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ソフテックだより 第62号(2008年3月19日発行)
現場の声編

「入社1年を迎えて〜初めての製番担当〜」

1. はじめに

私は、4月で入社から1年を迎える社員です。新入社員として過ごす日々もあと数日となりました。
今回は、入社1年目の10月に製番(※1)担当(※2)として引き継ぎを行ってから、現在まで行っている作業を通して感じたことを紹介させていただきます。

2. 製番担当になった経緯

入社前、ソフテックでは早い段階で社員に仕事を任せるということを耳にしたことがありました。その頃は「そうなんだぁ、すごいな」と思っていましたが、実際イメージとしては、どのようなタイミングで任されるのかもわからず、入社後も、自分が他の新入社員と比較しても仕事ができるわけでもなかったので、自分には無縁の程遠いものだと思っていました。
私が担当している製番は、代々、若手の社員に引き継がれている製番と伺っています。
東京本社の移転に伴い、作業に必要な機材一式が東京本社から八戸事業所に移り、製番担当は本社社員のままで、作業を八戸事業所のパートタイマが行っていました。そうした中、製番担当も八戸事業所の社員が行うという方針になりました。
始めは別の社員が製番担当を行う予定でした。しかし、他の製番との兼ね合いで担当予定だった社員が作業できなくなり、新入社員である私が製番担当となりました。

3. 作業内容

全体の流れ

  1. 依頼票が届く
  2. 納期等仕様不明点確認
  3. 見積書提出
  4. 注文書が届く
  5. データ変更、ROM作成
    5-1. データベース変更
    5-2. コンパイル・リンク
    5-3. ROMに焼く
    5-4. 動作確認
  6. 納品(発送)
  7. 売上

作業全体の流れは、上記の通りです。

(1). 製番内容

作業はシステムのデータベース変更です。このシステムは20年以上前のシステムであり、データ保存に使用している64kBitROMと128kBitROMは共に製造中止になっているので一個一個がとても貴重です。PC-98パソコン(OS:MS-DOS)を使用し、コンパイル(※3)・リンク(※4)する為のソフトウェアを動作させます。確認装置も専用のハードウェアを使用しています。
プログラムソース上でデータベースを変更した後、コンパイル・リンクしてROMライタで複数のROMに焼きます。焼いたROMが正しく動作するか確認装置を用いて動作確認をします。

(2). 製番担当の作業

製番担当として行う作業は、まず顧客から依頼票と仕様を受け取ります。依頼票には納期や依頼先、どこの物件か等が書かれており、仕様には、どのような変更が必要かという内容が書かれています。依頼票と仕様を用いて、納期や仕様等の不明点確認作業を行い、見積り作成を行います。見積書の承認をもらい、顧客に見積書提出を行います。パートタイマの方がROM作成の作業ができるように、具体的にどのように修正すれば良いのか仕様に沿って修正箇所を書き出します。装置は毎回準備する為、環境準備を行います。ROM作成は、パートタイマの方にお願いしていますが、自分で行うこともあります。次に、作成したROMで動作確認を行います。確認作業が完了すると、発送となります。最後に装置を片付けます。

4. エピソード紹介

作業を通して感じたことを4つのエピソードを元に紹介します。

(1). お客様とのやり取り

FAXで仕様が送られてくることが多いのですが、字が潰れて読めなくなっている資料も中にはある他、ソフテックが所持しているデータとお客様からくるデータが違っている等、仕様が明確ではない場合があり、不明点を確認する必要が出てきます。その為、お客様と電話でやり取りする機会があります。
電話対応を行った際、質問についても真摯に聞いてくださり、こちらの話が拙くても話を汲み取ってくださる、話の引き出し方が上手いお客様と話す機会がありました。こんな対応をしたいと思えるお客様でしたので話しているだけでとても暖かい気持ちになりました。
また、おそらく若手の社員なんだろうなぁと感じ、親しみを覚えるお客様もいらっしゃいました。
おそらくお客様からしても、私は若手の社員だと感じられているのではないかと思います。早くお客様も安心して任せられるようなもっと余裕のある対応ができるようになりたいと感じています。

