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ソフテックだより 第441号(2024年1月3日発行)
技術レポート

「システムのバックアップ 〜RDXの活用〜」

1. はじめに

私は入社19年目の社員です。
弊社が開発したアプリケーションが稼動しているシステムのバックアップにRDXを活用した事例がありましたので、紹介させて頂きます。

2. RDXとは?

RDX(Removable Disk eXchange system)とは、ディスクの取り外し・交換ができるバックアップシステムのことです。
タンベルグデータ社が開発、特許を取得しており、主要サーバーメーカーにも採用されているバックアップシステムです。

2.5インチHDD(SSDタイプもあります)をカートリッジ化することで、外付けドライブのように着脱して扱うことができます。
カートリッジは専用の衝撃吸収材が使用されており、振動・衝撃に強い構造となっています。
そのため、バックアップしたカードリッジを別の場所で保管することで災害対策にもなります。

私が使用した機器とカートリッジは以下の通りです。

RDX機器/カートリッジ
図1.RDX機器/カートリッジ

3. バックアップのシステム構成

バックアップのシステム構成の概要は以下の通りです。

  1. 複数台のサーバーからNASへ定期的に自動バックアップ(一次バックアップ)を行う。
  2. NASからRDXドライブ1〜3へ定期的に手動バックアップ(二次バックアップ)を行う。
  3. 手動バックアップ後、RDXドライブのカートリッジは鍵付き専用ケースに入れて別の場所で保管する。
  4. 災害等でサーバー復旧が必要になった場合、カートリッジのデータからサーバーの復旧を行う。
  5. サーバーのセキュリティパッチなどの更新が必要となった場合、PCからカートリッジに書き込みを行う。
    その後、カートリッジをサーバーラック内のドライブ4に挿入して、NASからドライブ4にアクセスしてデータの受け渡しを行う。

バックアップのシステム構成
図2.バックアップのシステム構成

RDXを活用したことにより、以下のメリットがあると考えています。

  • カートリッジの着脱や保管が簡単なので、別の場所でも保管がしやすい。
  • カートリッジの追加購入により、特定時点のバックアップを残しておくことができる。
  • 将来、バックアップデータの容量が大きくなっても、カートリッジの容量(※)を増やすことで対応することができる。
    (※システム構築時は5TBのカートリッジを採用しましたが、現在は8TBのカートリッジもあります)

また、サーバーラック内のカートリッジの盗難に対しては以下の対策を行っています。

  • QuickStation4の設定でボタン操作でのカートリッジ取り外しを許可しない。
  • 鍵付きサーバーラックに入れているので、管理者以外は物理的にアクセスできない。

4. システム構築で苦労した点

RDX QuickStation4には日本語のマニュアルがあり、使い方が詳しく記載されております。
iSCSIイニシエーターを利用した接続方法も記載されていて大変親切なマニュアルだと思います。
各種設定はWebブラウザで行えるようになっていて、直感的にも操作しやすいUIとなっています。
しかし、それでも何点か使い方で苦労した点がありましたので、紹介いたします。

4-1. 初期IPアドレスの変更方法について

初期IPアドレスを変更する場合、USBメモリへ特定のファイル名のテキストファイルを格納し、RDX QuickStation4のUSBポートに挿し込む必要があります。
正しいファイルの場合、USBメモリを抜いたタイミングでIPアドレスの更新が開始されます。

マニュアルでは「更新で2分以上待ちます」と記載されていたものの、どのタイミングから2分なのかは記載されていませんでした。USBポートへ挿したタイミングで前面のLEDが点灯するので、はじめはこのタイミングで更新が始まるものと考えていました。
しかし、USBポートへ挿してもIP更新が行われたどうか画面で確認できず、RDX QuickStation4の電源を落としてUSBを取り外しておりました。電源再投入後、IPアドレスの表示内容を確認して更新がされていないことがわかりました。

はじめ、IPアドレス更新に失敗した理由はテキストファイルの内容が違っている(例えば、改行コードの扱い等)と考えて、タンベルグデータ社へ問い合わせを行っておりました。
テキストファイル内容に間違いないことを確認しても、IP更新ができない状況が続きましたが、ふとIPアドレスが更新されていることに気づきました。
ただ、IP更新中の状態をディスプレイで確認しておらず、「いつ更新された?」と考えているうちに、USBメモリを抜いてディスプレイから離れているときだと気づきました。
それまではQuick Station4の電源を落としてからUSBの着脱をしていたので、更新されなかったようです。
やり方が分かればなんてことはないのですが、マニュアルにタイミングを記載するのも注意が必要だなと思いました。

4-2. NAS再起動時、ドライブレターが初期化されてしまう

これはRDX QuickStaion4の仕様というわけではなく、Windows のiSCSIイニシエーターの使い方の問題となります。
iSCSIイニシエーターで接続するとUSBメモリなどと同じようにドライブにアクセスすることができます。
ドライブレターも設定することが可能となりますが、NASを再起動するとドライブレターの設定が変わってしまう現象がありました。調査したところ、Windows 起動時にiSCSIイニシエーターの接続機器(RDX QuickStation4)の電源が入っていない場合、前回設定したドライブレターの情報が初期化されてしまうようです。

上記対策のため、UPSの設定を以下のように見直しております。

  • サーバーの電源OFF時、NAS → RDX QuickStation4の順に電源OFFする。
  • サーバーの電源ON時、 RDX QuickStation4→ NASの順に電源ONする。

5. おわりに

RDXを活用することにより、中小規模の案件でも比較的簡単にバックアップを保管できるようになります。
昨今、豪雨水害等の災害が増加しております。今回はRDXを活用したバックアップについて紹介させて頂きましたが、システムのバックアップについて考える機会にして頂ければと思います。

(K.S.)


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