HOME > ソフテックだより > 第63号(2008年4月2日発行) 現場の声編「初めての作業での出張」

「ソフテックだより」では、ソフトウェア開発に関する情報や開発現場における社員の取り組みなどを定期的にお知らせしています。
さまざまなテーマを取り上げていますので、他のソフテックだよりも、ぜひご覧下さい。

ソフテックだより(発行日順)のページへ
ソフテックだより 技術レポート(技術分野別)のページへ
ソフテックだより 現場の声(シーン別)のページへ


ソフテックだより 第63号(2008年4月2日発行)
現場の声編

「初めての作業での出張」

1. はじめに

私が入社して、もうすぐ1年が経ちます。
初めての仕事は、1人ではなく先輩社員2人と3人で作業し、開発期間も5ヶ月以上かかるような大型の案件でした。その作業で去年の11月に関西へ出張に行き、とても良い経験ができたので、紹介したいと思います。

2. 担当作業

私が担当した作業内容の前に本案件について説明します。
この案件は、工場内を監視するシステムの更新です。工場内を監視するシステムについて簡単に説明します。工場やプラントなどの設備を監視・制御するシステムをSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition Systemの略)と呼びます。制御機器と通信してデータの読み書きをすることによって、設備内の監視・制御をします。工場の規模が大きくなればなるほど、監視・管理するデータが増えるためシステムもそれに伴い大きくて複雑になります。

私は、初めての仕事ということもあり、システムのポイントとなる場所がわからなくて、どこから見れば良いかわかりませんでした。そのため、開発の序盤はシステム全体を理解することにとても苦労しました。そのシステムの中で画面表示の部分を担当しました。
担当した画面表示の部分は、次のような画面があります。

  • 収集したデータをグラフィックや表で表示する画面
  • データの履歴をグラフで表示する画面
  • 収集したデータの日付を指定して印刷する画面
  • システムで発生した異常を通知する画面

入社後の研修を終えたばかりで、長期間かかる案件の作業をすることになり大変だろうけどやりがいのある仕事だなあと感じました。

他には、データを収集する部分やシステム全体を管理する部分などがありますが、それらは先輩社員が担当しています。

3. 作業の流れ

開発の流れは、4つに分けることができます。

(1). 仕様決定

どのようなシステム(製品)にするか仕様を決める段階です。本案件はシステムの更新なので、仕様は既設システム通りに進めました。そのため、既設システムの仕様書を参考にして画面イメージを作成しました。画面イメージの作成では、実際に開発で使うソフトを使い、表やグラフやボタンなどを配置していきました。初めて使うソフトだったので、使いこなすのが難しく、ソフトの機能、使い方を理解するだけで時間が過ぎてしまい、本来やるべきであった仕様理解がしっかりとできていないまま作業を進めてしまいました。
また、自分が担当する部分の仕様だけでなく、「画面に表示するデータは、どのような処理をしていて、どのタイミングで収集するのか?」などの担当範囲以外のことでも、理解しなければなりませんでした。

(2). 設計

仕様通りのシステムにするために機能ごとに分けたり、データをまとめたりする段階です。処理は既存をベースにできるので、表示するデータを画面ごとにまとめることをしました。良い設計をするためには、仕様をしっかりと理解していなければなりませんが、仕様の理解が浅かったので、既存のプログラムと仕様書を見ながら仕様の理解を深めながら、画面ごとにデータを決めていくことを行いました。

(3). コーディング、デバッグ

収集したデータを表示する画面を作成します。ただ表示させるだけなら問題ありませんが、ボタン処理や時間での更新処理などがあり、複数の機能が絡むところは苦労しました。同じような処理が何箇所もあり、修正漏れが多くありとても大変でした。

また、画面表示のデータの桁数など、仕様がはっきりしない段階で進めていたところは、後で、修正するのが大変でした。今になって考えてみると事前に確認していれば、発生しない作業でした。はっきりしないところや、わからないところは、わかるまで進めないということを徹底するようにして、無駄な作業を減らすようすることが大切だと思いました。また、画面作成ソフトの使い方の理解が浅いことや、コーディング力が足りなかったことがあり、1画面作成するだけでも非常に時間がかかりました。

当時は、1からのスタートだったので、ほとんどわからない状況でしたが、マニュアルやヘルプを見ながら進めました。今は、以前よりマニュアルやヘルプを見る回数も減り、しっかり身について来ていることが実感できます。また、使用したツールについて、先輩社員から質問されるときがありますが、習得したことは答えられるようになっています。

(4). テスト

テストは機能ごとに単体で行うものと組み合わせて行うものがあります。まずは、単体で機能の確認をしてから組み合わせてテストをします。実際に組み合わせて確認すると細かいミスも見つかり、自分の確認の甘さを痛感しました。

特に、画面展開した直後やデータがないときなどでミスが目立っていました。 ソフト開発では、『正常処理よりも異常処理が多い』と言われますが、私が作成したものは、正常時の処理が殆どで、異常処理が考えられていませんでした。異常動作を考えることの難しさを改めて実感しました。
このときから、詳細な動作までしっかり確認することを意識するようにしていますが、まだまだ、細かい見逃しが出てしまいます。