(2). パートさんとの作業分担

作業を通して感じたことは、指示を出し、作業をお願いすることの大変さです。今までは、作業を他の社員から頼まれるということはあっても、自分から指示を出し、作業をお願いすることはありませんでした。ROM作成を担当するパートタイマの方は、私が入社する前からソフテックに在籍しており、私からすれば会社の先輩に指示を出すことになるので、不安に感じている部分はありました。
声の掛け方一つで、ぎくしゃくしたり、スムーズに運ぶこともあります。私がした失敗は、作業を始めてもらう際に、すぐできると言われてから、30分経っても作業が始まらなかった為、そろそろ始めて欲しいと伝えてしまったことが挙げられます。
いつから始められますか?と聞けばよかったのですが、パートタイマの方の、次の作業が決まっていたこともあり、早く始めないと間に合わなくなってしまうという焦りから直球で話してしまいました。そのせいで、パートタイマの方が他の方の作業を手伝っていたのを中断し、ROM作成の作業をしていただくことになってしまいました。それからは、お願いする際には相手の都合はどうなのか、また言い方に失礼は無いか、気を付けるようにしています。

(3). 緊張の瞬間

作業をする度、プログラムおよびデータベースをコンパイル・リンクすると、ちょっとした緊張感が走ります。コンパイルとリンクに時間が掛かるのですが、もし、ソース変更に失敗してエラー等が出た場合はどこがおかしいのか再確認し、再度コンパイル・リンクする必要があるからです。そうすると、戻り作業が発生し、作業するパートタイマの方にも迷惑が掛かります。

(4). 時間との戦いに直面

引継ぎを行い、製番管理の社員に助けられながらも作業を行い始めた頃のことです。
製番管理をしている社員も別製番で出張に行ってしまった際に、作業依頼がきました。
データベースの変更箇所はさほど多くないことがわかったのですが、確認作業のボリュームがその当時作業していたものとは比べ物にならない程多く、いきなりの大仕事だと思いました。なんとか先輩方の力も借りながら、確認作業までこぎ着けました。

しかし、動作確認で印字をしたところ、印字した用紙にエラーが表示され、確認ができない状態に陥りました。出張中の製番管理の社員や、以前製番担当だった社員に伺って作業を繰り返しても、印字でエラー表示がされる原因がわからず、納期に間に合うのかハラハラしました。とうとう原因がわからず、このままだと納期に間に合わせることができないと判断し、顧客担当の責任者である部長にご協力を仰ぎました。最悪の場合、以前製番担当だった社員の机上チェックで発送する方針になりました。

平日対応だけでは間に合わず、以前製番担当だった社員にも土曜日出勤していただいて、残り少ないROMと時間との戦いで作業を進めました。とても冷や冷やしながら作業した記憶が残っています。
ぎりぎりのところで納期に間に合わせることができ、作成したROMも自信を持って発送できましたが、その際、はっきりとした原因を突き止めることができず、後日、原因解明の作業をすることとなりました。めまぐるしい数日間の経験を通して、製番担当としての自信に繋がったと同時に、協力していただいた社員やパートタイマのありがたさが感じられました。
決して一人では解決できず、発送まで行き着けなかったと思います。

5. 終わりに

製番担当として、反省すべき点が多々ありますが、勉強になることも多く、早い段階から製番担当として作業させていただけることは、とても良い経験をしていると実感が持てます。現在も、納期に遅れることなく作業を続けることができていますが、これもひとえに部課長、社員や作業をしてくれるパートタイマのお陰です。その為、様々な方に助けられて作業を進めることができていると感じています。
不定期に依頼があり、納期的にも短期間の作業ですので、別の製番作業を中断して行いますが、上手く捌けるようになることが今後の課題です。
製番管理をしている社員に助けていただいていたのですが、これからは製番管理の社員に助けを求めることのないよう、柔軟に対応できるように進めていきたいと思います。

(R.T.)

[注釈]
※1
製番、製造番号の略で仕事の管理番号です。
※2
製番担当:製番を担当する社員のことで、実際に製番の仕事を行います。
※3
コンパイルとは、プログラミング言語で記述したソースコードを、コンピュータが解釈できる機械語としてオブジェクトファイルに変換することです。
※4
リンクとは、オブジェクトファイルを結合して実行ファイルを作成することです。

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