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ソフテックだより 第82号(2009年1月21日発行)
現場の声編

「情報処理技術者試験 私の試験対策」

1. はじめに

ソフテックでは技術者資格取得推進規定(ソフテックだより第29号)を策定し、社員の自発的な能力向上への取り組みを支援しています。
私は平成20年の春には情報処理技術者試験の「テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)」を、秋には「ソフトウェア開発技術者」を受験し、合格することができました。今回は、この体験をもとに、主に資格取得に関心をお持ちの学生の方や、実際に試験を受けてみたけれど思うような結果がでなかった新入社員のみなさんにむけて、参考になるようなことをお伝えしたいと思います。 
本来、学習方法に絶対的なものはありませんので、自分に合った方法をとることが一番です。したがって、こうしなければならないというようなものではありませんので、これはよさそうだなと感じたものがありましたら、ぜひ取り入れてみてください。
ちなみに、情報処理技術者試験の実施概要については、ソフテックだより第44号に紹介されています、こちらをご覧ください。

2. 受験した試験

はじめに、簡単に昨年(平成20年)に受験した試験の内容について概要をお話します。

(1). 「テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)」試験

春に受けた試験は、テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)になります。これはエンベデッド=組込み系技術者のための試験です。試験の特徴は、他の情報処理技術者試験と比較してハードウェア制御の比重が大きく、知識を実際の設計業務に適用するような応用問題が主体となっています。昨年度の問題では次の題材が取り上げられました。

  • 無線通信方式のICタグを用いた書籍振り分けシステム
  • 車載ロボット
  • キャッシュレジスタ
  • メディアプレーヤ
  • 電動アシスト自転車
  • 病院に設置される受け付けシステム

それぞれの専門技術分野(たとえば上記の例では、無線通信技術)自体を詳細に知らないとできない問題はあまりなく、問題文に与えられた条件をもとに、それらを組み合わせて要求事項をみたすためにはどのようにすればよいかというような問題になっています。
また、ソフトウェアに関しては、組み込み技術らしくRTOS(リアルタイムOS)(注1)に関する設問が多くなっています。

(注1)
処理をリアルタイムに実行することを重視し、そのための機能を実装したOSのこと。産業機械を制御するコンピュータなどでは、応答時間が一定の範囲内にあることが要求されるため、OSにもリアルタイム性を実現するための様々な機構が必要とされる。
IT用語辞典より一部抜粋)

(2). 「ソフトウェア開発技術者」試験

ソフトウェア開発技術者試験は5種類あるテクニカルエンジニア試験やプロジェクトマネージャ、システムアナリスト、アプリケーションエンジニアの基礎的な位置づけであり、基本的なソフトウェア開発能力を問う試験です。基本的ではありますが、その分出題範囲が広いので計画的に学習しないと準備が大変です。データベースやネットワークに関する内容も出題されます。

3. 試験準備について

社会人になると、学生の時期と比べて学習の時間を確保することが難しくなりますので、できるだけ効率よく学習したいものです。また、資格のためだけの学習ではなく、業務に役立つ技術力向上につなげることも大切だとおもいます。ここでは、私の取り組んできた学習方法をご紹介いたします。

(1). 集中して学習する

効率的に学習するためにまず大切なことは学習に集中することです。長い時間学習すると、たくさん勉強した気になりますが、疲れてくると効率も落ちてきます。何よりも、時間を多くということは他の事を犠牲にしている面もあるために、モチベーションを持続させ長続きさせることが難しくなります。
集中する方法として実践している方法は、学習を始める前にアラームをセットしてから始めることです。私はデジタル式のキッチンタイマーが一番使いやすいと思います。時間は30分から長くても1時間程度までにします。その時間で読み通せるページ数をあらかじめ決めてから開始すると、より集中しやすくなります。この30分を毎日続けることが一番難しく、そしてとても大切なことです。
ただ、そうは言っても私もついサボりたくなってしまうこともあります。そんなときのために、アラームをかけてもやめたければ、いつでもやめてよいことにしています。とにかく、最低限毎日スタートだけはする。始めてみると、最初はやる気がでなくてもだんだんでてくることもよくあります。

(2). 暗記しようとしない

私は、試験勉強で暗記する作業がきらいなのですが、みなさんはどうでしょうか。嫌いなのは単純に面白くないからだとおもいます。ですから、自分から特に覚えようと意識することはほとんどありません。特に初期の学習では、わからないことがあってもどんどん読み進めます。
なにか新しいことを身に着けようとするときに一番大切なことは、それ自身に慣れることだと考えています。そういう意味では、スポーツなどの上達方法とまったく変わりはありません。
私は、学生時代にスキーをずっとしていましたが、早くうまくなる人には共通点がありました。それは、初心者のうちから急斜面でも平気で行くし、転んでもすぐに滑り出すことです。筋力や体格の差はあまり関係なかったような気がします。

技術的な内容が難しくてわからないこともあるかもしれませんが、そこであきらめずに、どんどん進めましょう。そのうちわかってくるようになります。難しく感じる場所は専門用語であることが多く、そのひとつひとつの言葉の後ろに技術的な背景があるからです。技術用語自身に意味があるのではなく、ある技術的な内容を用語があらわしているのですから、技術的な背景もふくめて内容自体を理解しないと意味がありません。逆に、理解できれば用語は特に暗記しようとしなくとも自然と覚えてしまうことがよくあります。