開発を通しての反省すべき点はとても多くあります。特に、入社当時に部長から話して頂いた「品質は上流で作りこむ」というこができてなかったと思いました。「品質は上流で作りこむ」とは、仕様の理解が完成度の高い設計につながり、最終的に品質が高くなるということです。
現地での対応まではできませんでしたが、仕様決めから設計、開発、テストまで作業をしました。通して作業することによって、様々な経験を積むことができました。

4. 出張作業

私の担当は、社内でのテストまでで、修正対応は社内で行う予定でした。実際のところ、トラブル対応や修正などの残作業が多く、環境がない社内では、はかどらないということで出張することになりました。
作業している部屋では、実際の環境を準備して、お客様と先輩社員がテストをしていました。私は、その横で修正部分の対応をすることになりました。テストは立ち上げていたシステムの機能が不十分だったため、思うように進まずお客様に非常に迷惑をかけている状況でした。私の担当した部分でも不適合が見つかり仕様を再確認して、対応することになりました。

トラブルが収束しないということで、それまで作業に関わっていない先輩社員も加わり、全員で担当部分は自ら責任を持ち、一丸になって作業を進めることになりました。そのときからは、最初来たときよりもピリピリした空気になっていると感じました。動作確認をするときは人が増えたことがあり、あまり時間がとれなくなり、確認が甘くなってしまいました。そのため、お客様がテストしているときにミスが見つかってしまい、先輩社員から管理・確認が甘いと注意されました。私は、そういうことを何度か繰り返してしまい、作業途中で新しく先輩社員を呼び、作業を引き継いでいただき先に帰ることになりました。

結局、最後まで出張作業をすることができませんでした。でも、急遽参入した先輩達がお客様の前で焦りを見せず、すごいスピードでトラブルを解決していく姿を見ることができました。私も、先輩社員を見習って5年後、10年後には、トラブルが発生したときでも迅速に対応できるようになりたいと思いました。
出張作業中は先輩社員やお客様からは様々な指摘を頂きました。例えば、お客様からは、「画面は、ユーザーにとって一番目に付くところだから、デザインを意識する必要があるよ」と指摘を受けました。イメージの作成段階では、イメージを作るだけで元になる画面から、更に良くしようという考えが持てず、元になる画面通りにするだけで精一杯になっていました。後で、修正したいとは考えていましたが、仕様を変えることになってしまうし、イメージ作成だけに時間を取れないということもあり、今回は対応できませんでした。

後から、先輩社員に修正していただきましたが、見違えるものになっていました。私が、イメージを作ったときは、研修直後で画面を見てもどこを注意して見れば良いかわかりませんでしたが、出張から戻ってから他の作業で画面イメージを作成する機会があり、この時は意識することができました。
毎日色々な指摘を受けましたが、全部が非常に身にしみました。このときの作業で学んだことを意識して今後の作業に取り組もうと思いました。
お客様には大変迷惑をおかけしましたが、作業が連日続いたときや出張作業を終えて帰るときに励ましの声を頂きました。そのおかげもあり、最後まで、がんばろうと思えたので、とても感謝しています。私も今回の出張のように大変なときでも相手を気遣えるようにしたいと思いました。

5. 作業を振り返って

ソフテックでは、私のように新人でも作業で出張に行くことは珍しくありません。出張は、社内での作業とは違い、お客様と一緒に作業することになります。そんなところで失敗ばかりしているとお客様を不安にしてしまいます。社内にいるときより更に、自分の言動には責任を持たなければなりません。それでも、私のように失敗をしてしまうと思いますが、そんな時は先輩社員がサポートしてくれます。
今回は、人手が足りなくて出張に行ったにも関わらず、先輩達だけでなくお客様にまで迷惑をかけてしまいました。まずは、しっかり自分の作業に責任を持ち、ミスを減らすようにしたいと思います。それからは、更に上のレベルを目指したいと思います。

6. 一年間を振り返って

入社当時は、先輩社員や部課長の話を聞いても知識としては、頭に入れることができましたが、理解することができていませんでした。最近は少しずつわかってきました。なぜなら、作業を通じて実感できることが多いからです。
特に、この一年間では報連相の大切さを実感できました。私は、特に意識するようにしています。ちょっと確認すれば良いのに、間違えたまま進めてあとで大問題になるということがあるからです。それでも、結果的にはわかったつもりでしかなかったと言うことがあります。また、説明を受けても間違った解釈をすることがあり、説明を受けた後に確認をするようにしています。それでも、わかっていないのに聞いていないことがあり、まだまだ、徹底できていません。報連相は、簡単そうですが、相手に上手く伝えたり、説明を正しく理解したりするのは難しいと感じています。

社会人になっての一年目は、初めての経験を多くさせて頂き、人間性を高める上で非常に有意義な日々を送れたと思っています。先輩社員や上司には、日々迷惑をかけて目を離せない状態にしているかもしれませんが、仕事に取り組む上で先輩社員と同じ意識で作業できるようにしたいと思います。

(T.M.)


関連ページへのリンク

関連するソフテックだより

ページTOPへ