マイコンという言葉は最近の家電製品にも使われており一般的になっています。 その、マイコンとはどのようなものなのでしょうか?
それは複数の電子部品を組み合わせたものではなく単一のLSI(電子部品)、一言でいうとCPU(MPUとも呼ぶ)です。 形状は正方形あるいは長方形の板状で四方あるいは下面から多数の足が出ています。
CPUはコンピュータの代表であるパソコンにも入っており、プログラム(命令)を実行するものです。プログラムでは、ある入力に対して様々な計算や条件判断を行い何らかの出力を行います。
エアコン(暖房)を例にすると以下のようになります。
基本的には上記のa〜cを繰り返して部屋の温度を一定にします。
ただし、マイコンを使ってプログラムを作るともう少し賢い制御ができます。 例えば25度に温度を設定している場合、上記の処理では25.1度になるとエアコンがOFFして24.9度になるとエアコンがONしてしまい、頻繁にON/OFFを繰り返すことになります。
上記を解決するために、判断を賢くして設定温度が25度でも26度以上でOFFして24度以下でONするようにプログラムを作ることで頻繁なON/OFFを防ぐことができます。
このように、マイコンを使ってプログラムを動かす(実行)ことで細かな制御ができるようになります。
今ではマイコンは単一のLSI(電子部品)を示す名称ですが、1980年ころにはそのLSIをマイクロプロセッサ(あるいはMPU<Micro Processing Unit>)と呼びマイコンとは呼びませんでした。
しかし、マイコンという用語は存在していました。マイクロプロセッサを利用した個人用小型コンピュータ(電子計算機)を指してマイクロコンピュータ、略してマイコンと呼んでいました。
そのころ8ビットのパーソナルコンピュータつまりパソコンは世の中に出たばかりでしたが一般的にはマイコンと呼ばれていました。
ときが流れ16ビット機が各家庭に普及し始めると個人用小型コンピュータはパソコンと呼ばれるようになり、パソコンのことをマイコンと言うことはなくなりました。
では、マイクロプロセッサは何故マイコンと呼ばれるようになったのでしょうか? これは私の推測ですが、小型マイクロプロセッサは進化を遂げてほとんどのものがメモリやI/Oインターフェースなどの多くの周辺の電子回路を取り込んだLSIに成長しました。 単なるマイクロプロセッサではなくなってしまいました。 よりコンピュータに近くなったわけです。 そのためにマイコンと呼ぶようになったのではないでしょうか。
エアコンの例はCPUが入っているパソコンでも同じことができます。 しかし、エアコンの中にパソコンが入っていたらどうなるでしょう?
ノートパソコンを使ったとしても、大きくなってしまいます。
パソコンの場合は汎用的に利用するために、エアコンの制御以外の機能が多く含まれており、大きくなってしまいます。また、重量もあるため持ち運びするような機器に使う場合も制限事項が生じます。
パソコンの購入だけでも数万円してしまいます。
その高価な物をエアコンに入れてしまうとエアコンが非常に高い物になってしまいます。
上記のようにパソコンは汎用性を高めるため様々な機能が含まれており、大きさや価格など制約が出来てしまいます。
これらの問題を打開するために、マイコンが使われています。 一般的には使用用途に合わせて基板を開発し、マイコンを実装します。 マイコンを使うことで必要最小限の構成になり、大きさや価格を抑えることができます。
パソコンとマイコンの大きな違いとして、CPUとしての処理能力が違います。 パソコンはマイコンに比べて単位時間当たりの命令実行数が多くなります。 ひとことで言うとパソコンのCPUが速いということになります。
しかし、使用用途を考慮した場合に速いCPUが必ずしも良いとは限りません。 速いCPUの特徴として以下のことがあります。
消費電力が大きいとは電気をたくさん使うということです。
バッテリーで動作する物を開発する場合に電気を多く使うCPUを使うとバッテリーで動作できる時間が短くなってしまいます。
一概に言えませんが、クロック周波数(パソコンにある何MHzとか何GHzという数字)が高ければ処理能力が高くなりますが、同時に消費電力も高くなります。
パソコンで使われているCPUは数千円から数万円の価格で販売されています。
しかし、マイコンになると数百円またはそれ以下という価格でも購入できます。
量産品を作る場合は部品のコストは重要です。
製品を開発するためには、製品実現に適したCPUを選択し、価格をできるだけ抑えるということも重要な要素になります。
上記のように必ずしも、速いCPUが良いとは限りません。 また、弊社の経験からパソコンの方が故障率が高いように感じています。 特にハードディスクのように物理的に動作する機器は磨耗が発生してしまうため、それを使用するパソコンの方が故障率が高くなってしまいます。
RAID構成により回避することもできますが、マイコン化してROMやフラッシュメモリなどの磨耗が発生しない部品によりシステムを構成し、故障率を下げることも可能です。
パソコンも入手性の良さや、普段から使用していることから操作が分かりやすい、CPUの処理能力が高いというメリットがあります。
その反面、上記で示したようなデメリットもあります。 マイコンもパソコン化されつつあり、パソコンができることであれば、かなりのことができるようになってきました。
これまで、述べてきたようにパソコンもマイコンもメリットとデメリットがあります。 それぞれを考慮してパソコンにこだわることなく、製品に適したCPUを選択することが良い製品、良いシステムを作る第一歩になるのではないでしょうか。
弊社では、パソコンとマイコンのエンジニアが在籍しているため、提案も含めて協力させて頂きます。