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弊社では、東京:四谷と青森:八戸の2拠点でソフトウェアの開発を行っています。2拠点で業務内容が異なることはありません。プロジェクト単位で分かれて開発しています。しかし、大規模なプロジェクトなどの場合には、同じプロジェクトでも2拠点に分かれて開発する場合があります。分かれて開発する場合、多少なりとも開発効率は落ちてしまいますが、昨年11月に、その改善策としてTV会議システムを導入しましたので、今回のテーマとしたいと思います。
なお、TV会議システムそのものの評価は、インターネットを検索したりすれば、いくらでも出てくると思います。そこで実際の開発に沿ってどのように運用したかを紹介したいと思います。
今回は、2種類の基板(それぞれの基板には、2つのマイコン)、計4つのマイコンのソフトウェア開発を四谷と八戸で別れて開発を行いました。
TV会議システムがあるとしても、複数拠点に分かれて開発する際の問題がすべて解決するわけではありません。物理的な問題は解決できません。そこで以下のように考えて運用しました。本開発は組み込みマイコン用のソフトウェア開発ですので、マイコン基板がない場合、やれることが大きく制限されてしまいます。
そのため、それを回避するために役割分担を工夫しました。
「出来る限り独立することによりそれぞれの開発効率を上げる。」「結合時点での不一致を少なくしトータルの開発効率を上げる。」という2つをポイントとして考え、役割分担を決定しています。
以下のようになります。
※なお、A−B間、C−D間、A−C間は通信可能となっています。
本開発のTV会議システムの利用について以下の3つをポイントと考えて実施しました。
TV会議システムでは、カメラ映像だけではなく、PCの画面を共有することが出来ます。本開発でも、非常に多くの資料をもとにソフトウェア開発を行っています。
進捗に関する資料、開発設計書、また、扱うデバイスのデータシートなど資料は、様々です。PCで表示できさえすれば、その画面を複数拠点で共有することができます。画面を表示したまま、お互いが発言することが出来ます。
これにより資料そのものは、もちろん、その資料の行間までも共有することが可能となります。
ひとつのファイルを遠隔地から参照し、互いに情報を入力することで、情報の共有を即時に行うとともに、気になる点についても随時確認しながら進めることができました。
普通の会議では、言葉だけで説明が難しい場合には、実際のモノや手、体全体を使って表現したり、白板などに図を描いて説明することが良くあります。TV会議システムでも同様のことができます。カメラを白板に合わせれば良いだけです。しかもカメラは他拠点側から位置、ズームを自在に行うことができます。これにより伝えたいことを制限されることなく相手に伝えることが可能となります。
白板を使っての説明は非常に有効でした。電話では言葉だけに頼ることになりますが、絵を見ることが出来るため理解度が格段に上がりました。
顔を合わせての打ち合わせの最も重要な点は、相手の表情を確認することだと思っています。特にソフトウェア開発は、目に見えないものを作っています。ソフトウェアは、作った本人しか分からないということが多々あります。それを様々な資料を駆使して表現を試みている訳ですが、やはり、限界があります。
打ち合わせ最中に状況確認を行う際、意見交換の際、相手の表情を見ながら、話しを進めることが重要です。これにより言葉や文字で表せない微妙な状況も把握することが可能となります。
互いのプログラムの接合部分では、細かい役割を依頼する場合が多々ありますが、作業依頼を無理強いすると良い結果にはなりません。自分の状況を相手に理解してもらう。逆に相手の状況を自分が理解し、ベストな分担とすることが必要です。お互いの顔を見ながら話しを進めることで無理のない進め方をすることができたと思います。
以上のようにTV会議システムは非常に利用価値の高いツールですが、万能ではありません。その他のツールも駆使してプロジェクトを進めていく必要があります。弊社では、グループウェアNotesも導入しておりますが、リアルタイム性としてTV会議システムを、永続的な情報の蓄積としてグループウェアをというように併用しております。
TV会議システムを使った会議でも進行と同時に議事録を作成し、会議の場で議事録の確認を行い、その後、直ぐにNotesを使って報告するという運用を実践しております。
以上のようにTV会議システムはプロジェクトを進める上で非常に有効なツールです。しかし、それ以外では、どうでしょうか?
プロジェクトを進める上では、あまり関係はないのですが、予想外のメリットもありました。それは、手軽に遠隔地の状況を見ることが出来るという点です。弊社では、四谷と八戸の2拠点に別れて開発を行っていますが、距離も離れていますし、様子も大きく違います。
例えば、今の季節でいえば、四谷は「今日は暖かいなぁ」などと言っていてもTV会議システムの向こうの八戸では雪景色を背景に「さむいさむい」と言っていることもあります。また、距離が離れていますので、特別な用事がなければ、お互いの拠点を訪れることはなく、何度も一緒に仕事をしていても「顔も見たことがない…」ということもありました。一緒に仕事をするのに相手のことを知らないというのは、なんとも奇妙なものです。
そこで、現時点では、TV会議システムを「プロジェクト推進の道具」として使っていますが、直接仕事に関係のないところでもコミュニケーションツールとして活用するのも面白いのではないか?と考えています。同じ拠点に居れば、仕事以外のことで話しをすることによって、お互いを理解し、結果的にコミュニケーションが円滑になり、仕事もうまくいくということもあるでしょう。近くに居ないだけで、それができないというのはもったいない話しです。違う使い方もあるのでは?と考え中です。
最後に四谷のTV会議システムから見た八戸の写真を紹介します。
図2. 四谷のTV会議システムから見た八戸
(H.T.)
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