HOME > ソフテックだより > 第410号(2022年9月21日発行) 現場の声編「基板取り扱い失敗談」

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ソフテックだより 第410号(2022年9月21日発行)
現場の声編

「基板取り扱い失敗談」

1. はじめに

私は入社25年超になる40代の社員で、主に組み込み系のソフトウェア開発を担当しています。
ソフテックにおける組み込み開発では開発ターゲット基板をお客様から借用して開発を行いますが、開発中に基板の取り扱いを誤って基板を壊してしまい、お客様にご迷惑をかけてしまったことがあります。
今回のソフテックだよりでは、基板取り扱い失敗談についてとりあげ、問題点を共有して今後の再発防止につなげたいと思います。

2. 失敗談

2-1. DC電源のプラス・マイナス逆接続

基板の電源ケーブルをDC電源に接続する際、プラスとマイナスを誤って逆に接続し、基板を壊してしまったことがあります。
DC電源へケーブルを接続する際の不注意なのですが、電源を入れる前に配線チェックをしっかり行っていれば気づけた問題です。

また、一般的に電源ケーブルは赤線がプラス側、青線がマイナス側となります(赤[+]/白[-]、赤[+]/黒[-]、白[+]/黒[-]などもあり)。他社員から聞いた失敗談ですが、支給されたケーブルの赤線と青線が逆になっていて、それに気づかずに赤線はプラス、青線はマイナスと思い込んでDC電源に接続して基板を壊してしまったそうです。
私自身も伝送線の送信・受信が逆のケーブルを受領したことがあるため、ケーブルを受領した際はきちんとケーブルが正しいことを確認してから接続するように注意しています。

2-2. ケーブルの接続間違い

基板のコネクタにケーブルを接続する際、誤って別のコネクタに接続してしまい、基板を壊してしまったことがあります。

基板の場所移動のため、一旦ケーブル関係を基板から取り外して再接続したとき、通信用ケーブルをバッテリー電源ケーブル用のコネクタに誤って接続し、間違いに気づかずにそのまま電源を入れてしまいました。
近くにいた社員から「煙が出てる!」と言われ、見ると基板から白い煙があがっており慌てて電源を落としました。
煙があがっていた基板は伝送ケーブルの先に繋がっている別のマイコン基板でしたが、その基板の通信ICが溶けていました。伝送ケーブルの先には渡り接続で計7枚の基板がつながっていたのですが、嫌な予感がした通り、7枚すべての通信ICが壊れていました。
お客様に電話をしてお詫びしましたが、お客様からは「修理の間、基板がなくても大丈夫ですか?」と気遣っていただきました。大変申し訳なかったです。

同じ形状のコネクタがあったことを把握できていなかったのですが、ケーブルを接続するときに何のチェックもしないで接続していました。
正しい接続なのかチェックするのはもちろんですが、誤接続の可能性がある箇所にはテプラなどで注意事項を記載する、接続しないコネクタがあれば絶縁テープを貼るなど注意しています。

2-3. 計測端子のショート

組み込み開発ではオシロスコープを使用して波形計測を行う機会がありますが、基板の電源を入れたままテストクリップの接続や取り外しを行ったときにテストクリップ先端が計測端子と隣の端子の両方に触れてショート(図1)し、基板を壊してしまったことがあります。
テストクリップの接続や取り外しは必ず基板の電源を切った状態で行うように注意しています。テスタで電圧測定する場合にもプローブ先端でショートしてしまうことがあるので、なるべく安全に計測できる箇所をあたるように注意しています。

図 1.テストクリップによるICのショート
図1.  テストクリップによるICのショート

また、最近は電子部品が小型化しており、テストクリップの接続も一苦労です。小型部品に接続する場合は極細タイプのテストクリップを使用しますが、目視でテストクリップが正しく接続されているか確認できないこともあり、隣の端子とショートしている可能性もあります。そのような場合は必ずルーペで正しく接続されていることを確認してから基板電源を入れるようにしています。

2-4. 静電気

静電気が帯電した状態で基板に触るとパチッと火花が飛び、基板に静電気が流れ、ICが壊れてしまうことがあります。
私自身は静電気で基板を壊したことはありませんが、他社員から静電気でICを破損させたと聞いたことがあります。

そのため、基板を扱う机には導電マット(図2)を敷いて、人や物に帯電している静電気を逃がすようにしています。また、冬場は加湿器を設置して静電気が起きにくいように対策しています。
導電マットを敷いていても静電気を逃がす前に基板に触ったら意味がありませんので、冬場に限らず必ず導電マットに触れてから基板を取り扱うように注意しています。

図 2.導電マット
図2.  導電マット

2-5. 基板送付・受け取り

借用基板の受け取りや基板修理を行うときに、宅配便を利用して送付・受け取りを行いますが、受け取ったときに基板の部品や配線が外れていたということがありました。
基板改造や不良基板の修理が行われる際、基板に追加で抵抗などの部品を付けたり、ジャンパー配線が行われたりするので、外部からの衝撃で外れやすい状況になりやすいです。
輸送中の振動で外れてしまったのか、梱包材を外すときに引っかかってしまったのか要因がはっきりしないことがありますが、基板送付・受け取り時は丁寧に扱うように注意しています。

2-6. プログラムの問題

プログラムのバグやデバッグの過程でハードウェアの制限事項を守らなかったために基板を壊してしまうケースがあります。

例えば、「制御出力ON時間は○ms以内」というハードウェア制限事項があり、制御出力ONを継続してしまった場合に発熱する基板があったとします。
もし、プログラムのバグにより制御出力ONを継続するようなことがあれば基板を壊してしまうことにつながります。
また、プログラムにバグがなかったとしても、デバッグ中に該当の制御出力ONを行ったタイミングでデバッガを一時停止してしまうと、制御出力ONを継続する状況と同じになります。

このように、プログラムのバグやデバッグの過程で基板を壊してしまう可能性がないかは事前にハードウェア設計者へ確認し、その可能性がある場合は対策を相談します。
今回の例の場合であれば、制御出力ONを継続しても問題ないように開発用基板は改造してもらう、またはジャンパーピン設定で制御出力の遮断ON/OFFを選択できるようにしてもらうなどの対応ができないかを相談します。

3. おわりに

基板を壊してしまったときのことを振り返ると、時間を惜しんで対応を急いでいるときや、基板の取り扱いに慣れてきて気が緩んでいるときにミスをしてしまうことがあると感じます。

基板を壊してしまった場合、破損個所の調査や基板修理の時間をお客様にとっていただくことになり、多大な迷惑をかけてしまいます。
また、2022年9月現在、半導体不足・部品不足の状況が続いており、お客様からも部品入手難で苦労されている話も聞きます。もし入手難の部品を壊してしまった場合、基板修理できず、納期遅れにもつながりかねません。

同じ失敗を繰り返さないように他社員とも情報を共有し、安全・丁寧に基板を取り扱い、開発を進めていくようにします。

(M.A.)


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