっても、システムエンジニア職に就いていると、英語で書かれたマニュアルを読み込む必要があったり、海外のシステムサプライヤと連絡をとったりと英語力を求められる場面に出くわします。私自身としては英語に対して苦手意識こそありませんが、それでもビジネスとして英語を読んだり、書いたり、聞いたり、話したりとなるとスムーズにいかないことも多くあります。当然「グローバル社会においてこんなことではならん!」と発奮するもので、ここ数年意識的に英語力向上に努めるようにしています。また、何か目指すところがあるといいと考え、わかりやすい指標としてTOEICスコアを目標に据えました。元のスコアが845点でしたので、まずは900点を目指すことにしました。
今回のソフテックだより「現場の声編」では、私なりの英語学習法を紹介しながら、TOEIC L&Rテストの受験記を書き記します。(なお、記事中に登場するサービスを特別に推奨したり宣伝するものではありません。)
本題に入る前に、まずは私のもともとの英語力について振り返りたいと思います。
私の両親は日本人で、またご先祖様を数代遡ってみても日本人ばかりで、つまるところ私はいわゆる“純ジャパ”です。両親は英語が話せるようですが、別段家庭内で英語を使うわけでもありません。また幼少期から外国語教材ビデオを見せられて育ったわけでもなく、外国語教室に通っていたわけでもなく、英語を含め外国語の素養としては非常に乏しいバックグラウンドを持ちます。そのためか(あるいは勉強嫌いな当時の性格によるものか)、中学生ごろまでの私は英語がとっても苦手な学生でした。はじめに訪れた転機は高校2年生のとき、当時大学受験に備えて通いだした学習塾でのことでした。その学習塾の英語の授業では、とにかく文法を叩き込まれました。長文問題はもちろん、「次の英文を和訳しなさい」のような一文問題であっても、すべての英文に対して文型(SV, SVC, SVO, SVOO, SVOCのアレ)を取る作業を教え込まれたのです。日々その作業を繰り返した私は、受験を終えるころにはすっかり“英文を見て速やかに品詞を解するマシーン”と化しました。
このことは私に二つの恩恵をもたらしました。
まず一つ目は、当然ながら英文読解力の格段の向上です。単に読むスピードが上がっただけではなく、「これが主語でこれが目的語ということは、これは名詞に見えて実は動詞だな」とか、「知らない単語だけれども、文章の流れからするとここで目的語として登場しているこの名詞はおおよそこういう意味合いだろう」というような推測能力が身についたのです。
そして二つ目は、文法に対する自信です。「英語を話せない」日本人の特徴として、『自分の英語があっているかわからない/正しく伝わるか不安』と気に病んでしまい話し出せないというのが挙げられますが、塾での勉強を経て文法に関して強い自信が芽生えた私は、喋りだしをあまり躊躇することがなくなったのです。英語を得意とする知人には「文法なんか勉強してても話せるようにはならないよ」と一笑に付されてしまうのですが、意外とこういう形の恩恵もあるものです。
大学に入ってからは、高校時代に学習塾で培った英語力の余力で、なんとか上から数えたほうが早い程度の英語クラスに振り分けられ、のんべんだらりと(というと当時の恩師に悪いですが)英語の授業に臨んでいました。
そんな怠惰な学生の私に次に訪れた転機は、卒業研究に向けた研究室配属でした。私の所属した研究室は留学生を多く受け入れており、なんと研究室内の公用語が英語でした。月一の成果発表会も英語、雑誌会も英語、ポスドクから指導を受けるときも英語、フラスコがきれいに洗えていないと洗い物当番に文句を言うにも英語、飲み会で酔っ払って管をまくときでさえ英語でした。これはわかりやすくも飛躍的に英語力を向上させてくれました。特に聴く力と話す力は大いに伸びました。よく留学体験記などで「英語が必要な環境に身を置けば自然と英語が話せるようになる」といった記述を目にしますが、まさにこの状況でした。
また、研究分野も英語力を伸ばすのに役立っており、調べもののために読む論文はほぼ100%英語、参加する学会のポスターセッションも9割英語と、読む力もかなり鍛えられました。
大学時代を通じて3回TOEIC L&Rを受験しました。怠惰な学生らしくもTOEIC用の対策は取らず、地の英語力で臨んでみたところ、研究室所属前の1回目のスコアは715点で、研究室に所属してから受けた2回目のスコアは795点でした。「おっ!このペースで伸びていけばあと3回も受ければ1000点超すぞ!」と喜び勇んだものです。大学を出るころに受けた3回目のスコアは845点でした。
さていよいよ本題、ここからTOEIC 900点を目指して対策をとっていきます。
過去のスコアシートを見てみると、過去3回を通じて、私のスコアはリスニングがリーディングをやや上回っていました。読解力は大学受験と研究活動を通じて極まったはずなのになぜ…?
実は大学受験勉強で培った文法理解力は、良い面だけでなく悪い面を併せ持っていました。前述の通り、文法理解力が高まったことにより単語の意味合いを推測する能力が身についた私は、愚かしくも「全体を見ればなんとなくニュアンスはわかるから」と英単語の学習をサボっていたのです。TOEICのスコアに語彙力は不可欠!にもかかわらず私にはその語彙力が不足していたのです。
高校時代に使っていた単語帳(英単語ターゲット)を引っ張り出してきて読み直してみたものの、ITエンジニアとして歴を積むうちに紙媒体を持ち歩くことを厭うようになってしまった現在の私には勉強法が会いませんでした。
そこでスマートフォンに英単語学習アプリ「mikan」をインストールし、単語の学習を進めました。スマホだと紙の本より取り出しやすく、スキマ時間での学習が捗り、性に合っていました。
研究室時代こそ毎日英語を聞いたり話したりしていましたが、ソフテックに入社してからめっきりそんな機会もなくなっていたので、リスニング力は衰える一方でした。
リスニング力を取り戻すにはとにかく聞くこと!そしてシャドーイング!そう考えた私は、Podcastに目を付けました。私のスマホ(iPhone)にプリインストールされていたPodcastアプリでは、一部の番組で文字起こしを利用可能です。なので、移動中などはイヤホンで英語ニュースを聴き、さらに自宅など周囲に迷惑のかからない環境では文字起こしを見ながら耳から入る英語を追いかけて喋る、ということを日々繰り返しました。