(3). 丁寧にまとめない

丁寧にまとめられた他人のノートを見ると感心させられますが、自分にはとても作れないことが経験上わかっています。その代わり、2つの方法をとることにしています。

一つ目は、スケッチブックのような大きな紙に学習した内容を単語で書き取ってゆきます。最近、書店で「マインドマップ」(注2)というタイトルの本を見かけますが、それに近い方法です。学習対象がどのような項目から成り立っていて、どのようなキーワードがあるかが一目でわかります。

二つ目は、テキストの表など重要な内容がまとめられた資料のコピーをとって、ノートに貼り付けてゆきます。コピーをとるだけなので時間がかかりませんし、重要な内容だけをコンパクトにまとめることができます。

私も丁寧にノートをまとめていた時期もあったのですが、あるときノートを見直すことはほとんど無いことに気づきました。実は、情報処理試験の中で合否を分けるのは午後に実施される応用問題です。そこでは暗記した知識はあまり役に立ちません。パズルなどをやっている場面を想像していただければよくわかりますが、本当に考えているときはいろいろ試行錯誤をしながら解決方法を探し出しているので、書いていてもメモや走り書きになります。したがって、ある程度知識を得たあとでは、過去問に取り組んで問題を解く実践経験をつみましょう。

丁寧にノートをとるように学校では先生に薦められたかもしれませんが社会人になってまで守る必要はありませんので、ルールは自分でよいように決めましょう。学習すべきことはたくさんありますし、技術もどんどん進歩しますのでまとめたものは古くなってしまうかもしれません。

(注2)
マインドマップ(Mind Map)は、トニー・ブザンが提唱した、図解表現技法の一つである。ちなみに「マインドマップ」という呼称は、日本国内においてブザン・オーガナイゼーション・リミテッド社によって商標登録されている。(出展:フリー百科事典 Wikipedia)

4. 試験当日の対策

折角学習したのですから、試験当日にはできるだけ実力を発揮したいものです。試験日に心がけたことをお話します。

(1). 備える

試験会場には早めに行きましょう。初めて行く場所ならなおさらです。道に迷い、会場を見つけられずに探しまわっているとあせってしまって、とてもまともに試験を受けられる状態ではなくなります。たまに、自分の席をまちがえていることに気づき会場から飛び出してゆく人もいます。
それから、通常持っていくもの(受験票、筆記用具)などのほかにウェットティッシュを持参します。春に受験した会場の某専門学校では、教室が狭く天候が雨だったこともあって、部屋の湿度が高く窓も結露した状態でとても快適とはいえない状態でした。
そのような環境で長時間試験を受けていると、だんだん疲れてきます。そんなときには、休み時間に顔を洗いに行きますが、部屋から出られないときには、ウェットティッシュで顔を拭くとすっきりとリフレッシュすることができます。

(2). リラックスする

試験会場をみると、時間ぎりぎりまで本に目を通して、昼休みの時間も勉強をしている人が目立ちます。私の場合は当日には参考書を見ないようにしているので、最初から持ってゆきません。昼休みも目を閉じて休んでいるか、天気がよければ散歩をしてリフレッシュするようにしています。試験時間は午前・午後をあわせて5時間以上あるので、その間持続的に集中して、問題に取り組むためには、休めるときに休んだほうが有利だと思うからです。
これは学習方法のところでもお話しましたが、覚えた知識だけで試験に合格することは難しいということと関係します。その場で少しでも知識を詰め込もうとするのではなく、自分の能力を十分に出せることを心がけましょう。

(3). あきらめない

試験会場に当日行くとかなり空席があることがわかります。欠席するのは事情があって受験できなかったのかもしれません。ところが、午後になると、さらに人が減っています。こちらは明らかに、午前の試験をうけてあきらめてしまった方だと思います。
実は、本番と同じ環境や状態で問題に取り組むことは、自宅ではほとんどできないのではないでしょうか。
過去問を同じようにやっていてももっと時間がかかりますし、本番のような集中ができないのです。折角、準備をして、お金を払って受験したのですから、あきらめないで最後まで取り組みましょう。もし、そのときは合格できなかったとしても、そこでのがんばりは次回かならず生きてきます。あまり準備ができなかったために、無理だとあきらめて試験の申し込みをしたのに受験しない人もいるようですが、それはもったいないことです。そうやってあきらめた人が、次回以降、学習準備をしっかりやって試験に臨めるようになるでしょうか。

(4). あせらない

誰にでも経験があるとおもますが、試験を受けると時間ばかりが進んでしまって、回答が空白のままのことがあります。わからないところを飛ばしているうちに、問題用紙を行ったり来たりしているうちに、自分が何をやっているのかわからなくなってしまう。私にも経験がありますし、今回の秋の試験では、このようになりかけました。
そんなときには、深呼吸して肩の力を抜き落ち着きましょう。あわてても答えが出てくることはありません。全部回答しないといけないと考え、試験の結果を意識するからあせってしまうのです。全部回答できたとしても、ひとつずつ問題に取り組む以外は無いのです。どんな高い山に登るとしても、一歩ずつしか進めないのと同じで、ひとつずつ問題に落ち着いて取り組みましょう。

5. 最後に

お読みいただき参考になりそうなことはありましたでしょうか。参考になったとか、もっといい方法があるなどのご意見・ご感想などありましたらぜひソフテックだよりまでお知らせください。ご質問などもお受けしますので、お気軽に御連絡ください。
情報処理技術者試験は平成21年度春より、試験概要に変更があります。今後受験される方はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のホームページで内容のご確認をお願いいたします。

(Y.U.)


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