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ソフテックだより 第176号(2012年12月19日発行)
現場の声編

「現地調整を成功させるために 〜作業手順書の作成〜」

1. はじめに

私は先日お客様のところへ出張して現地調整を行う機会がありました。
ソフテックでは社内で製作したソフトウェアをお客様が使用する工場などの現地に導入し、調整することを「現地調整」と呼んでいます。
現地調整を行う際は作業手順書を用意してその手順に沿って作業していましたが、作業手順を詳細に記載していないことにより作業手順を間違え、予定していた作業を終えることができませんでした。
今回のソフテックだよりでは、作業手順書を作成することの効果について考えてみたいと思います。

2. 作業手順書に記載する内容

作業手順書には現地調整で行う内容を記載することはもちろんですが、それを実行したかチェックできる形式にすると作業の進捗も把握できるようになります。
複数人で作業する場合も考えられますので、そのようなときには作業者や作業場所も含めるようにすると作業分担がわかるようになります。
作業項目は表形式にまとめ、各作業手順についてチェックできる形にするのがよいと思います。

<記載する内容>

  • 作業項目
  • 作業手順
  • チェックボックス(作業したらチェックする)
  • その他補足事項などの記載欄
  • 作業者
  • 作業場所

<記載例>

作業手順書記載例
図1. 作業手順書記載例

3. 作業手順書作成の効果

よく、「段取り」とか「先行検討」という言葉を聞きますが、この作業手順書を作成することも一つの「段取り」、「先行検討」と言えます。
作業手順書を作成することの効果について以下のように考えます。効果が現れやすい順番に挙げてみます。

3-1. 作業内容が明確になる

何も準備しないで現地調整に行くと私は「何をしよう?」「何からやろう?」となってしまうことがあります。
そうなると時間の無駄になってしまいますので、お客様の要求仕様や自分が社内で行ってきた開発作業から現地でどのような作業を行わなければならないか事前に考えてリストアップしていきます。

次にリストアップした項目について具体的にどう作業していくのか考えていきます。
何という名前のファイルをどこにコピーしないとならないか、何のツールを使って作業するのか、工具は必要ないかなど具体的にしていくと迷うことなくスムーズに作業ができます。
あまり使い慣れていないツールを使用する場合は、ツールの操作(どのメニューを選択するかなど)まで記載していれば実際に作業するときに迷い無く作業することができます。
このように作業する内容をリストアップしたら、作業する順番に作業手順書としてまとめていきます。

3-2. 作業時間が明確になる

作業内容が明確になるとその作業を行うのにどのくらい時間がかかるか見えてくるようになります。
現場の状況によって作業開始時間も違うと思いますので、お客様に状況確認しながらタイムスケジュールを作成していきます。

3-3. 作業をシミュレーションして漏れがないか確認できる

作業手順書ができたら作業手順書に沿って実際の作業をシミュレーションしてみます。
実機と同じ環境があればその環境を使用して行うとより確実になります。
シミュレーションしてみて、「この作業では○○もしないとならないな」「この作業にはもう少し時間がかかるな」など作業手順書やタイムスケジュールの問題点が見えてきます。
シミュレーションの結果を作業手順書にフィードバックすることでより精度の高い作業手順書を作成することができます。

3-4. お客様に事前準備していただくことが明確になる

作業に使う工具などは自分で準備できますが、例えば送液するためにタンクに水を張ってもらうなどお客様に試運転で使用する設備を準備していただかないとならない場合もあります。
お客様に準備していただくものを当日連絡したのでは準備ができない可能性がありますし、準備できたとしても待ち時間が発生して効率がよくありません。

「この作業をするには○○を用意してもらわないとならない」ということが検討できれば事前にお客様に用意していただけるよう連絡することができます。

3-5. 作業手順書、タイムスケジュールを関係者にチェックしてもらえる

担当者の頭の中で考えているだけ、または作業手順書を作成しても誰にもチェックしてもらっていない状態では作業内容が妥当かどうか関係者にはわかりません。
そのままでは検討漏れなどにより現地調整を無事に終えられないかもしれません。そのため、作成した作業手順書は関係者(上司やお客様)にチェックしてもらいます。

上司やお客様の視点でチェックしてもらうことで担当者の視点だけでは気づかなかったことがわかることがあります。
例えば、上司の視点から「この作業にはこういうことも必要ではないか?」「この作業は○○なのでもっと時間がかかるよ」などとアドバイスをもらうことができます。
また、お客様の視点では「この作業もやってほしい」「この時間帯は作業しないでほしい」という要望があるかもしれません。

3-6. 自分以外の担当者でも対応可能になる

例えばトラブルなど優先順位の高い作業が急に入ってしまい、現地調整に行けなくなる場合も考えられます。そのときは別担当者に現地調整をお願いすることもあります。
そのようなことになっても、作業内容が詳細に記載された作業手順書があると別担当者でも対応することが可能となります。
急な別件作業によって何度も日程調整をすることもなく、お客様にご迷惑をかけることも少なくなります。

3-7. 1度作成すると次回の現地調整にも活用できる

同じお客様のところで現地調整を行うことになった場合、前回作成した作業手順書から準備すべき項目の予測がつけやすく、段取りが早くできます。

4. おわりに

上記のように作業手順書を作成することで現地での行動計画を関係者にチェックしてもらうことができます。また、現地調整作業の詳細を先行検討することで段取りもできます。このように準備万端な状態で現地調整に臨むことができるという効果があります。

現地調整では一つの失敗が大きな影響を与えてしまうことがあります。事故につながる可能性もあり、お客様にご迷惑をかけることになります。
そのため準備に時間を掛けても作業手順書は必要と考えています。
先日私は作業手順書に不足があったことで予定していた作業を終えることができませんでしたが、今後は作業手順書をしっかりと作成し、先行検討を心がけて現地調整を成功させるようにしていこうと思います。

(S.K.)


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