HOME > ソフテックだより > 第313号(2018年9月5日発行) 技術レポート「Xamarin.Formsを用いたアプリ開発の流れ」

「ソフテックだより」では、ソフトウェア開発に関する情報や開発現場における社員の取り組みなどを定期的にお知らせしています。
さまざまなテーマを取り上げていますので、他のソフテックだよりも、ぜひご覧下さい。

ソフテックだより(発行日順)のページへ
ソフテックだより(技術分野別)のページへ
ソフテックだより(シーン別)のページへ


ソフテックだより 第313号(2018年9月5日発行)
技術レポート

「Xamarin.Formsを用いたアプリ開発の流れ」

1. はじめに

私は入社4年目の社員で、普段は主にWindowsアプリケーション(以降アプリと記述)の開発に携わっています。ですが今年に入ってからスマートフォン向けのアプリを作ることになり、現在も開発を進めています。今回は、そのアプリ開発で使用しているXamarin(ザマリン)について紹介いたします。

2. Xamarinとは

XamarinとはiOSやAndroidのアプリを作成することができる開発環境の総称です。
2016年にXamarin社がMicrosoft社に買収され、以降VisualStudioにXamarinの機能が組み込まれるようになりました。

3. Xamarinの特徴と利点

Xamarin最大の特徴はクロスプラットフォームの開発ができることです。通常、スマートフォン向けのアプリを作る場合、iOSやAndroidといったプラットフォーム別にプロジェクトを作成する必要があります。ですが、Xamarinを用いることでiOS、Android、UWP(Universal Windows Platform)のアプリを同時に開発することができます。例えばiOSはXcode、AndroidはAndroid Studio、別々のIDEで作る必要があったものを、iOSとAndroidのプロジェクトを同じ開発環境で取り扱うことができるようになります。
また、プログラミング言語はC#を用いてコーディングができます。私のように、Javaでのアプリ開発は経験がないけどC#ならある、という人でもスマートフォン向けのアプリ開発が可能です。

4. Xamarinを用いた開発

4.1 プロジェクト作成

XamarinはVisual Studio 2015以降で利用可能です。無償版のCommunityでも有料のバージョンと同じように利用することができます。今回の紹介ではVisual Studio 2017を使って説明していきます。
Visual Studioを起動し、[新しいプロジェクトの作成…]から[Cross-Platform]−[モバイルアプリ (Xamarin.Froms)]を選択しOKをクリックします。するとプロジェクトの詳細を設定するダイアログが表示されます。

プロジェクト作成 ― プロジェクトテンプレート選択
図1. プロジェクト作成 ― プロジェクトテンプレート選択

プロジェクト作成 ― 詳細設定
図2. プロジェクト作成 ― 詳細設定

(1) テンプレートの選択
アプリの初期構成を選択できます。[空のアプリ]を選択すると何もない状態からになりますが、[Master Detail]を選択するとマスターメニューとディティールページから構成されるページが作られた状態で始まります。今回は[Master Detail]を選択します。
(2) プラットフォーム
対応するプラットフォームを選択できます。1つのプラットフォームだけを選択することも可能です。今回はAndroid/iOS/Windows(UWP)の3つ全てを選択します。
(3) コード共有方法
コード共有の方法を選択できます。[共有プロジェクト]はプロジェクトを各プラットフォームで共有する方法です。今回は深く触れませんが、コンパイラディレクティブ(#if ___ANDROID)で処理の分岐が可能でプラットフォーム固有の機能を利用しやすい利点があります。一方「.NET Standard」は共有コードライブラリを利用する方法になります。既に用意されたクラスを用いて開発を行うことができます。今回は[.NET Standard]を選択します。

(1)〜(3)を設定しOKをクリックすると、今回は3つのプラットフォームを選択したため共通プロジェクトを含めた4つのプロジェクトが作成されます。

プロジェクト作成 ― プロジェクト一覧
図3. プロジェクト作成 ― プロジェクト一覧

4.2 XAMLとC#コード

Xamarin.Formsの画面はXAML(ザムル、Extensible Application Markup Languageの略)によって記述されています。XAMLではiOS、Androidの区別なく画面を記述することが可能です。また、XAMLファイルを作成すると拡張子が「.cs」のファイルが一緒に生成されます。拡張子が「.cs」のファイルにはC#のコードが記述されます。このC#コードからもXAML同様に画面の表示を設定したり、表示されているデータの処理を行うことが可能です。

4.3 デバッグ実行

プロジェクトを作成したら早速アプリを実機でデバッグ実行してみます。PCとAndroid端末をUSBケーブルで接続します。この時、Android端末側でUSBデバッグを有効に設定しておきます。
Visual Studioの上部メニューにて接続した端末(…今回は使用しているのはAsus製スマートフォン)を選択してデバッグ実行します。すると、端末でテストアプリが起動して操作できるようになります。

デバッグ実行 ― 実行環境選択
図4. デバッグ実行 ― 実行環境選択

デバッグ実行 ― PC画面とデバッグ実機外面
図5. デバッグ実行 ― PC画面とデバッグ実機外面

4.4 コーディング

今度はXAMLのコードを書き換えてみます。「MainPage.xaml」にNavigationPageを追加するコードを書き加えてデバッグ実行すると、画面上部に表示されるタブが増えていることが確認できます。

コーディング ― MainPage.xaml変更
図6. コーディング ― MainPage.xaml変更

コーディング ― MainPage.xaml変更結果
図7. コーディング ― MainPage.xaml変更結果

次はXAMLから呼び出されるC#のコードを書き換えます。「MainPage.xaml」から呼び出される「MainPage.xaml.cs」にNavigationPageを追加するコードを記述しデバッグ実行すると、さらに表示されるタブが増えていることが確認できます。

コーディング ― MainPage.xaml.cs変更
図8. コーディング ― MainPage.xaml.cs変更

コーディング ― MainPage.xaml.cs変更結果
図9. コーディング ― MainPage.xaml.cs変更結果

上記の動作確認の結果からも分かりますが、画面内容はXAML→C#の順に作成されます。C#のコードを見るとコンストラクタ内にInitializeComponent関数があり、C#に慣れているとこちらから画面が作られているように見えてしまうかもしれません。ですが実際はC#ファイルはXAMLから呼び出されているため、あくまでも順番はXAML→C#となります。

5. 最後に

今回はXamarinについてとXamarin.Formsを用いた簡単なアプリの動かし方を説明させていただきました。XAMLやC#などのプログラミング言語と合わせて、アーキテクチャパターン(MVVM(※1)、MVC(※2)など)を学ぶとより複雑な処理を持ったアプリをXamarinで開発できるようになるかと思います。また次の機会があれば、より詳しくXamarinでの開発について紹介したいと思います。
Xamarinはまだ歴史の短い技術です。使っていて「こんな機能があればいいのに」、「こんな使い方ができれば便利なのに」と感じることもあります。バージョンアップが定期的に行われていますので、これからの動向に気を付けて情報を集めておきたいと思います。

(Y.H.)

[注釈]
※1
MVVM…Model-View-ViewModel。ソフトウェアの設計モデルの一つ。
※2
MVC…Model-View-Controller。ソフトウェアの設計モデルの一つ。

関連ページへのリンク

関連するソフテックだより

ページTOPへ