図 1 Podcastアプリの文字起こし画面 実際に話している部分がハイライトされるので、話者が今なんと言っているのかわかりやすい
こうした対策的な勉強をつづけながら、日々の業務の中で英語のマニュアルなどを読み、読解力もキープするよう努めました。
そうして、4回目のTOEIC L&R受験の日はやってきました。
当日は…大雨。外に一歩踏み出すだけで靴が濡れ、傘をさしていても肩が濡れるような状態でした。しかも私は季節的に花粉症に苛まれており、大雨で多少症状が和らいでいるとはいえ、到底ベストコンディションとは言えません。さらに悪いことに、前日のうちに多めに準備しておいたポケットティッシュは自宅に置き忘れてしまいました。
…
受験後、手ごたえはよくわかりませんでした。リスニングは比較的余裕がありました。リーディングは、mikanで何度か詰まった要注意単語が出題され「ここアプリでやったとこ!」と綽々とマークを塗る場面もあったものの、結局時間いっぱいまで使い、解き終えていない文章題もありました。花粉症の方はカバンの底でクッタリしていたポケットティッシュ(残3枚)でなんとか賄えました。
スコア開示の日、私は業務に集中する傍ら、結果が受験者マイページに公開されるのを今か今かと待っていました。
そしてついにその時はやってきました。ドキドキしながらマイページにログインして確認すると、結果は…865点。
私は肩を落としました。スコアとしては少し伸びている。伸びてはいるけれども、目標には及ばず…。スコア内訳を確認してみると、前回に比べてリスニングが30点伸び、リーディングが10点下がっていました。どうやら、リスニング力を取り戻すことに力を入れすぎたようで、語彙力を含めたリーディング力の研鑽がまだまだ不足していたのだと思われます。
より詳細に見ていきます。まずはリスニングから。

図 2 評価項目別正答率 (リスニング)
長文の要点や文脈を推測する分野が足を引っ張っていることが見て取れます。文章を目で見られるリーディングテストに比べ、文型を取るというお得意の作業がし難いために、よく英文の要点をかいつまむことができていないのだと推測できます。また、短文の詳細理解も全体平均からあまり差がついていませんが、「耳で聞いた単語の意味をすぐに取れていない」ということが考えられそうです。
次にリーディングです。

図 3 評価項目別正答率 (リーディング)
ストレートに「語彙が理解できる」が低く、語彙力不足が明らかです。また、「文書中の情報を元に推測」「具体的な情報を見つけて理解」「散りばめられた情報を関連付ける」が全体的に低いことも見て取れますが、これは回答時間が足りず、余裕をもって読み込むということができていないことが根本原因としてありそうです。一方で文法理解は100%に近い結果が出ており、学習塾時代の“貯金”が活きている感じがします。
総評としては、まず圧倒的な語彙力不足、そしてそれを原因として読解・聴解時間が長くなり、全体的に余裕がなくなっていることがスコアアップを阻んでいる要因であると考えられます。
こうして私の4回目のTOEIC L&R受験は「得点アップも目標未達」というイマイチ振るわない結果で終わりました。一方で、まだまだ語彙不足でありながらも、日常業務の中で勉強した単語が活きたり、リスニングに慣らした耳でビジネス英会話についていきやすくなったりと、勉強の成果が出ていると感じられる場面もあります。ですので、今回の試験結果にただへこたれるのではなく、まずは当面の目標である900点を引き続き目指していきたいと考えています。本稿執筆にあたり改めてスコアシートとじっくり向き合ってみましたが、自分の弱点が明らかでしたので、これからまたリーディングにウェイトバランスを寄せつつ勉強を続けていく所存です。
エンジニアとしてグローバル社会から取り残されないように、またソフテックが世界に食らいついていけるように、語学力と技術力を併せて磨くよう、また心持ちを新たに頑張っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回のソフテックだよりもどうぞお楽しみに!
(R.O.)
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